ドラマ「キングダム」と「セルフメイドウーマン」  映画関係

映画ファンに受難の時代が来た。
緊急事態宣言の発令で、
映画館が閉館になったからだ。
換気がよく、
誰もしゃべらないので良いような気もするが、
仕方ない。

最近のテレビは本当につまらないので、
観る気がしない。
衛星放送とCSはまだましだが、
番組を探すのが大変。

我が家ではプライムビデオNetflixがあるので、
まだましだ。

既にNetflix連続ドラマの「60日間の大統領」と
「愛の不時着」の紹介をしたが、
最近観た二つのドラマを紹介しよう。


「キングダム」

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韓国製ゾンビ映画

16世紀終わりの韓国。
王が急病で倒れる。
妊娠中の王妃以外は面会謝絶が続き、
国には不穏なムードが漂う 

王の跡継ぎ候補の世人は、王妃が妊娠しているため、
後継者の立場が危うくなっていた。
世人の母は召使いだったので、
正妻の子が男児であれば
王の後を継ぐことができず、
命も危うくなるのだ。

片田舎にある医療所の名医が王の治療のため訪れる。
連れの弟子は御簾の中に引きずり込まれ、不慮の死をとげる。
引き取られた亡骸を
医療所の男が飢えた人々のために
料理してみんなに食べさせてしまう。
その夜、亡骸を食べた医療所の人たちは死んでしまう。

医療所にあった大量の死体は街に運ばれる。
医療所で生き延びた女医ソビは街に急ぎ、警告する。
死体はまだ死んでおらず夜になると動き出すというのだ。
誰も信じないが、
夜になり死体が甦ると、
あっという間に町は壊滅してしまう。
翌朝、世子がやってきて現場を取り仕切り、
襲って来るゾンビと闘う。

一方、王朝では身寄りのない妊婦が集められる。
その陰には、王妃の秘密の計画が進行していた。

というわけで、
王位継承を巡る陰謀と、
民衆をゾンビから守るための世子の闘いが描かれる。

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このゾンビの描写がすさまじい。
噛みつかれたらゾンビ化してしまうという
「国際ルール」はそのままだが、
韓国版のゾンビ、
ものすごく早く走り、襲って来る。
よたよた歩く外国版より恐怖が倍加する。
加えて、昼間は太陽の光を避けて眠り、
夜になると動き出すという「ドラキュラ・ルール」も適用されている。
(実は、これが過ちだと、ある時点で判明する)
ゾンビを絶命させるには頭部を破壊するか首を切断するしかない。
しかし、超スピードで、集団で襲って来るゾンビにはかなわない。

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ゾンビが誕生したのには背景があり、
王宮での権力争いで、
存命中に王妃に子をもうけるために、
死んだ王をながらえさせる必要があり、
王妃の父親であるチョ氏により、ある薬草が調合され・・・
というのが後になって明かされる。

つまり、権力争いとゾンビが二枚重ねの鏡のようになっているのだ。

特筆すべきは、壮大なスケールで、
王宮や要塞、町並みなど、
セットの造形が素晴らしい。
その上、撮影技法が巧みで、
撮り方が本当にうまい。
ゾンビたちもよく訓練された動きをする。

監督はキム・ソンフン。                             
脚本はキム・ウニ(女性)。
世子にチュ・ジフン

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女医にペ・ドゥナ

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観て心地よい映画ではなく、
韓国映画独特の悪趣味だが、
作品としてのクオリティは大変高い

シリーズ1・2合わせて10話構成。
全部で9時間35分。
シリーズ3の継続を伺わせる。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/Pr88m59s49E                              

          
「セルフメイドウーマン」

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セルフメイドウーマンとは「自力で道を切り拓いた女性たち」のこと。
その一人、マダム・C・J・ウォーカーこと
サラ・ブリードラヴ(1867〜1919)の半生を描く。
洗濯婦から身を起こし、
髪を直毛にする方法を開発して大儲けし、
黒人女性のための美容、ヘア製品のマーケティングを行い、
アメリカ合衆国で最初に大富豪になった女性とされている。

