小説『沈黙の終わり』  書籍関係

[書籍紹介]

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元読売新聞記者である堂場瞬一による記者小説。

松島慶太は、東日新聞のベテラン記者。
編集委員まで登り詰めたが、
59歳で定年間近のため、
シニア記者を目指して
柏支局長に転属した。
柏支局は記者2人のミニ支局だ。
実は最近、胃ガンが発見され、手術を受け、
完治したはずだが、体調はすぐれない。
管轄の野田署の署長の小野と面談中に、
事件の知らせが入る。
7歳の女の子が行方不明になり、
死体で発見されたのだ。

一方、古山孝弘は埼玉支局のキャップ。
近く本社に異動で、その準備をしている。
野田の事件の知らせを受けて、
4年前の小学生の女児・8歳の行方不明事件を思い出す。
野田の事件とは江戸川を鋏んで500m。
二つの事件は同一犯によるものではないか、
との直感が働く。

古山から連絡を受けた松島は、
もっと古い事件を思い出す。
33年前、流山で7歳の女の子が殺された事件だ。
犯人が分からないまま時効になった。

古山が4年前の事件の再取材を始めると、
県警の一課長から呼び出される。
取材を控えてくれという話なのだ。
古山は、警察には取材されると都合の悪い事実があるのだと思う。
たとえば、犯人が警察官だった場合、
あるいは、有力な容疑者が死んでしまった場合・・・
古山はデータベースを探り、
「小学生」「行方不明」「殺人」をキーワードに検索をかけ、
驚くような事実にぶつかる。
江戸川を鋏んだ埼玉県と千葉県で、
女児の殺人事件と行方不明事件が7件頻発していたのだ。
     
野田の方にも、新聞社の上層部から
取材を控えるようにという圧力がかかる。

さらに探索を続けると、
いくつかの女児行方不明事件で
捜索を真面目にやらないように、
という指示が警察内で出ていた気配があった。
どこか高いレベルで捜索を抑制させる動きがあったのだ。
33年前の時も、
ある時点から捜査が軟化していた。
ある人物によって。

古山は松島と協力して、
女児連続殺人・行方不明事件についての記事を書いた。
それが警察内部にも波紋が広がっていく。
そうした中、野田署長の小野が自殺した・・・

というわけで、33年前の事件を起点にして
複数の事件の関連が探られる。
その背景には、
もし33年前の事件で犯人が逮捕されていたなら、
その後の犠牲者が出なかったのではないか、との思いがあった。
また、記者の側からは、これらの事件が
後任者に正しく継承されていなかったのではないか、
との反省もある。

また、元警察官で覆面小説家に転身した女性や
現役警察官の告発などを含めて、
事件の背後にいる人物に次第に迫っていく。
その人物とは、権力の中枢にいる男だった・・・

実に面白い。
過去の事件と今の事件が有機的につながる構成の巧みさ。

ただ、終盤、事件の鍵を握る二人の人物
松島らが対決する場面は、
少々現実味に欠ける。
あんな会話をするわけがない。
もう一工夫必要だったのではないか。
肝心な点なので残念。

記者経験を生かした堂場瞬一の
記者魂に対する熱い思いがあふれる。
また、退職した記者の老後も描かれる。
松島らが取材で得たある人物の名前が
別な人物への取材で合致するあたりはスリリング。
ページを繰って名前を確認してしまった。
また、新聞社と権力の癒着も容赦なく描かれる。

堂場瞬一作家デビュー20周年の上下巻書き下ろし作品。
堪能した。


映画『1922』  映画関係

[映画紹介]

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スティーヴン・キング原作のスリラー。
Netflixオリジナルで2017年に配信。
日本未公開。

舞台はタイトル通り、1922年のアメリカ
ネブラスカ州の農夫ウィルフレッド・ジェームズは、
妻アルレットと14歳の息子ヘンリーと慎ましく暮らしていた。
しかし、土地を巡り、妻との間に隙間風が吹き始めていた。
というのは、田舎暮らしに嫌気がさした妻が
相続した100エーカーの土地を売却し、
田舎から都会に出て暮らしたいと主張し、
オマハでドレス店を開くことを夢見ているからだ。
「男の誇りは、土地と息子」というのが信条の
ウィルフレッドにとっては、
土地は命の次に大切なものだ。
ウィルフレッドはアルレットを説得するが、
彼女は聞く耳を持たず、
次第にウィルフレッドは妻に対して憎しみを抱くようになる。

