映画とノベライズ本『決算!忠臣蔵』  映画関係

[映画紹介]「書籍紹介]

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忠臣蔵を経費面から描く、というユニークな映画。
原作は、東京大学史料編纂所教授・山本博文の著作。
赤穂浪士が吉良邸討ち入りに費やした資金は約七百両(8400万円)。

(当時のかけそばが16文で、
 今の値段480円で換算すると、1文=30円。 
 1両は12万円)

大石内蔵助は討ち入り決行までの間に
使用した費用全てを帳簿に記録していた。
その「決算書」=「預置候金銀請払帳」を収録し、
史料から「忠臣蔵」の裏側に迫ったのが、
山本博文『「忠臣蔵」の決算書』(2012、新潮新書)。

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この原作に基づいて、物語を作り、映画化したのが
「決算! 忠臣蔵」で、

文庫本は、
監督の中村義洋の手により、ノベル化したもの。

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映画の方は、大石内蔵助に堤真一

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その幼馴染みで経理担当(勘定方)の矢頭長助に岡村隆史を配し、

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吉本興行の芸人たちが多数出演している。

1701年、赤穂藩藩主・浅野内匠頭が江戸城・松之廊下で刃傷騒ぎを起こし、
浅野家お取り潰しと内匠頭の即日切腹が決まる。

まず描かれるのは、
赤穂藩内での開城派(おとなしく幕府に城を明け渡す)と
籠城派(幕府軍と徹底抗戦する)との確執。
籠城決戦すると割賦金(退職金)がもらえなくなるとの話に
籠城派は一挙にしぼんでしまう。
また、広島の浅野本家と親戚の大垣藩の意向もからむ。
次席家老の大野九郎兵衛は
藩札の割引処理を終えると、さっさと逐電してしまう。

次に描かれるのは、
内匠頭の弟・大学長広を押し立てての
お家再興の動き。
幕府の目をくらますための大石の廓遊びも描かれる。
(自費だという)
その間に、江戸の赤穂藩士の吉良討ち入りの勇み足を
押さえるために大石らが奔走する姿が描かれる。
しかし、それも費用がかかる。
江戸と関西の往復旅費が一人72万円。(随分だな)
江戸組の生活費が1200万円。
大学を立ててのお家再興の運動費267万円。
その他、家臣から無心されるたびに金が出ていく。
藩というものは、
番方(戦担当)と役方(事務担当)に別れており、
役方の筆頭である勘定方の苦労など、
番方は全然分かろうとしない。

赤穂家の総収入は30億円
その大部分は、藩札の割引と、割賦金で消えた。
では、討ち入りの費用はどうしたか。
それは、内匠頭匠の夫人・阿久里(落飾して瑤泉院(ようぜんいん)の持参金から
塩問屋に貸し付けた金のうち取り戻した2割程度の金と
藩の余り金を合わせた額9491万円
それが大石に託され、金庫番は長助であった。
しかも、その金の存在を知るのは6人のみ。
あとは、費用のことなど頭になく、使った分を請求する。

ついにお家再興の望みもなくなり、
討ち入りを決意して江戸に向かう時には、
残高は1638万円しか残っていない。
全員は連れて行けないので、
神文誓詞(大石に着いていくという約束文)を返して
選別した。
つまり、47人に絞ったのも、
経費の逼迫が原因だったというお粗末。

集結した江戸でも、お金がどんどん出ていく。
義士たちの住まいの家賃、食費。
そのため、家をまとめ、外食を禁止する始末。

最後に描かれるのは、討ち入りの具体的作戦。
ここでも費用がかかる。
江戸に入るのに武器を持ってこれないから、
弓代も槍代もかかる。
中には刀を質入れしたものもいて、その費用も面倒を見る。
作戦会議の場では、
梯子やカスガイ、金槌、松明、弓と費用がかさんでいく。
敵味方を明らかにするために、統一衣裳を着るということで、
試算で414万円かかる。
それは同志の古着屋が預かっていた火消し装束でまかなうことにした。
つまり0円で済んだ。
鎖帷子を3人に1人が着るとしても270万円。
2人だと540万円。
この場面は、画面の脇にかかる費用が示されて、
それがどんどん上がっていって、
大石が恐怖するあたり、笑わせてくれる。
本編中、一番面白いシーンだ。

討ち入りは翌年の3月14日の命日を目標としていたが、
吉良の在宅日が判明したために、
3月早くなる。
ほっとしたのは勘定方で、
3月分の家賃が浮く。その額228万円。
食費も浮く。432万円。
というわけで、12月14日の討ち入りは、
金銭面でもそう要求されていたのである。
(おかげで、数日前に降った雪が残っており、
舞台装置が整った)

討ち入り前日、大石は瑤泉院を訪ね、
(会ってはもらえなかったが)
残金の100両を返している。
1200万円だから、
9491−1200=8291万円がかかった計算。
金と一緒に提出したのが、
「預置候金銀請払帳」である。

ただ、大石がつけて残っている史料は、
瑤泉院から預かった金についてだけなので、
それが全ての費用をまかなった、というのはちょっと違うかな。
義士の中には金持ちもいたし、
支援者もいた。
とりあえず映画も本も、
そこは目をつぶる。
(本には断りがある)

この映画、大変ユニークであるが、
とにかく、登場人物が多く、把握しきれない
誰がどんな役割を果たすのか分からないから、
目の前を通り過ぎる感じ。
役者、芸人の無駄遣い感が強い。

ノベライズ本を読んで、ようやく理解した次第。

映画としては、
「実は、討ち入りは、すごいお金がかかりました。
そのために勘定方は苦労しました」
ということだけは伝わった。

「あとがき」で筆者の中村義洋が、
大石内蔵助を映画のプロデューサーに譬えているのがおかしい。
製作会議で、
監督の要望で、セット費用が何千万円増え、
雪を降らすで、また出費がかさみ、
エキストラを使うで、金がかかる。
心の中でソロバンをはじきながら、
ハラハラ見守るプロデューサー。
一瞬、「この映画、作るのやめようかな」という思いがよぎる。

まさに、その立場が大石だったというのだ。

本には、赤穂藩士の年収がいちいち記載されており、
大石の年収は6923万円。
すごい高給取りだったのだね。

映画は、もう少し人物を絞って、
骨となる話を明確にしたらと思ったが、
ノベル本を読んで、
監督の意図が分かったのでよしとしよう。

タグ: 映画



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