1908年のセントルイス。
サラは、洗濯婦として働いていたが、生活は厳しく、
暴力的な夫と仕事のストレスから髪が抜け始め、
人生に絶望し、どん底だった。
そんな時、サラの自宅にアディーが訪ねてくる。
アディーは、自ら開発した育毛剤をサラに勧めた。
アディーの育毛剤を使用したサラの髪は、
数ヶ月で元通りになり、感動したサラは
アディに自分も訪問販売をしたいと申し出る。
アディは黒人であるサラには無理だと聞く耳を持たなかった。
そこで、サラは自らも育毛剤を開発することを決意した。
失敗を繰り返しながら育毛剤を作り上げたサラは、
製品を必死で売り込み、
彼女の熱意と人柄から徐々に客足が増え、
事業がようやく軌道に乗り始めた。

その後、アディの妨害、娘レリアの夫ジョンによって起こされる火災、
夫の浮気、ジョンの裏切り、トップ営業社員の引き抜き、
工場を建てる資金難の突破などと話が進む。

根底にあるのは、黒人差別女性蔑視との闘い。
サラの事業欲は、
貧しさに苦しむ黒人女性たちを救ってあげたい一心で、
次第に黒人女性の権利向上の運動に変わっていく。

感動的なストーリーのはずだが、
何だか話に無理を感ずるのは、
サラを演ずるオクタヴィア・スペンサー
商才があると思えない印象が付きまとう。

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1908年に事業を始め、
亡くなったのが1919年。
たった11年で社員1万人を雇うまでに成長したのは、
相当な商才があったものと思われるが、
オクタヴィアの風貌からは、それを伺えない。
いつまでたっても、洗濯女のイメージだ。
いかにアカデミー賞女優といえども、
合わない役柄には苦戦したようだ。

加えて脚本が弱く、
ところどころ差し挟まれる
サラの幻想のミュージカルシーンも違和感を払拭できない。

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Netflix リミテッドシリーズとして3月20日から配信開始。
4話構成で、全部観ても3時間9分。
手頃なので、
ドラマの最初としてはお勧め。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/SJvvuPtyCMU

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連続ドラマ『メシア』  映画関係

最寄りのシネマコンプレックスが閉館となり、
市川妙典に自転車で行くも、そこも閉館となり、
海浜幕張まで遠征する中、
観たい映画が続々公開延期となってしまい、
「映画難民」の様相となっています。

こうなれば、頼りはNetflix
数多くの映画と連続ドラマが月額880円で観られます。

映画はクセのある作品が多く、
このブログでも紹介しづらい。
連続ドラマは、複数シーズンのものでは、
合計30、40エピソードもあり、
なかなか観始める勇気が出ません。

その中で、「メシヤ」という
Netflix オリジナルドラマがなかなか面白かったので、紹介します。

[映画紹介]

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このドラマシリーズ、

2020年元旦に配信開始されたもの。
エピソードは全部で10。
1回が45分前後と短いので、
全部通しても7時間29分と、手頃。

シリアの首都ダマスカスが、
ISIL(イスラーム過激派組織)に包囲された時、
一人の長髪の男アル・マスィーフが民衆に呼びかける。
「我が声を聞け」
「神が敵を撃退してくれるだろう」

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すると、砂嵐が町を包み、ISILは撤退してしまう。
人々は、アル・マスィーフが砂嵐を呼び起こし国を救ったと思い込み、
崇めるようになった。

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彼は人々を引き連れ、
国境を越えてイスラエルに入ろうとするが、
アル・マスィーフは捕らえられ、
アヴィラムという人物から尋問を受ける。
しかし、夜が明けると、
アル・マスィーフは独房から抜け出していた。

次にアル・マスィーフは、
エルサレムの神殿前に現れ、民衆に説教する。
イスラエル警察の発砲で撃たれた少年の
傷ついた箇所をアル・マスィーフが手で押さえると、
少年の傷は治り、銃弾も取り出されていた。
騒動の中でアル・マスィーフは姿を消してしまう。