年頃の息子ヘンリーは
隣家の娘シャノンと恋に落ちてしまった。
ウィルフレッドはそんなヘンリーの純な恋心と欲望に目をつけ、
「母ちゃんの言う通りに都会へ行けば、
彼女とも離れ離れ。
それでいいのか?」
と問いかける。
ついに、妻を殺そうと結託した父子は
アルレットの殺害を決行。

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敷地内にある古井戸に投げ込んでしまい、
その上に飼ってた牛を突き落とす。
「井戸に牛が誤って落下してしまい
引き上げる手段もないので撃ち殺した。
そして埋めた」
とし、同時に土で埋めることによって死臭も隠せる。
そして、突然妻が家を出て行ってしまった、と主張するが、
売却の相談を受けていた弁護士事務所は不審を抱く。
土地と家を売れば大金が入ってくるのに、
売却する前日に失踪するなどありえない。
弁護士の依頼で保安官も家に見に来るが、
顔なじみである村の保安官は若干怪しむものの、
それ以上は追究しない。

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しかし、息子は罪悪感を父にぶつけるようになり、
隣の娘シャノンと性交渉をし、
孕ませてしまう。
シャノンが妊娠したことを知った両親は、
一時的に施設に預けて出産し、養子に出すことに決める。
ヘンリーはシャノンを救出し、
逃避行の最中、強盗をくり返す。
こうして、一家の崩壊が始まった・・・

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ウィルフレッドを演じるトーマス・ジェーンは、
キング作品にゆかりのある人で、
これまで「ドリームキャッチャー」(2003年)、「ミスト」(2007年)でも
主演を務めている。
この作品では、狂気に走り、精神が崩壊していく姿を熱演している。

原作は、2010年に出版された
短編集「Full Dark, No Stars 」に収録された一篇。
ウィルフレッドによる手記という形式で書かれている。

キング作品らしく、
主人公を取り巻く状況がていねいに描かれ、
人間の暗部が露呈する時、殺人が起こる。
そして、その後の精神の崩壊が、これまたていねいに描写され、
次第にホラー色を濃くする。
特にネズミの存在が効果的で、
井戸の中の妻の死体を食らうネズミの姿から、
ネズミは罪の象徴として描かれる。
妻の死体の開いた口から出入りするネズミ、
牛の乳首を噛み切るネズミ、
壁の穴から出入りするネズミ。
ウィルフレッドの手を噛み、片腕を失わせしめるネズミ、
踏みつけられる血だらけになるネズミ・・・
撮影ではなんと200匹のネズミが用意されたという。

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隣家の主人は
「今年の始めには俺にもお前にも妻子が居たが
今は誰も居ない、
可笑しいな?
お前に無くて俺にあるのは両手が健在なことだけだ」
と絶望を口にする。
ウィルフレッドの農場も隣家の農場も
失われてしまう。
背景には、変わりゆくアメリカ社会と、
その変化に翻弄される人々の姿がある。
やはりキング作品は一筋縄ではいかない。
ただ、ひたすら暗い
キングファンだけに受け入れられる作品だが、
映画の質は高い。

監督はザック・ヒルディッチ

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/3E_fT0aTsjI

タグ: 映画

最高の国ランキング  様々な話題

アメリカの時事解説誌「USニューズ&ワールド・レポート」誌は、
毎年「世界最高の国ランキング」を選定している。
2016年から始まり、
6回目の2021年版が発表された。

ランキングは世界的な影響力を明らかにするもので、
ハード面のみならず総合的な指標で各国の価値を分析することを目的とし、
78ヶ国を対象に順位づけが行われた。

調査は世界1万7000人以上の個人を対象にしたアンケートをベースにしている。
評価項目は10のカテゴリにグループ化され、
「冒険(旅先としての刺激)」「俊敏さ」「文化的影響」
「起業家精神」「伝統」「将来の成長見込」「ビジネスの容易さ」
「パワー(外交・軍事)」「社会正義」「生活の質」

