空飛ぶタイヤ  

昨日は家でゆっくりし、本日は日曜出勤。
電話がかかってこない職場で、
仕事が進むこと、進むこと。
例のお役人からの「宿題」は、
数字的根拠を入れて、仕上げてしまいました。

さて、昨日、初めて、映画館で「シニアの権利」を行使
保険証を差し出すと、
ボックスの女の子は「あ、それ、要りませんから」。
「年齢、証明しなくていいんですか」と訊くと、
「信用します」。

不思議。
学生割引の学生証提示は当然としても、
「夫婦50割引」の時は証明書が必要なのに。

ちなみに、レディス・デーも、申告があればそのままスルー。
たまに「どうみてもあの人は男だ」という時も、
不問に付すそうです。
「あなた、本当は男でしょう」と言ったら一騒動ですから。

ボックスでアルバイトをした経験のある人の話では、
本当に女装して現れる人がいるそうです。
老けた方、華奢な方は、映画は千円。
その勇気があればですが。

以上は、舞浜のシネマイクスピアリの話。
本日夜、豊洲のユナイテッド・シネマでは、
「年齢の分かるもの、何かありますか」
と保険証の提示を求められました。
映画館によって違うので、ご注意。

[書籍紹介]

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江戸川乱歩賞作家・池井戸潤の作品。
先の直木賞候補にもなったが、選にもれた。

大型トレーラーの脱輪人身事故をめぐり、
中小運送会社の社長が真相究明のために大企業と闘う。
これに自動車メーカーと系列銀行の内部抗争、
社長の息子の学校でのいじめ事件がからむ。
490ページの大作。しかも二段組。
開いた時にゲッと思ったが、
遅滞なく最後まで読ませた。

明らかに〇菱自動車がモデルと思われる内容。
「一時国有化された弱小都市銀行」というのも出て来るが、
これはりそな銀行のようだ。
前者が財閥系の古い体質を変えられずに動きの取れない状態に描くのに比べ、
こちらは本質を見失わない正しい銀行の姿として扱われているのが面白い。

事務局長が興味津々で読んだのは、
登場人物がこの事故の真相解明を巡って、
人間としての真価を問われるからだ。

主人公の社長は、
形勢不利と見た自動車会社から1億円を提示されて
訴訟を取り下げるように迫られる。
倒産寸前の会社を建て直すためにのどから手が出るほど欲しい金だが、
社長は、事故で死んだ女性の家族、特に、残された子供の姿を思い出して、
悩んだ末に拒絶する。

一方、事故の本質がリコール隠しにあることをつかんだ自動車会社の課長は
会社の上層部からおいしい地位を約束されて移ってしまう。

また、運送会社の整備不良だという予見捜査をした刑事は、
真相が見えて捜査方針を変えたことで
刑事仲間から「プライドはないのか」と非難されると、
「プライドは捨てた」と言い切る。
「俺のプライドないんざ、どうでもいい。
忘れちゃなんねえのは、被害者の悔しさだろうよ」
そう言って、真相の解明に踏み出す。

自動車会社への支援融資を迫られる系列銀行の課長は
ことの真相を知って、上司のプレッシャーをはねのけて、
融資を断る異例の稟議を上げる・・・

こんな風に、一人一人が極限状況に置かれて、
魂のあり方を問われる。

こういう小説、好きですね。

一度考えてみて下さい。
自分が、いくら金を積まれたら、魂を売り渡すか。
100万円くらいじゃそんなことはしない、という人も
5000万円、あるいは1億円を目の前に積まれたら、
友や親戚や仲間、同志、仕事相手を裏切るかもしれません。
その時、その人の魂の値段が決まります。

話は飛びますが、
昔、「いろはにほへと」という映画がありまして。
テレビの芸術祭賞を取った作品の映画化。
1960年作品。
脚本は橋本忍、監督は中村登
記録では主演佐田啓二となっていますが、
本当の主役は伊藤雄之助
そう、あの馬面の名脇役です。

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「投資経済会」という消費者金融を捜査する刑事の話。
例の「光クラブ事件」がモデルで、
堀江貴文のライブドア事件の時、
光クラブとの類似がとりざたされましたが、
テレビドラマに2度なっていることには触れても、
「いろはにほへと」について書いた人はいませんでした。

内偵していた刑事・伊藤雄之助は、
捜査から手を引くように迫られて、
目の前に500万円の札束を積まれる。
50年前の500万円ですから、大変なものです。
安月給の刑事にしてみれば、
どんなに欲しいかわからない。
しかし、伊藤は拒み、
「あんたがたが、こんなことをするのは、
やはり裏に何かがあるからだ」
と犯罪の確証を得て、
最後は逮捕まで持ち込みます。
投資経済会の理事長(佐田)は、
伊藤に向かい
「金で動かしえなかった人間は
あなた一人だけだった」
と言う。

しかし、
黒幕の政治家たちは見逃され、
惚れていた飲み屋のおかみからも袖にされ、
伊藤は苦い勝利と敗北感の交錯の中で、
一升瓶で酒を飲みながら、
「いろはにほへと」という戯れ歌を歌う。
その背中がラストシーン。

この映画を観た時、事務局長は中学1年生
うたれました。
人間がどんな価値観を大切に思って生きるか、
どの線を越えると、
人間は人間でなくなるか。


「いろはにほへと」で検索すると、
マンガと居酒屋の名前ばかり出てきます。
伊藤雄之助の出演作リストにも載っていないことがあります。
事務局長の記憶では、
おそらく彼のただ1本の主演映画
心に残る映画でした。

脇道にそれましたが、
「空飛ぶタイヤ」、
読んで損はありませんので、どうぞ。
しかし、この題名は何とかならないか。




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