舞台はアメリカのテキサスに移り、
巨大竜巻が発生して、町を壊滅状態に陥れてしまう。
しかし、竜巻の中、アル・マスィーフが現れ、
教会の建物だけが倒壊を免れた。
そのことがネットで拡散すると、
沢山の人が集まって来て、
中には病気を治してくれることを期待して集まる。
アル・マスィーフは不法入国で逮捕され、
裁判にかけられるが、無罪となる。

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教会のフェリックス・イゲロ牧師の誘導で、
アル・マスィーフと信奉者たちはワシントンDCに向かう。
リンカーン記念館の前の池で、
沢山の人の目前で奇跡を起こしたアル・マスィーフは、
その奇跡が聖書にあるイエスの起こした奇跡と同じだったことから、
「メシヤの再来」と目されるようになる。

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メシアとはヘブライ語のマシアハに由来し、
「(油を)塗られた者」の意。
転じて、救世主=キリストのことを示す。
キリスト教には、メシヤ再臨の教義がある。

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果たしてアル・マスィーフの正体は?
その狙いはどこにあるのか?
彼は詐欺師なのか、それとも本物のメシヤなのか。
やがて、彼の本名と出自が分かる時が来る・・・

この大きな筋にからんで、
アル・マスィーフの正体を追いかけるCIAのエヴァ・ゲラー捜査官、
イスラエルでアル・マスィーフを尋問した諜報員アヴィラム、
アル・マスィーフを救世主と崇める教会の牧師とその家族、
娘の難病をメシアに治してもらおうとする母親、
シリアからの難民たち、 
中でも二人の少年ジブリルとサミルも、
アメリカの政治家たち、特に大統領と政府高官、
などの話がからみ、
パレスチナ問題からアメリカの政治状況をも巻き込んでの
大きな話に発展する。

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一話ごとの終わり方が巧妙なので、次を観たくなる。
特に、第9話の終わり方は抜群。

エルサレムの神殿での大々的なロケ(もしかして、セット?)や
竜巻で壊滅した町や
リンカーン記念館前の池での撮影など、
手を抜かず、力が入っている。

原作・制作はマイケル・ペトローニ
アル・マスィーフを演ずるのは、メディ・デビで、それらしい雰囲気を醸しだす。

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エヴァはミシェル・モナハンで、暗い情念を発散する。

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フェリックス・イゲロ牧師にはジョン・オーティス

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アヴィラムはトメル・シスレー

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最後は思いがけない終わり方で、
シーズン2につなげるつもりかもしれない。

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5段階評価の「3.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/1_F8AwmaT2Y


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映画『サーホー』  映画関係

[映画紹介]

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インドの架空の都市ワージーは犯罪組織の巣窟。
その組織の頂点に君臨するロイが
交通事故と見せかけて殺された。
実力者のデウラージがロイの後継の座を狙うが、
ロイの息子も名乗りを上げる。

一方、ムンバイで200億ルピー(約300億円)の窃盗事件が発生。
犯行に従事した人間が全員傀儡という不思議な事件だ。
その事件に潜入捜査官アショークが
女性捜査官のアムリタと共に
捜査を開始する。
窃盗団を追う中で、
アショークは裏組織が隠し持つ金庫の存在にたどり着く。
その金庫を開けるには、
「ブラックボックス」というものが必要だというが・・・

「バーフバリ」のプラバース主演のクライムアクション。

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監督は「バーフバリ」のS・S・ラージャマウリ監督の弟子であるスジート

アクションはド派手で、
「ミッション:インポッシブル」や
「ワイルドスピード」「マッドマックス」を彷彿とさせるシーンの連続。
ついには「アイアンマン」まで登場する。

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つまり、なんでもありのインド映画。
観客を楽しませることだけを目的とする。
もちろん、ミュージカルシーンもある。

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演じるのが美男美女であることもインド映画の特色。
ヒロインをつとめるのは、
シュラッダー・カプール

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二人が巡る、驚きの景観の場所。
あんな所が本当に実在するのだろうか。