の分類ごとにスコアを算出。

日本は2016年の7位以降、年々順位をあげており、
7位→5位→5位→2位→3位で、
今年は2位だった。
カテゴリ別では、
「生活の質」、「起業家精神」が世界トップ、
「文化的影響力」が世界5位、
「将来の成長見込」、「パワー」で各6位、「俊敏さ」が7位となっている。
反対に最も順位が低かったのは「ビジネスの容易さ」の26位、
「冒険」の28位となったが、
それでも78ヶ国中の上位半数に入っている。

日本について同誌は、
「世界で最も教養があり技術的にも発達した国」だと述べている。
経済面では2011年の東日本大震災に触れつつ、
その影響からはほぼ立ち直ったと見ている。
自動車、電子機器、鉄鋼などの産業は世界トップレベルだとも同誌は述べる。
文化面では、茶道、書道、武道などが発展しており、
寿司など食文化や各種世界遺産などでも知られると紹介している。

78位までの順位は、次のとおり。

1位:カナダ
2位:日本
3位:ドイツ
4位:スイス
5位:オーストラリア
6位:アメリカ
7位:ニュージーランド
8位:イギリス
9位:スウェーデン
10位:オランダ


11位:フランス
12位:デンマーク
13位:ノルウェー
14位:シンガポール
15位:韓国
16位:イタリア
17位:中国
18位:フィンランド
19位:スペイン
20位:ベルギー

21位:オーストリア
22位:アラブ首長国連合
23位:アイルランド
24位:ロシア
25位:インド
26位:ブラジル
27位:ギリシア
28位:タイ
29位:ポルトガル
30位:イスラエル

31位:メキシコ
32位:カタール
33位:エジプト
34位:トルコ
35位:サウジアラビア
36位:マレーシア
37位:インドネシア
38位:モロッコ
39位:コスタリカ
40位:ベトナム

41位:南アフリカ
42位:アルゼンチン
43位:ポーランド
44位:フィリピン
45位:チェコ
46位:クロアチア
47位:スリランカ
48位:ハンガリー
49位:チリ
50位:ペルー

51位:パナマ
52位:ドミニカ
53位:ケニア
54位:コロンビア
55位:カンボジア
56位:ヨルダン
57位:エストニア
58位:ミャンマー
59位:ウルグアイ
60位:スロベニア

61位:ブルガリア
62位:スロバキア
63位:ルーマニア
64位:ラトビア
65位:チュニジア
66位:アゼルバイジャン
67位:リトアニア
68位:エクアドル
69位:グアテマラ
70位:オマーン

71位:ウクライナ
72位:カザフスタン
73位:ウズベキスタン
74位:レバノン
75位:ベラルーシ
76位:セルビア
77位:エルサルバドル
78位:イラク



短編集『余寒の雪』  書籍関係

本日、2回目のワクチンを接種。
効果が確実になるあと2週間を耐えれば、
晴れて解放となります。

ところで、ワクチン接種に対し、
いくら医師に支払われるか、御存知か。
1回のワクチン注射で、2070円が支払われるという。
時間外なら2800円、休日だと4200円になる。
最高では1回の注射で7200円支給されたという。
いくら専門技術とはいえ、
1分もかからない接種にかかる費用としては、
どうなの、と複雑な思いになる。
それなのに、日本医師会非協力的だという。
東京医師会の場合、5月4日の時点で、
接種に協力したのは全体の22%だという。
ワクチン接種が遅れたのも、
医師会が治験についてごねたからだ。
それに比べ、大規模接種における
自衛隊医官と看護官に支給されるのは、
1日(1日!)3000円かか1620円だという。
日本医師会、反省しろ。


