『サイコ』  映画関係

〔旧作を観る〕

TSUTAYA DISCUSで
ツタヤ店頭にはない旧作を簡単に借りることが出来るので、
気になる旧作を観ることにした。
その第1作が「サイコ」

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1960年、アルフレッド・ヒッチコック62歳の作品です。

フェニックスの町で不動産屋に勤めるマリオン(ジャネット・リー)は、
昼休みを利用した恋人サム(ジョン・ギャビン)との逢瀬にも疲れ、
社長から預かった4万ドルを着服して逃げてしまう。
新道が出来て流行らなくなったモテルに一泊したマリオンは、
病身の母と共にモテルを守る孤独な青年ノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)と交流し、
お金を返してやり直すことを決意する。
心も晴れやかにシャワーを浴びている時、
入って来た人影が・・・

というわけで、独身OLの逃避行の話かと思っていた観客は
この瞬間から、全く別な種類の映画に遭遇することになる。
当時スターだったジャネット・リーが
映画の半ばで
あっさりと殺されてしまうのでびっくり、という仕掛けだ。

(後にブライアン・デ・パルマが
「殺しのドレス」で
主人公と思われていたアンジー・ディキンソンを
あっさり殺してしまう、という趣向で真似している)

後半、話はマリオンの妹のライラ(ヴェラ・マイルズ)とサムによる
捜索劇となり、
私立探偵アーボガスト(マルチン・バルサム)がからむ。
マリオンが泊まったことを突き止めたアーボガストは、
母屋にマリオンが匿われていると推理し、
一人で母屋を訪ねる。
そこで行われる第2の惨劇・・・。

追及の手が迫ったことを知ったノーマンは、
いやがる母親を抱いて、
地下室に匿う。
ライラとサムはモテルに泊まり、
ノーマンを引きつけている間に
ライラは母屋を訪ね、
地下室にいた母親の肩に手をかけるが・・・

公開当時、二重人格や様々な倒錯など
初めて知る内容で、
観客を凍りつかせた。

白黒を使った陰鬱な画面、
鳥の剥製などを使った象徴的雰囲気、
母屋のセットで感じさせる惨劇の予感など、
あまたのホラーを凌駕する
天才だけが作り得たただ一度の傑作。

映画の成功の要因はノーマン・ベイツの造型で、
当時、ジェームス・ディーンの後継者と目されていた
アンソニー・パーキンスを起用したことで、
役に陰影が出来、
普通の青年に見える人物の心に抱えた闇がより際立った。


このブルーレイは1時間34分にわたるメイキングが付いており、
ジャネット・リーや脚本家、助監督らへのインタビューが垂涎の内容。
また、「サイコ」研究の本を書いた映画評論家による音声解説もついている。

それらの中からいくつか紹介すると、

○殺された後、ジャネット・リーが床に顔をつけた状態で目のアップからカメラが引くが、当初コンタクトを付ける方針がうまくいかず、ジャネット・リーに頑張って死体を演じてもらった。微動だにしない姿に静止画かと思わせたりもするが、ジャネット・リー渾身の死体演技である。
○マリオンがお金の計算をした後、その紙をトイレに流す場面があるが、当時、トイレを写すことはタブーで、トイレを初めて写した映画だという。
○シャワー・シーンをソウル・バスが演出した、という説は、助監督によって完全に否定された。ソウル・バスがしたのはこのシーンの絵コンテのみ。
○ジャネット・リーの拘束時間は3週間、そのうちシャワー・シーンに3分の1の7日間をかけたという。
○当時は検閲がすごく、描写の一つ一つに検閲との闘いがあった。
○上映時間を明示し、最初から観ることを奨励する、今では当たり前の方式は、この映画から始まった。上映開始後、途中入場は断る、という方式が話題を呼び、客を引きつけた。
○「この映画の内容は口外しないように」という、ストーリーを明かさない、という方式もこの映画から。
○アイソニー・パーキンスの起用はヒッチコックが決めた。
○シャワーシーンは当初音楽が無かったが、バーナード・ハーマンの助言で付け、ヒッチコックも納得したという。終わりの部分の女装したノーマンが現れるシーンも同様。なお、楽器は弦楽器のみが使われている。
○通常、役者の意見など聞かないヒッチコックだが、アンソニー・パーキンスの提案には耳を傾けたという。死体を片づけるシーンはほとんどアンソニーのアイデアだという。
○アンソニーは「サイコ」の舞台化の提案をしたが、二つの殺人シーンの処理が解決できず、話は立ち消えになった。
○サイモン・オークランドの分析医が説明する真相部分は1テイクでOKになったという。


メイキング以外にも、
次の特典映像が付いている。

○巨匠ヒッチコック 後世への影響
○トリュフォーによるヒッチコックへのインタビュー
○公開時のニュース映像
○シャワーシーンの比較
(音楽あり、音楽なし)
○シャワー・シーン ソウル・バスによる絵コンテ
○最新技術と迫力のサウンド
(当時の音源を5.1チャンネルステレオに加工の過程。なお、音声の選択で5.1チャンネルで観ることも出来る)
○プロダクション・フォト
○ポスター広告
○ロビーカード
○撮影風景
○宣伝写真
○劇場用オリジナル予告編
(ヒッチコックが撮影現場をめぐり「ここでこういう事件が・・・」と解説する。最後に「この映画は最初から観るか、観ないか。途中入場は出来ません」と入る)
○再公開時の広告(テレビでは放映できない完全版を見ろ、と強調)
○ヒッチコック劇場「凶器」(ロアルド・ダールの原作)
○「サイコ」メイキング著者、スティーヴン・レベロによる本編音声解説

こういう特典映像満載のブルーレイは価値が高い。


タグ: 映画



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