この映画、観客を二度驚かす
まず、映画の丁度半分、
1時間半が経過し、
インドの映画館なら休憩の入るところで、
話が急展開。
「サーハー」とは「万歳」の意味で、
実は人の名前と分かり、
そこで初めてメインタイトルが映し出される。
それまでは前振り、というのは驚く。
その時点で、ストーリーが突然ねじれてしまう。

更に、映画が終わりかけた最後の10分で、
ある人物の正体が明かされる。
えっ、そうだったのか、
と驚くのもインド映画だからだ。

インドのスターシステムで作られた映画。
ひたすら、主役を恰好良く見せるための映画。
実際、プラバースは超カッコいい。

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そういえば、昔の日活映画にも
こんなのがあった。
ずっとショボイけれど。

インド映画の乗りに乗れる人なら楽しめる。
そうでない人は、カルチャーショックで席を立つかもしれない。
何も考えないで、
映画の世界に浸ることの出来る人向け。
リクツを言い始めたら、
こういう映画は楽しめない。

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欠点は長いのと、
音楽が過剰。
「やかましい」のレベルでガンガン鳴る。

5段階評価の「3」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/6iYHy9Jfw_4

新宿ピカデリー他で上映中。

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映画『シェイクスピアの庭』  映画関係

[映画紹介]

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レビューに、
「観るんであれば、シェイクスピアの家族関係を
頭に入れとくことは必須条件」
というのがあったので、
最低限のことは調べて出かけた。

ウィリアム・シェイクスピアの父、
ジョン・シェイクスピアは皮手袋商人として成功し、
町長に選ばれたこともある市会議員だった。
8人の子どもがおり、
ウィリアム(以下、シェイクスピアと表記)は3番目で次男。
父はウェイクスピアの生まれた頃には裕福であったが、
羊毛の闇市場に関わった咎で起訴され、市長職を失った。
このことは、映画の中で影を落とす。

18歳の時、8歳年上のアン・ハサウェイ
(女優のアン・ハサウェイとは別人。
 当たり前だが、念のため。
 ただ、ハサウェイ家の両親が
 アンと命名したのは、シェイクスピアを意識したと思われる。
 アンの母親は舞台女優だから。)
と結婚、3人の子どもをもうけた。
長女はスザンナ、次女はジュディスで、
息子のハムネットはジュディスと双生児で、
11歳の時に夭逝している。

映画は、グローブ座の火事で筆を断ったシェイクスピアが、
1613年、20年ぶりに、
生まれ故郷のストラトフォード=アポン=エイヴォンに
帰郷するところから始まり、
シェイクスピアの晩年の3年間を描く。

送金はしていたものの、
20年間放置していた妻と娘たちとの間には深い溝があり、
シェイクスピアはその相剋に心を砕く。
次女ジュディスの恋人のトマス・クワイニーの「婚前交渉」問題
(マーガレット・ホイーラーという女性が私生児を産み、
 その父親がクワイニーであると主張して
 まもなく母子ともども死亡した事件。
 これは実話。)
でも頭を悩まされ、
シェイクスピアは自分の遺産のうち
ジュディスへ渡る分がクワイニーに行かないよう遺言書を修正した。

しかし、何よりも17年前に亡くなったハムネットへの想いが強く、
ハムネットを悼んで、庭を造成し始める。

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シェイクスピアは、
まだ幼いハムネットの詩作の才能に惚れ込んでいたので、
落胆と悲嘆は尋常ではなかった。
また、疫病で死んだというハムネットの死因に疑いを持ち、
驚愕の事実が知らされる。
(これは、全て脚本家の創作。念のため)

というわけで、
大作家の晩年は、
家庭問題で悩む、失意の人ということになる。
(しつこいようだが、創作です。
 さぞかし沙翁、お墓の下で苦笑していることでしょう)

妻のアンと次女のジュディスが文盲
読み書きが出来なかったことは初めて知った。
当時、女性には教育が必要とされず、
学校にも行かなかったのだ。
だから、アンは結婚許可書の署名欄にバツ印をつけたという。
それが最後になって生きて来る。
当時は男尊女卑で、
女の幸福は結婚して、
誰か男性の所有物になることだった、という。