ここのところ、宮部みゆきと宇江佐真理の小説の紹介が多い、
と思われる方もいると思うが、
図書館本も新刊も、ハズレが多く、
日本の出版界、どうなっているんだ、と思っているところへ、
親戚筋から両著者の文庫本が50冊ほど送られて来た。
宮部みゆきはほとんど読んだと思っていたが、
読み落としの作品も存外に多く、
宇江佐真理に至っては初読み。
というわけで、
積み重ねた本を上から順に読んでいるところ。
全ての本を紹介しているわけではないが、
しばらくはお付き合い下さい。


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宇江佐真理の初期短編集。
紫陽花・あさきゆめみし・藤尾の局・梅匂う・
出奔・蝦夷松前藩異聞・余寒の雪

の7篇を収録。

中で「紫陽花」が特にいい。

江戸の大きな呉服店・近江屋の内儀、お直は、
元を正せば、吉原の振袖新造だった。
妻を亡くした20歳年上の半兵衛に見受けされ、10年。
今は内儀としての地位をゆるぎないものにし、
お直の過去をとやかく言う者は誰もいない。

そんなお直を一人の男が訪ねてきた。
吉原の客引きだった房吉だ。
吉原時代懇意だった梅ヶ枝が亡くなり、
明日投げ込み寺に運ぶという。
お直は、大店の内儀に収まった自分と、
ついに吉原を抜け出せなかった梅ヶ枝の運命の違いを思う。
お棺が出る時見送りたいというお直に
やさしい夫の半兵衛は付き合うといい、
宿を取ってくれた。
そして早朝、梅ヶ枝の出棺の時が来た・・・

江戸時代の遊女の成功者と失敗者の対比に、
人生の幸運不運を描く好短編。

「あさきゆめみし」は、
江戸で一時期流行った女浄瑠璃(むすめじょうるり)を巡る一篇。
染物屋・つばめ屋の長男・正太郎が、
竹本京駒という16歳の浄瑠璃語りに夢中になる。
今で言えば「追っかけ」だが、
江戸時代にも同じような風俗があったのが面白い。
客席での応援合戦も今と同じ。
ある出来事をきっかけに、
正太郎は夢が醒めたようになり、
女浄瑠璃もご禁制で跡形もなく消え失せる。

「梅匂う」は、
見世物小屋の女怪力の大滝太夫に夢中になった小間物屋の店主の話。
「あさきゆめみし」と似ているが、
歳が行っているだけ、様相が異なり、
大滝太夫の造形も哀愁が伴う。
最後のくだりがほっとさせる。

「藤尾の局」は元大奥勤めで、今は両替商の内儀の話。
「出奔」「蝦夷松前藩異聞」は、
著者の故郷、函館の
松前藩についての話。
3作とも、著者の作品としては違和感が残る作品。

表題作「余寒の雪」は、
伊達藩の女剣士の話。
知佐は幼少の頃から剣術の修行に励み、
男剣士と互角の腕前を持っている。
髪も男髷に結い、男装の生活だ。
将来は別式女(べっしきめ)として奉公する夢を持っている。
別式女とは、御殿女中に武芸を指南する女剣士。
しかし、そうすると、一生独身ということになり、
両親は気を揉んで、当たり前に人の妻となって子をなし、
女の幸せを掴んでもらいたいと思っていた。
その知佐が叔父夫婦と共に江戸に上ることになった。
実はそれは策略で、
北町奉行所の同心、鶴見表四郎の後妻に入ることになっていた。
騙されたと知った知佐は拒絶するが、
故郷に戻ってしまった叔父夫婦の後を女一人で追うのは危険と、
表四郎の家に留め置かれる。
そして、表四郎と息子の松之丞と生活する中、
知佐の中に変化が生まれる・・・

表四郎、松之丞の造形がすぐれ、
ラストの読後感はすこぶるいい。

中山義秀文学賞(白河市と中山義秀記念文学館の共催で行われる、
日本の歴史小説・時代小説を対象とした文学賞)を受賞。



映画『黒水仙』  映画関係

[旧作を観る]

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1947年のイギリス映画。
インド・ヒマラヤ山麓の女子修道院を舞台とした
ルーマー・ゴッデンの小説の映画化。
デボラ・カーが主演した。

