小説『三体』  書籍関係

[書籍紹介]

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中国発の長編SF小説
2006年5月から12月まで
中国のSF雑誌「科幻世界」で連載され、
2008年1月に重慶出版社によって単行本が出版された。

英訳されると反響を呼び、
2015年、SFの世界最大の賞である「ヒューゴー賞」を、
翻訳書として、アジア人作家として初めて受賞。

バラク・オバマ前大統領、マーク・ザッカーバーグ、
ジェームズ・キャメロン監督も絶賛。

日本語版は
2019年7月4日に早川書房より発売された。
日本語訳は、光吉さくらとワン・チャイの
中国語からの共訳による翻訳原稿を、
中国語の分からない大森望が英訳版を読みながら改稿したもの。

三体とは、天体力学の「三体問題」に由来する。
三体問題とは、3つの天体が互いに万有引力を及ぼし合いながら、
どのように運動するかという問題で、
一般的には解けないことが証明されている。

たとえば真空中に物体が1つだけある時、
それは永遠に静止し続ける。
これが2つになるとやがて万有引力で衝突するが、
この時に2つの物体に同じ方向へ力を与えると、
引力が釣り合って安定し、
互いの周りを回る円運動を始める。
更に物体が3つになると、
予想は不可能になる。
3つの物体は常に位置を変え、
その都度、万有引力を発揮するため、
すべての軌道が歪み続ける。
このような、3つの物体の動きを正確に予想できない、
というのが三体問題である。

本書では、はるか数光年先の宇宙で、
3つの恒星(太陽)に支配される星として登場し、
その星の文明を表すVRゲームとしても扱われる。

冒頭、1967年、
紅衛兵による知識人糾弾場面が出て、驚かされる。
天体物理学専攻の女子大生・葉文潔(イエ・ウェンジエ)は、
物理学者で大学教授の父親が、
紅衛兵によって惨殺される現場に居合わせる。
文潔は、強制労働で伐採現場に従事している時、
巨大なパラボラアンテナの建造された
秘密軍事基地にスカウトされる。

40数年後、ナノマテリアル開発者の汪森
(おう・びょう、ワン・ミャオ、森は木ではなく水が3つ)は,
ある会議に呼ばれ
世界的な科学者が次々に自殺していることを知らされる。
その背後に見え隠れする謎の組織「科学フロンティア」。
汪は組織への潜入を引き受けることに。
やがて、汪の撮る写真に謎のカウントダウンが現れ、
汪の視力の中にもカントダウンは侵入して来る。
                                        
この汪を巡る話に並行して、
汪がVスーツを装着して、
VRゲーム「三体」にアクセスする、
そのゲームの内容が語られる。
それは、三つの太陽を持つ惑星における不思議な事象で、
三つの太陽がもたらす天変地異によって、
文明が滅亡を繰り返す様が描かれている。
その中には、人海戦術によるコンピューターの創出など
興味ある話も展開する。
また、カエサルとニュートン、ノイマン、
始皇帝らが一堂に会する回もある。

汪は、葉文潔に接触し、秘密基地での体験を聞く。
ここで、本書の真の主人公が葉文潔であったことが判明。
そのパラボラアンテナは、
実は、地球外知的生命体探査計画のもので、
ある時、太陽を増幅器として発信した電波に
初めて応答がある。
それは、再び発信すると、場所が特定され、
自分たちの文明による侵略を受けるから、
応答するな、というものだった。
しかし、葉文潔は、地球の文明に絶望しており、
その高度な異文明によって解決してもらうのを望んで、
発信する。
電波を送って来たのは、
太陽系に最も近い恒星系、
三重星系として知られるケンタウルス座アルファ星系に存在する
惑星に住む異星人・三体星人で、
それから、三体の世界と地球の世界は、関わりを持ち始める。

という3つの話がからみあいながら進行し、
最終的に、異文明からの艦隊が地球に向けて発進され、
450年後に地球に到達するという事実が明らかになる。

これらの話が、ミステリー風に、
また、文化大革命を巡る歴史絵巻風に、
更にVRゲームを巡る文明批判風にからみあい進行する。

途中、難しい宇宙理論が展開されたり、
難解なところもあり、
読むのに苦労した。

しかし、地球外生命との遭遇ものという骨格が明らかになるにつれ、
興味は尽きない。

途中、パナマ運河を走行する船に仕掛けられた
ナノテクノロジーの素材により、
船が薄皮状に切断され、
乗員が全員死亡するシーンなど、面白い。
そこで初めて汪がナノマテリアル開発者だったことが生きて来る。
また、VRゲームの中で、
登場人物が脱水して、ひからびた状態で           
再生の時を待つ、などという驚くべき設定もある。
また、三体星人が、
地球のテクノロジーの進化速度の加速度から、
450年後に到達した時には、
地球が三体星人の文明を越えているのではないか、
と心配するのも面白い。
そのために2つの陽子を地球に送る。

ともかくスケールの大きさに目がくらむ。
そして、知的好奇心を刺激する。
まさにSFの使命だ。

それにしても、450年後の地球がどうなっているのか、
異星人との遭遇によって地球は滅ぼされるのか、
そういった話は続編になる模様。

実は、本書は「地球往時」三部作の一冊目にすぎない。
2の「黒暗森林」、
3の「死神永生」に続く。
分量は2が1の1.5倍、
3が1の2倍あるという。

三部作は、本国版が合計2100万部、
英訳版が100万部以上の売上を記録しているという。

Amazonが10億ドルを投じて「三体」のドラマ制作を目指しているという。




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