歴史に残る大作家が
49歳という若さで何故筆を折ったのか、
という謎に迫る本作。
こういうシェイクスピアの晩年が
事実と思われては困るが、
一つのドラマとしては、興味津々で観た。

シェイクスピアは監督のケネス・ブラナーが演ずる。

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まるで別人。

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アンはジュディ・デンチ
シェイスクピアのパトロンであり、
多くの詩を捧げたサウサンプトン伯爵ヘンリー・リズリーを、
イアン・マッケランが演ずる。

ケネス・ブラナーの演出は、
イギリスの田園風景を美しく描くが、
人物の描写は演劇的で、
ロングショットが多く、
登場人物の心理に迫るには、もどかしい。

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1616年4月23日にシェイクスピアは52歳で没した。
引退してから、わずか3年。
死因は腐ったニシンから伝染した感染症であるとされている。

52歳といえば、まだまだ創作意欲は衰えていないはず。
私見だが、シェイクスピアは、
あのままいけば、やがて
ロンドンの劇界に復帰したと思われる。
つまり、早すぎた死
それにしても、
何だって腐ったニシンなんか食べたのか。

なお、長女スザンナは医師のジョン・ホールと結婚し、
娘エリザベス・ホールがシェイクスピア家の最後の1人となった。
だから、シェイクスピア直系の子孫は存在しない。
(一説には、ウィリアム・ダヴェナントという
 婚外で生まれた落胤がいるともされるが、
 その血筋も18世紀の初めで途絶えている。)

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/MtTnU06L-y8

渋谷のル・シネマで上映中。

ストラトフォード=アポン=エイヴォンの
シェイクスピアの生家を訪れた時のブログは、↓をクリック。

シェイクスピアの生家訪問

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映画『Fukushima 50』  映画関係

[映画紹介]

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Fukushima 50とは、
2011年3月11日の
東日本大震災の際に発生した津波によって
福島第一原子力発電所の原子炉の冷却機能が停止し、
懸命の復旧作業にもかかわらず、
水素爆発など度重なる事故が続き、
放射性物質が飛散した可能性の中、
約50人が現地にとどまり、
事故の被害を食い止めることに尽力した。
これを国外メディアが「Fukushima 50」の呼称で呼び始めたもの。
その後、新たに130人以上が加わり、
更に柏崎刈羽原子力発電所や送電線敷設要員も加わり、
総勢580人の体制になった。
また、東芝や日立の原発事故対応チームが加わったが、
人数は増えていったものの、
「Fukushima 50」の名前はそのままメディアで使われ、
彼らを総称する言葉となった。

この映画は、この時に福島第一原発事故に対処した
東京電力の技術者を中心に
放射線汚染のリスクを承知で現場にとどまった人々の
活躍を描いている。
彼らは、危険手当など一切の特別報酬なしに、
被曝の危険と隣り合わせに職務にあたった。
特に、格納容器内の圧力を外に逃がす操作(ベント)が重要で、
そのためには、汚染の可能性のある領域に入って、
手作業でレバーを動かさなければならず、
その「決死隊」を募ると、
沢山の技術者が手を上げた。
年齢、家庭の有無などで選抜された技術者の被爆の危険、
酸素ボンベの容量などから、
時間との闘いが描かれる。

東電本社とのやり取りに腐心する
吉田昌郎所長↓の姿も描かれる。

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現場主義を貫く吉田に対して、
東電本社はてこずり、
声を荒らげて命令する。
吉田は海水注入を待て、
と命令する東電本社に従ったふりをして
注入を実行する。
そして、総理(名前を出さずとも誰もが知っているあの方)が介入し、
現場に乗り込んで怒鳴り散らすなど、
足を引っ張る描写もある。