ヒマラヤ山麓に近い高地にある寂しい村。
標高2700m。
崖の上に元ハーレムだった宮殿があり、
領主はこの宮殿を利用して尼僧院を開き、
英国人の尼たちを招いて現地の子どもを教育してもらおうと考えた。
修道会は尼僧クローダー(デボラ・カー)に大役を委ね、
4人の尼僧を選んで現地に赴く。

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現地の英国人ディーンは頭から彼女たちの仕事を嘲笑し、
「(前の)修道士は5カ月で逃げた。
女となったら、もっと早いだろう。
雨期まで持つかな」
と予言する。

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僧院には診療所と学校を併設し、
一応は順調に進んだが、
実は患者も子供たちも、
領主から金が支払われていたことが判明する。
しかも、環境のせいで尼僧たちの心が
信仰から次第に離れていくように思われた。
事実、一人の尼僧は仕事に耐えられないと転任を申し出た。

若い尼僧のルースはディーンに恋心を抱き、
クローダーを恋仇として憎むようになる。
ある夜、僧院を抜け出したルースは村のディーンを訪れ、
心の思いをうちあけたが、ディーンは冷たく彼女を追い返した。
ルースはディーンが恋を受けいれないのは
クローダーのせいと邪推し、
クローダーを崖から突き落とそうとする。
しかし、足をすべらせたルースは谷間へ落ちてしまう。

悲劇の朝から数日が過ぎ、
尼僧たちはカルカッタへ出発した。

異国に赴任した五人の伝道尼僧の葛藤を、
信仰と愛、そして肉欲という永遠のテーマを据えて描く。
だが、話に深みがなく、中途半端
尼僧たちの現地に到着したシーンがないので、
異文化に遭遇した尼僧たちの戸惑い、不安が分からない。
現地の文化と信仰の葛藤も描かれず、
若き土地の領主と修道院で育った奔放な娘のロマンスも、
ことごとく半端。
アジア人に対する軽蔑も見られる。

それらを置いて、
J・カーディフの美しいテクニカラー撮影
デボラ・カーの美しさが見どころの作品。
実際、デボラ・カーの美しさは息を飲むほど。

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髪を隠し、僧服から顔だけを露出した姿で
これほどきれいなことに呆然とする。
ただ、ルースを演ずる女優と似ているので、
キャスティングの時、何とかならなかったのか。

まだ新人の頃のジーン・シモンズ
(ロックの「キッス」のメンバーとは別人。
彼はGene、彼女はJean)が出演。
インド人の孤児を演ずる。

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この翌年、「ハムレット」のオフィーリアを演じて
ヴェネチア映画祭で女優賞を受賞。
「聖衣」(1953)、「野郎ともと女たち」(1955)
「エルマー・ガントリー」(1960)「スパルタカス」(1960)で
活躍するのは、もっと後。

時代的にインドへのロケは難しく、
英国のロンドン郊外のスタジオに巨大セットを組んで撮影。
崖から谷底を見せる絵との合成など、
今見ても感心する。

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テクニカラー作品として撮影。
「赤い靴」「天国への階段」と同じく、
マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーが脚本、監督、製作。
撮影も「赤い靴」「天国への階段」と同じくジャック・カーディフ
「天国への階段」のアルフレッド・ジュネが装置を担当。
アカデミー賞の撮影賞(カラー)と美術賞(カラー)を受賞
デボラ・カーはニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞を受賞した。

題名の「黒水仙」は、領主の若い王子のつけていた香水から由来。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/GXn9_Nnla5Y

実は、私はこの映画を小学生の時、
渋谷の全線座で観ている。

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全線座は、渋谷駅近くの明治通りにあった映画館。
(今のビックカメラのあたり)
二番館で2本立て興行。
併映はローレンス・ハーヴェイ主演の
「ロミオとジュリエット」だったと記憶している。
洋画、邦画どちらも上映したようで、
黒澤明の「生きる」も、この劇場で見た。
「黒水仙」は子供にはまだ難しい題材だが、
観たのは、多分姉たちの影響だったと思われる。
今回再見したところ、
最後の方のルースがクローダーを殺そうとして、
崖の縁の鐘のあたりで争う場面しか覚えていなかった。

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やはり小学生には少し早かったようだ。

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