映画『コーダ あいのうた』  映画関係

[映画紹介] 

クリックすると元のサイズで表示します
                              
コーダ(coda)とは、
楽曲において独立して作られた終結部分のこと、
で、そういう内容の音楽を扱った映画、
と思っていたら、
そうではなく、
CODAとは、
Children of Deaf Adults
つまり、
聞こえない・聞こえにくい親を持つ
聞こえる子供
のことを指す。

アメリカの東海岸の漁村で暮らす高校生のルビーは、
両親と兄の4人家族の中で
一人だけ耳が聞こえる。
だから、ルビーは幼い頃から家族のための“通訳”となり、
家業の漁業も手伝っていた。

クリックすると元のサイズで表示します

新学期、合唱クラブに入会したルビー。
すると、顧問の音楽教師がルビーの歌の才能に気づき、
都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。
しかし、ルビーの歌声を聞いたことのない両親は、
家業の方が大事だと大反対。
“通訳”がいてくれないと困るのだ。

クリックすると元のサイズで表示します

おりしも、漁獲した魚を不当に搾取されていた漁師たちは、
ルビーの父親を先頭に、
新しい協同組合(字幕では共同組合)設立を目指す。
その手伝いをしていたルビーは、
練習に遅れがちで、音楽教師を怒らせる。
一方、ルビーを欠いて操業に出た父と兄は、
警備艇の警告に気づかず、免許を取り上げられてしまった。
そして、合唱団の発表会が来て・・・

クリックすると元のサイズで表示します

投げかける問題は結構深刻だ。
それは、子供の将来を家族のために犠牲に出来るかどうか
かなり普遍的問題だ。
しかも、ルビーの才能は、音楽。
しかし、家族たちは耳が聞こえず、
誰一人として、その才能に気づいてやれない。
何という運命のいたずら。
そうした娘と両親の葛藤を
大変ていねいに描く。
母との対話、兄との対話、
そして、音楽発表会で、聞こえない家族たち。
この場面での、無音の描写は胸を打つ。
そして、夜中、父親に乞われて歌う
ルビーの喉元に手を当てて、
父親はその歌声を感じようとする。
更に、音楽大学のオーディションに参加したルビーが、
座席の2階に家族がいることに気づいて、
手話で音楽を伝えようとする。
音楽教師は伴奏を買って出る。
こうした数々の感動のシャボン玉が、
次々と弾けて、
終わりの方は涙々の展開となる。
それも押しつけがましくなく、
さわやかで、暖かい。
支え合っていた家族が、
娘の成長と未来のために
新たな段階を迎える。
家族の輝く、美しい瞬間

クリックすると元のサイズで表示します

今年屈指の収穫だ。
                         
父、母、兄、音楽教師の描写が
過不足なく描かれる。
その役者たちが、みんないい。

主人公のルビーには、エミリア・ジョーンズ
自分で歌っている。

クリックすると元のサイズで表示します

この種の映画は、
主人公の歌が観客を納得させるものでなければ成功しないが、
誰もが認める歌唱力。
その上演技も魅力的。

家族たちは、実際に耳の聞こえない俳優たちで、
父親役は、トロイ・コッツァー

クリックすると元のサイズで表示します

母親役は、マーリー・マトリン

クリックすると元のサイズで表示します

ご存じですか?
「愛は静けさの中に」(1986)の耳の聞こえない役で
アカデミー賞主演女優賞を取った方。
兄役はダニエル・デュラント
この人もいい。

クリックすると元のサイズで表示します

全員聴覚障害者だから、
手話は本物。

監督・脚本はシアン・ヘダー
ヘダーは、
「耳の聞こえない人の役があるのに、
耳の聞こえない優秀な役者を起用しないというのは考えられなかった」

と語っている。
映画の出資者たちはマーリー・マトリン以外の
聴覚障害者の俳優を起用することに抵抗したが、
マトリンが
聴覚障害の俳優を起用しなければ降板すると言い、
最終的に出資者らはこれを受け入れたという。
正解。

サンダンス映画祭で、史上最多4冠に輝いた。
フランス映画「エール!」(2014)の英語版リメイク。

5段階の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/JF7GR2UMmtk

拡大公開中。



タグ: 映画

映画『ミュンヘン:戦火燃ゆる前に』  映画関係

[映画紹介]