まあ、時の総理も初めてのことで動転していただろうが、
「現場のことは現場に任せる」という
大原則を守れなかった愚かさは、
やはり批判されるべきだろう。

事故の経過もていねいに描かれる。
地震による停電で外部電源を失ったが、
非常用ディーゼル発電機が起動。
しかし、地震の約50分後、
14mから15mの想定を越える津波が襲い、
地下に設置されていた発電機が海水に浸かって機能喪失。
さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど
多数の設備を損傷または流出で失ったため、
全電源喪失ステーション・ブラックアウト、略称:SBO)に陥り、
原子炉内部や核燃料プールへの注水が不可能となったことで、
核燃料の冷却ができなくなった。
核燃料は膨大な崩壊熱を発するため、
注水し続けなければ原子炉内が空焚きとなり、
核燃料が自らの熱で溶け出す。

実際、1 ・2 ・3 号機ともに、
炉心溶融(メルトダウン)が起き、
溶融燃料の一部が圧力容器の外側に漏れ出した(メルトスルー)。
1 、3 号機ともメルトダウンの影響で、
水素ガスが大量発生して爆発し、
原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破した。

しかし、奇跡的に原子炉そのものの爆発は起こらなかった。
もし原子炉が爆発していたら、
東日本は壊滅するところだった。
水蒸気がある場所で抜けたことから、
それ以上の爆発が防げたわけで、
まさに、奇跡が起こったとしか思えない。

しかし、その奇跡も、
現場の職員たちのすさまじい努力があったから
もたらされたものであることが、
この映画を見ると分かる。

吉田所長が、関連会社の人々に感謝の言葉を述べ、
退去をうながした時、
自衛隊がそれ拒み、
「我々の使命は国民の安全を守ることですから」
と留まった時、
意気に感じた吉田所長が「失礼しました」と
頭を下げるところは感動する。

事故が起こった時、
命を省みずに対応する技術者の姿は、
公を私より優先させる、
まさに「日本人だなあ」と思わざるを得ない。
その心意気に神様が奇跡を起こしたと思いたい。

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それにつけても、
非公開だった「吉田調書」
(吉田昌郎が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた調書)
を秘かに入手して、
福島第一原子力発電所にいた所員の9割に当たる
約650人が吉田の待機命令に違反し、
撤退していたと報道した朝日新聞
その後、同じく調書を入手した他のメディアによって、
それが誤報だと暴かれて、謝罪した。
しかし、「所長命令に違反 原発撤退」の見出しで報じた記事は、
外国に拡散し、
たとえば、ニューヨーク・タイムズは
「パニックに陥った作業員が原発から逃走」
などと批判的な論調で一斉に報じた。

あとで、誤報であると謝ったとて、
一度拡散した記事は消せない。
「吉田調書」のどこをどう読んだら、
ああいう記事になるのか不思議だが、
日本を貶めようという、
誤った視点から読めば、
そう読めたということだろう。
つまり、朝日新聞の体質があの誤報を生んだと言えよう。

日本の危機に命懸けで対処しようとした、
原発の人々の努力を
一時的にせよ
海外メディアの嘲笑にさらした
朝日新聞は許せない。

門田隆将のノンフィクション
「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を映画化。

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ドラマシリーズ「沈まぬ太陽」の前川洋一が脚色、
映画版「沈まぬ太陽」の若松節朗がメガホンを取った。

あの原発事故の現場で何が起こっていたか、
を広く告げる、緊迫感あふれる作品。
現場のセットなど、
スタッフの努力がうかがえるリアルさ。

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今、この役を演じられるのは、
この人しかいない、と思われる、渡辺謙をはじめ、

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出演者の熱量は熱いが、
怒鳴り声のセリフが聞き取れない難がある。

なお、Fukushima 50のメンバーについては、
氏名や所属会社を含む一切の情報の開示が、
東京電力によって拒絶されている。
つまり、「名も無き英雄たち」の物語である。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/JO2U_5jRDEo

拡大公開中。


題材からして、賛否両論ある内容だが、
↓の山口浩駒澤大学教授の論文がよくまとまっている。

事実と表現、記録と記憶:『Fukushima 50』とそれへの批判について考える


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