『グッド・ライ いちばん優しい嘘』  映画関係

〔映画紹介〕

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あまり期待しないで観たが、
想像を越える良作だった。

1983年、スーダンの内戦により
村を襲われ、父母を亡くした子どもたちは、
「エチオピアへ行け。太陽の昇る方角だ」
という父の言葉を信じて、東に向かう。
しかし、エチオピアも危険だと知った兄弟たちは
今度は南に転じてケニアに向かう。
途中、民兵に会い、兄の機転で助かった弟、妹たちは
4年(!)もかかって、
ケニアの難民キャンプにたどり着く。

ここまでの描写がていねいで、
裸足でアフリカの危険地帯を踏破する子どもたちの苦労は並大抵ではない。
その間、命の危険にさらされたばかりでなく、
体の弱い弟は死んでしまう。

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それから13年
難民キャンプで無為に過ごした彼らに対して、
NGOの働きで、
アメリカの各地に移住することになった。
その数3600人。
兄妹4人は初めて飛行機に乗り、
カンザスシティに向かうが、
受け入れの規則で妹は別の都市に連れて行かれ、
離れ離れになってしまう。

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ここまでが半分。
この後は現地で職業の世話をする女性・ケリーの尽力で
アメリカ社会に慣れようと努力するが、
電話など見たこともなく、
マクドナルドも知らない
彼らの就職は困難を極める。
車に乗ればすぐ酔い、
牧場にいけば「危険な猛獣はいるか?」と聞く。
ようやく職業に付き、
定着したように見える彼らの心の中には
アフリカの大地に対する郷愁
逃避行時のトラウマに悩まされる。
そのために兄弟で口論し、
殴り合いの喧嘩にもなる。

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どんなにアメリカの生活が便利で豊かであっても、
生まれ育った大地に対する思いは取り除くことができない。
牧場で日長一日牛を観てすごすのもその表れだ。
スーパーが賞味期限を過ぎた食材を捨てる現場を見て動揺する青年。
ホームレスにそれを与え、叱られ、職場を離れたりする。
そういうことが
文明社会に染まって生きる人間に対する批判にもなっている。
彼らの姿を通して、
どんなに物質的に豊かでも、
それ自体幸福とは何の関係もないこと、
人間の幸福とは何か、
生きるとは何かを考えさせられる。

アフリカ人であるという誇りを胸に
懸命に生きようとする彼らに
離ればなれになった妹と一緒に暮らせるように
ケリーは一肌脱ぐことになる。
そして、逃避行の間に別れた長兄らしい人間が
難民キャンプにいるとの情報を得た次男は、
ケニアに再び向かう。
そこで次男はある決断をする・・・。

題名の「グッド・ライ」の意味は何か。
それは映画を観てほしいが、
意外に奥が深い。
ただ、そこには自己犠牲の尊さがある。

エンドクレジットで
スーダンの青年役で出演している俳優たちが
みんな実際の難民だったことが分かる。
これも映画の味付けになっている。
ケリーを演ずるリース・ウィザースプーンが貫祿の演技。
彼女、濱田マリと似ている。

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ユーモラスで明るい展開だが、
その描いている内容は意外に重い。
スーダン内戦の事情など
全く知らず、関心も持たない
平和ボケの日本の観客にも衝撃を与えるだろう。

しかし、深刻な内部対立を抱えるアフリカは
何とかならないものか。
その結果苦労するのは、
地道に平和に暮らしていた庶民たちなのだ。

「持病」が起きず、
一瞬も眠くならずに鑑賞した。
それもフィリップ・ファラルドー監督の力量。
重いテーマを、ユーモアでまぶしながら
笑いと共に
観客に伝える手腕は鮮やか。
拾いものの良作と言える。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?v=wpxw9sCMnqc&feature=player_detailpage


タグ: 映画



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