クリックすると元のサイズで表示します

第2次世界大戦前のミュンヘン会談を描く歴史ドラマ。

ミュンヘン会談・・・
チェコスロバキアのズデーテン地方帰属問題解決のため、
イギリス、フランス、イタリア、ドイツの首脳が出席し、
1938年9月29日から30日に、
ドイツのミュンヘンで開催された国際会議。
ドイツ系住民が多数を占めるズデーテンの
トイツへの帰属を主張したヒトラーに対し、
戦争を回避したい英仏の首脳は、
これ以上の領土要求を行わないことを条件に、
ヒトラーの要求を全面的に認め、
9月29日付けで署名された。
その結果、英国のチェンバレン首相は、
戦争を回避したとして、国民の圧倒的支持を受けた。
しかし、後に「ミュンヘン宥和」と呼ばれるように、
この決定はドイツの更なる増長を招き、
結果的に第二次世界大戦を引き起こしたことから、
一般には強く批判されることが多い。


これを題材にした
ロバート・ハリスの世界的ベストセラー小説が原作。

まず、1932年、
英国留学したドイツ人のポール・フォン・ハートマンとレナ、
英国人ヒュー・レガトとの
オックスフォードでの学生時代の友情が描かれる。
それから6年、
ナチスドイツの台頭により、
ヨーロッパには戦争の危機が迫る1938年。
ヒトラーがチェコスロバキアへの侵攻を準備する中、
ネヴィル・チェンバレン首相は、
戦争回避を求める国民の声に押され、
平和的な解決を図ろうとしていた。
ヒトラーは一時的にチェコスロバキアへの侵攻を延期し、
ミュンヘンでの会談に英仏伊の首脳を招待する。
チェンバレンの私設秘書になっていたヒューは、
随行員として、ミュンヘンに向かう。

一方、ドイツ外交官ポールは、
ヒトラーのチェコスロバキア侵攻を契機に
ヒトラーを逮捕しようとする軍の陰謀に加担しており、
ヒトラーの領土的野心が語られた議事録を手に入れ、
それをヒューに渡し、
チェンバレンに署名しないことを要請しようとする。
通訳として会議に赴いたポールは
ヒューに会って文書を渡し、
チェンバレンに会わせてくれるよう頼むが・・・

クリックすると元のサイズで表示します

イギリスとドイツ二つの場所での
友情に結ばれた二人を描き、
いざ会談の場で、
二人が再会し、
文書を渡せるか、
チェンバレンの署名を阻止出来るのか、
ヒトラーへの暗殺計画は実行されるのか、
との素晴らしいサスペンスドラマが展開する。
特に、3分間との約束で、
チェンバレンとポールとヒューの三人が会う場の
緊張感はすさまじく、圧巻
そして、その後のヒトラーの銃殺計画へと緊張が続く。

史実と創作がないまぜになった歴史人間ドラマ。
見応え満点

監督は、クリスティアン・シュヴォホー
ヒューを「1917 命をかけた伝令」のジョージ・マッケイ

クリックすると元のサイズで表示します

ポールをヤニス・ニーヴナー
チェンバレンをジェレミー・アイアンズが演じ、
それぞれ見事な演技を見せる。

当時のドイツの雰囲気を再現した美術が素晴らしく
ナチ一色になった当時のドイツの描写が恐ろしい。
ポールの言葉、
「俺たちは生まれてくる時代は選べない。
だけど、どう生きるかは選ぶことができる」

が胸に響く。

1月21日からNetflixで配信。
観ないと損をする。

なお、チェンバレンとミュンヘン宥和は、
歴史上の失敗例として言われることが多いが、
ラストの字幕では、
ミュンヘン会議の結果、
連合国側の戦争準備が整い、
結果として大戦で勝利した、
という解釈がされている。
チェンバレンも単なる弱腰政治家ではなく、
第1次世界大戦の悲惨さを知っており、
あの惨劇を再現しまいとする
平和の政治家として描かれている。
もっとも、そのチェンバレンの願いを
ヒトラーの野望は越えていたわけだが。

この状態は現在も続き、
ロシアのウクライナ問題、
中国の台湾侵攻など、
明日にも「ミュンヘン宥和」が再現されそうな気配で、
世界は教訓とする必要がある。                         
特に日本の弱腰政治家には。

予告編は↓をクリック。
                                        https://youtu.be/kp8f-ZM5q-8

タグ: 映画

映画『ディズニー映画の名曲を作った兄弟: シャーマン・ブラザーズ』  映画関係

[映画紹介]

