映画『少年の君』  映画関係

[映画紹介] 

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進学校に通う高校3年生の少女チェン・ニェンは、
大学進学のための全国統一入学試験を控え、
勉学にいそしむ毎活だった。

ある日、一人の同級生がいじめを苦に校舎から飛び下り自殺をし、
その遺体が生徒たちのスマホで撮影されていたことから、
自分の上着を脱いで、遺体にかけてやる。
しかし、そのことをきっかけに、
チェンは新たないじめの標的となってしまう。
成績が良いことへのやっかみもあり、
また、自殺の背後にいじめがあったことを
通報したこともいじめに拍車をかけた。

チェンは下校途中、
集団暴行を受けている少年・シャオベイと出会う。
共に孤独を抱えた二人は次第に心を通わせていく。

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優秀な高校生とチンピラの恋という、
ある意味、手垢が着いたありきたりな題材が、
どうしてこうも瑞々しく美しく感じられるのだろう。
それは、監督のセンスとしか言いようがない。
アップと引きとの絶妙なバランス。
写すべきところを写さないぎりぎりのところで描写する
抑制の効いた演出。
終わり近く、
拘置所で面会した二人が
一言の言葉を交わすことなく、
泣き笑いをする場面。
ラスト、2台の護送車で、
まるで隣にいるかのように対話する二人の顔にかかる日の光
冒頭とラストに二度出て来る、
教師になったチェンが英語の文法を説明しながら、
失った過去の光をなつかしむ。
そして、自分と同じ境遇の女の子に、
同じ「守り人」がいることを示唆する。
哀切なラストだ。

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背景にあるのは、貧困と格差といじめ
チェンは母子家庭で、
母親は詐欺まがいの商売をしていて、
クレームと借金取りに責められながら、
チェンの学費を稼いでいる。
アパートの壁には、そのことを非難するビラが貼られる。
学校にも家庭にも心休まる居場所がどこにもない追い詰められた状況。
その境遇から抜け出すためにも、
チェンは良い大学に進学しなけれはならないのだ。

一方シャオペイは
父母を知らず、施設で育った。
地域の暴力団の下っ端でケチなシノギをしている。

チェンがいじめにあっていることを知ったシャオペイは、
チェンを守ってやろうとし、
チェンの通学路を見守り
自分の住居に泊めてやることもする。
しかし、肉体の接触はない。
そして、ある事件が起こり、
二人だけの秘密が交わされる。

まさに映画が監督のセンスの産物であることを感じさせる仕上がり。
観客は、一瞬も画面から目を離すことが出来ず、
二人の運命を凝視する。
そして、二人への共感が観客の心を掴む。

学校の個人の机に参考書が山積みされていたり、
全国統一大学入試のために
決意表明するところなど、
中国の学歴社会のすさまじさをかいま見る。

本国では、殆ど宣伝が行われないまま公開されたにもかかわらず、
クチコミで劇場数が増え、
250億円近い興行収入を叩き出しという。
香港アカデミー賞ともいわれる香港電影金像奨では
作品賞・監督賞・主演女優賞を含む8冠を達成し、
先のアカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされた。

監督は「インファナル・アフェア」(2002)の名優エリック・ツァンの息子の
デレク・ツァン
チェンを演ずるのは女優チョウ・ドンユイだが、
公開時27歳で高校生を演ずる。

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まるでこの役を演ずるために生まれてきたような演技。
シャオペイは元アイドルのイー・ヤンチェンシー

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この二人の演技が素晴らしい。
音楽も効果的。

今年出色の作品。
お薦め

5段階評価の「5」

予告編は↓をクリック。

ル・シネマ他で上映中。

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