クリックすると元のサイズで表示します

ウォルト・ディズニーは、
映画の中での音楽の重要さをよく知っており、
数々のディズニー・メロディーを世に送り出した。
一時期、そのディズニー映画の音楽の主力を担ったのが、
シャーマン兄弟
兄は、ロバート・シャーマン(1925年12月19日〜2012年3月6日)。
弟は、リチャード・シャーマン(1928年6 月12日〜)。
その音楽とディズニーとの関わりを辿るドキュメンタリーが、この作品。
原題は、
the boys
the sherman brothers’story


クリックすると元のサイズで表示します

家系はロシア系ユダヤ人移民。
父親は高名な作詞・作曲家、アル・シャーマン(1897 〜1973) 。
子供の頃、よく家族で凧揚げに行った、
というのが、
「メリー・ポピンズ」の中でも使われている。
父親の影響でそれぞれ独自に
当時の流行歌の作詞作曲家として活躍した後、
1960年代にウォルト・ディズニーに請われて
ディズニー・プロダクションを訪れ、
「私のために曲を書いてくれ」
と言われて、専属作曲家になった。
もらった最初の給料が500ドル。
当時としては大金だ。
それもじきに600ドルに上がったという。

クリックすると元のサイズで表示します

この映画を観て、初めて知ったが、
その最初の曲が
「罠にかかったパパとママ」
「レッツ・ゲッツ・トゥギャザー」。
「双子のロッテ」を原作とするこの映画で、
イギリスの名優、ジョン・ミルズの娘の
ヘイリー・ミルズが、双子の姉妹を演じ、
合成で同じ画面の中で、
この歌を歌う。
中学時代の私の心を掴んだ映画であり、歌。
これがシャーマン兄弟の作詞・作曲だったとは。

映像を観たい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/6Fu4jkhshLY?t=18

そして、「メリー・ポピンズ」の本を渡された。
二人で相談し、映画化にあたって6つの章を選んだところ、
それはディズニーの選んだ章と全く一致していた。

クリックすると元のサイズで表示します

「二ペンスを鳩に」を聞かせた時、
ウォルト・ディズニーは、「まさに、これだ」と言った。
ウォルトは、「音楽は物語だ」と常々言っていた。

「二ペンスを鳩に」を聞きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/oQPJvzhqr4U?t=12

二人の作曲法は、
まずアイデアありき、で、
それから歌詞と曲を作る方法。
たとえば、ロバートの息子が学校から帰った後、
予防接種の話をした。
当時は飲む方法で、
「つらくなかったか」と父が聞くと、
息子は「スプーンの上で、砂糖と薬を混ぜて飲むから大丈夫」
と言った。
そこから、あの「一匙の砂糖」の歌が生まれたという。

「一匙の砂糖」を聞きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/GQ2_4AB886w?t=61

「メリー・ポピンズ」は、
映画にミュージカルの感性を持ち込んだと言われる。
ジュリー・アンドリュースの初主演作。
当時、ジュリーは初映画におじけづき、
歌をなくしてほしいと言ったという。
あの映画から歌を除いたら、何が残る?
「アイズ・オブ・ラブ」という曲は、
ジュリーの反対で使われなかった。

クリックすると元のサイズで表示します

せっかく作った「メリー・ポピンズ」の上映は
延期になった。
ディズニーが原作者P.L.トラバースの映画化の許諾を
まだ受けていなかったのだ。
このあたりのトラバースとウォルトの確執は、
映画「ウォルト・ディズニーの約束」(2013)に詳しい。

クリックすると元のサイズで表示します

トラバースは子供の本を書くくせに
子供が嫌いで、
ディズニーの様々な提案をことごとく却下したという。
ミュージカル化も含めて。
試写会が終わった後も、いろいろ言おうとするので、
ディズニーは「もう船は出てしまったのです」と言ったという。

「メリ・ポピンズ」は、その年のアカデミー賞で、
作曲賞と歌曲賞を受賞。
二人の存在は不動のものとなった。

「クマのプーさん」については、
本を読んで、二人は
「子供向きで、つまらない」と言ったという。
おやおや。

その後、ディズニーのために「ジャングル・ブック」などを書く。
万博のユニセフ館のために作曲し、それは、
ディズニーランドのアトラクションとなった
「イッツ・ア・スモール・ワールド」も二人の作品。
ディズニーランドの中の「魅惑のチキ・ルーム」も同じ。
どちらも、一度聞いたら忘れられないメロディー。
というか、二人の曲は、
どれも心に残る、明るい、
耳に残る曲ばかり。

その後、ディズニーではないが、
「チキ・チキ・バンバン」の曲も担当。
私が感銘を受けた「シャーロットのおくりもの」も
二人の作品だと、この映画で初めて知った。

クリックすると元のサイズで表示します

リンゴ・スターの歌う
「ユア・シックスティーン」も兄弟が作った。

70年代後半に
「おしゃれキャット」「ベッド飾りとホウキ」
ディズニー作品に携わるが、
もう昔のディズニーではなかった。

実は二人の仲は、それほど良くなく、
やがて、二人の関係は破綻し、
兄のロバートはロンドンに移り住んでしまう。
妻の死から、思い出のない場所に逃れたのだという。
弟はビバリー・ヒルズから離れず、
それからの交流は途絶える。
その後、兄は絵画を描くようになる。

ミュージカル「メリー・ポピンズ」の
ブロードウェイ初日(2006年11月15日)に
二人は再会するが、
きまずい雰囲気。
とうとう、関係は戻らずじまいだった。

ただ、最後に、紹介される兄の言葉が胸を打つ。
「弟には、良い人生だったと言ってほしい。
今までの人生を振り返っても、
何の悔いもない」


ジュリー・アンドリュース、ディック・ヴァン・ダイク、
アンジェラ・ランズベリー、ヘイリー・ミルズ、
ロイ・E・ディズニー、ケニー・ロギンズ、
ジョン・ラセター、ベン・スティラー
ら錚々たるメンバーがインタビューで登場。
特に
ジョン・ランディス、ランディ・ニューマン、
ジョン・ウィリアムズ、アラン・メンケンら
二人を尊敬する作曲家たちの話が興味深い。

ロバートの息子ジェフ・シャーマン、
リチャードの息子グレッグ・シャーマン
(つまり、従兄弟同士)
がそれぞれの父親にインタビューする。
二人の息子は、
この映画の監督・製作もつとめる。

2009年のディズニー映画。
ディズニー・プラスで視聴。

クリックすると元のサイズで表示します


映画『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』  映画関係

[映画紹介]

クリックすると元のサイズで表示します

「スパイダーマン」シリーズには、
実は3つの系列がある。

まず、サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演の
「スパイダーマン」(2002年)
「スパイダーマン2」(2004年)
「スパイダーマン3」(2007年)
の三部作。

次に、マーク・ウェブ監督、アンドリュー・ガーフィールド主演の
「アメイジング・スパイダーマン」(2012年)
「アメイジング・スパイダーマン2」(2014年)

そして、マーベル・シネマティック・ユニバースの中での、
トム・ホランド主演のもの。
中でも
「スパイダーマン: ホームカミング」(2016年)
「スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム」(2019年)
そして、本作の
「スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム」(2021年)
となる。

公開初日に、
スパイダーマンおタクの娘が観て来て、
感想を聞くと、
「何も言えない」と言う。
「何か話せば、ネタばれになってしまうから」と。
「え、何かあるの? 
スパイダーマン、死ぬの?」
と聞いても、黙って答えない。
もともと娘はネタばれには厳しい人で、
私が先に観た映画を話そうとすると、断固拒否。
予告編さえ、目をつぶる人だ。

というわけで、私は予備知識なしに観た。

前作のラストからつながり、
前作の敵、ミステリオの残した映像により
スパイダーマンの正体が
ピーター・パーカーであることが全世界に明らかにされ、
しかも、ピーターは悪役に仕立て上げられる。
自分自身の人生だけではなく
恋人のMJや親友のネッド、メイおばさんら
周囲の人にも影響を及ぼしている状況に耐えかねたピーターは
ドクター・ストレンジに助けを求める。
忘却術で全世界の人間の記憶から
「ピーター・パーカーがスパイダーマンである」
という記憶を抹消することにしたストレンジは
魔術に取り掛かるが、
途中、ピーターの様々な要望を受け入れようとしたため、
魔術に失敗。
その結果、異なる世界(マルチバース) から
スパイダーマンを知る者を呼び寄せてしまう。
グリーン・ゴブリンやドクター・オクトパス、
サンドマンなど、
過去作の悪役がどんどん登場する。
そして事態は思わぬ方向へ向かって行く・・・

クリックすると元のサイズで表示します

その「思わぬ方向」が今作のミソ。
その場面になった時、
私は座席で「おお」と声をあげてしまった。
では、次は、もしや、と思っていると、
そのとおりになり、
映画は後半、全く違った様相を呈する。

なるほど、娘がネタばれしなかったはずだ。
知っていたら、あの驚きと興奮は生まれなかっただろう。

そういうわけで、
この作品は、
3系統にわたった「スパイダーマン」の終結を意味する。
(かな?)
こんな展開を思いついた人は一体誰なのか。
その人には、ノーベル賞か文化勲章をあげたい。
それとも、アニメ作品「スパイダーバース」の時に、
この構想は生まれたのか。
そして、あのラストシーンは、
スパイダーマンファンは滂沱の涙を流すだろう。
実際娘は、泣いて帰って来た。

エンドクレジットに、
2回映像が付くので、席を立たないように。

映画館から家に戻ると、
娘が「どうだった」と聞いてきた。
私の答えは、これ。
「ネタばれしないでくれて、ありがとう」

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

拡大公開中。

クリックすると元のサイズで表示します

なお、「おお」の場面では、
アメリカやフランスの映画館では、
大騒ぎをするらしい。
(映像で観た)
日本の観客は静かだ。


タグ: 映画

ドラマ『第三の時効』  映画関係

[ドラマ紹介]

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

横山秀夫原作のドラマ。
「F県警強行犯シリーズ」だが、
「F県」は、「山梨県」に特定されている。

刑事部捜査第一課強行犯捜査2係の班長楠木(くすき)は、
公安畑出身で、「冷血」とあだなされている。
未解決事件は一つもない。
その楠見が、あと時効まで一カ月を残す
20年前の傷害致死事件を、
自ら望んで扱うことになった。
「時効は警察の敗北」だからだ。

20年前、主婦の本間ゆき絵が、
エアコンを取り付けに来た竹内に犯され、
その時、たまたま帰宅した夫と揉み合い、
倒れた際、花瓶に頭をぶつけた夫が死に至った事件。
竹内とゆき絵は幼なじみだった。

竹内は逃走、20年の歳月が経ったが、
その間、台湾に1週間行っていたことが分かっている。
その後、ゆき絵が妊娠。
父親が竹内である可能性があった。
ゆき絵は女児を生み、
今では看護学校に通う学生だ。

3年前、竹内からゆき絵に対し、
「あの子は、俺の娘か」という電話がかかっており、
時効になったら、竹内が接触して来るものと見た
楠見は娘の周辺を監視する。

そして、事件発生から20年の日を迎える。
殺人罪の時効は撤廃されたが、
傷害致死の時効は20年。
竹内からの電話に備え、
市内に捜査員を散らばらせ、
公衆電話を監視する。

その日の12時を過ぎても、
竹内からの電話はなかった。
しかし、楠見は、
「それは、第一の時効。
台湾に出国した分を加えた1週間後が第二の時効だ」
と捜査を続ける。
外国にいる間、時効が停止することは、
よく知られているから、
竹内は、それまでは連絡してこないだろう、
と推測していた。

そして、1週間後の深夜12時。
時効成立、と思われた途端、
楠見は、「続行」と宣言する。
「犯人を告訴した。
逮捕しなくても、起訴は出来る」


つまり、刑事事件における時効とは、
「提訴の時効」を意味し、
裁判において罪に問う権利を失うこと。
犯人を特定していれば、起訴は出来る。

ただし、公判は1カ月後に指定されたから、
それまでに犯人を捕まえればいいことになる。
これが題名の「第三の時効」の意味。

こうして、「第二の時効」が成立した後、
「第三の時効」までの間に
竹内から電話が入る。
公衆電話が特定され、
捜査員がかけつけ、竹内の身柄は拘束された。

そして、それから起こる展開は意表をつく。
まさに、思いがけない事実が判明する。

これに関連して、楠見や部下の過去が描写されるが、
本筋には関係ない。
また、3年前の竹内の電話が
何者かによってマスコミにリークされた件、
楠見の「犯人を告訴した」の言葉に含まれた意味など、
いかにも横山秀夫らしい仕掛けが炸裂する。

まあ、「第三の時効」は、
理論上はそのとおりだが、
裁判所は、そんな告訴を受理しないだろう。

楠見を演ずるのは、松重豊
いかにもクセのある、
公安上がりの刑事を好演する。

クリックすると元のサイズで表示します

2003年2月にTBSでドラマ化。
楠見に段田安則、
本間ゆき絵に余貴美子。

2021年11月29日、
テレビ東京において再ドラマ化されたのを観た。
本間ゆき絵には、ともさかりえ

クリックすると元のサイズで表示します

演出は朝烏ツワ子
脚本は青島武
                               
タグ: 映画




AutoPage最新お知らせ