処理水のトリチウムについて  様々な話題

福島第一原発の処理水の取り扱いについて、
政府は海洋放出の方針を決めた。
これについて、韓国・中国が反発し、
漁業関係者も懸念を表すなどの反響が出ている。

こうした問題に付き物なのは、
「科学的知見」と「風評」のせめぎあいで、
処理水とは何なのかをしっかり把握する必要がある。

まず明確にしなければならないのは、
今回放出するのが「処理水」であって、
「汚染水」ではない
ことだ。

福島第一原発の原子炉建屋では1号機から3号機の
溶け落ちた核燃料を冷やすための
注水と建屋への雨水や地下水の流入が続き、
1日140トンのペースで放射性物質を含む汚染水が発生している。
この段階は、まさしく「汚染水」

この汚染水は専用の浄化設備に送られ
吸着剤で大半の放射性物質が取り除かれる。
これが「処理水」

ただ、「トリチウム」(三重水素)という放射性物質は
水の一部として存在するため、
水から分離するのが難しく、
福島第一原発の汚染水から
放射性物質を除去する装置を使っても
取り除くことができない。
トリチウムは、宇宙から飛んでくる宇宙線が
大気に衝突すると生まれるため、
自然界に大量に存在しており、
大気中の水蒸気や雨水、海水、それに水道水にも含まれ、
私たちの体内にも微量のトリチウムが存在している。

ただ、トリチウムが出す放射線はエネルギーが弱く、
空気中ではおよそ5ミリしか進まない。

体内に取り込んだ時、
タンパク質などの有機物と結合し、
濃縮するのではないかといった指摘については、
国の小委員会は、
体はDNAを修復する機能を備えていて、
動物実験や疫学研究からは
トリチウムが他の放射性物質に比べて
健康影響が大きいという事実は認められなかったと結論づけている。

また、マウスの発がん実験でも
自然界の発生頻度と同程度で、
原子力発電所周辺でもトリチウムが原因と見られる影響の例は
見つかっていない。

このように、トリチウムは毒性が弱いので、
世界中の原子力施設から各国の基準に基づいて、
日常的に放出されている。
例えばカナダのブルース原発では1年間で1971兆ベクレル、
フランスのラ・アーグ再処理施設では
年間1京3700兆ベクレルが海中や大気中に放出されている。
国内の原発では、
1リットル当たり6万ベクレルという
基準以下であることを確認した上で
海に放出している。

放出されても、施設周辺で人体や環境への
重大な影響は確認されていない。
IAEA(国際原子力機関)もこうした毒性の低さなどから、
処理水の海洋放出について
「科学的に妥当」
という見解を示している。

このように、トリチウムを薄めて放出すれば安全であること、
今までも放出されていたことをお分かりいただけただろうか。

福島第一原発の構内には、
処理した後の水をためる大型のタンクが
1000基余り設置されていて、
およそ137万トンの容量のうちすでに9割に水が入っている。
今の計画では来年秋以降にはタンクが満杯になる見通しだ。

国はこのトリチウムなどを含む処理水をどのように処分するかについて
有識者による委員会などを設け
2013年から6年余りの時間をかけて検討を行ってきた。

まず、専門家チームによる処分方法の技術的な検討が
およそ2年半にわたって行われ、
報告書では次の5案が示された。

@基準以下に薄めて海に放出する案
A加熱して蒸発させ大気中に放出する案
B電気分解で水素にし大気中に放出する案
C地中深くの地層に注入する案
Dセメントなどにまぜて板状にし地中に埋める案

この5案のほかにも
タンクなどでの保管継続を加えるという案もあった。

次に、社会学者や風評の専門家などを交えた
経済産業省の小委員会が総合的な検討を3年余りかけて行った。

小委員会は去年2月、
基準以下に薄めるなどして海に放出する方法と
蒸発させて大気中に放出する方法が
前例もあって現実的だとした上で、
海の方が確実に実施できるとする報告書をまとめた。

この報告書を受けて、政府は、
去年4月から7回にわたって
地元自治体や農林水産業者、
それに全国の関係団体などから
意見を聞く会を開くとともに、
書面による意見募集を4か月にわたって実施した。

この中で、
漁業関係者や地元住民などから
風評被害を懸念して
海への放出に反対や慎重な意見が出された他、
具体的な風評被害対策を示すよう求める声や
国民の理解が進んでいないなどの指摘が出された。

選択肢については、
海外で実績があるモルタルなどで固める案や
船で離島などに移送する案、
原発の敷地外に運んで保管や処分をする案
などについて、検討を求める意見も出された。

一方で、福島第一原発が立地する大熊町や双葉町からは
タンクでトリチウムなどを含む処理水を保管し続けることが
復興の妨げになっているとして
政府に対し、対応策を早急に決定するよう要望が出されていた。

政府は、こうした関係者の意見を踏まえて
風評対策や丁寧な情報発信などについて検討を進めた上で、
国の基準を下回る濃度に薄めて、海へ放出する方針を決めた。
東京電力に対し、2年後をめどに海への放出を開始できるよう
準備を進めることや
賠償も含め風評被害への対策を徹底するよう求めた。

国の小委員会で委員長を務めた名古屋学芸大学の山本一良副学長は、
今回の政府の決定について、
「トリチウムは大量にあれば体への影響もあるが、
非常に薄ければ影響がないことは
生物学的にもいろいろなところで分かっていて、
われわれの議論で海洋放出がいちばん確実と申し上げているので、
方針決定の参考にしていただいたと考えている。
大変難しい問題だが処理水の扱いは、
福島の復興にとって先送りできない問題なので、
この決定によって
廃炉の進展がますます加速されることになればいいと思う」

と述べている。
その上で、実際の放出にあたっては、
「非常に薄くすることで、安全を担保するので、
まずはタンクごとの濃度や、希釈後の濃度のチェックなど
技術と科学で保障できる精いっぱいの所までやり、
加えて、地元や国際機関の助けを借りてチェックしてもらうことで、
実施本体の信頼の低下を補っていくような
システムを作らないと行けないと思う」

と述べている。

原子力規制委員会で初代委員長を務めた田中俊一氏は
この政府の決定について、まず
「なぜこんな無駄な時間を5年も6年も使ったのか。
丁寧な議論をしているように見えるが、
結論が見えているものを早く決めないから
時間ばかり無駄にかかった」

と方針決定に至るまでの対応を厳しく批判した。

その上で、処理水の海への放出については
「廃炉というのは放射能を水で洗い流しながら進めていくものだ。
水を処理して排出濃度基準になったらその水を捨てるという
プロセス抜きに廃炉は進まず、
水をためておけばいいという考えは、
『廃炉をやめます』というもので、
廃炉作業全体として物事を考える必要がある」

と、廃炉作業を進める上で必要な処分方法だという考えを述べた。

放出にあたっては、トリチウムの濃度を
WHO(世界保健機関)が示す飲料水の基準で、
7分の1程度に薄める。
国の基準では40分の1だ。
また、農林水産業者や地元の自治体の関係者なども加わって
放出前後の濃度などを監視するモニタリングを強化するとしていて、
IAEA(国際原子力機関)の協力も得て
国内外に透明性の高い、客観的な情報を発信し
風評を抑えることにしている。
さらに、漁業関係者への支援や観光客の誘致、
地元産品の販売促進などの対策も講じるとしている。
それでも生じる風評被害には東京電力が賠償を行うよう求めている。

一方、漁業者などから反対の声が根強いことについて、梶山大臣は、
「実際の放出が始まるまでには設備の工事や規制の対応に
2年程度の時間が必要になることから、
放出までの時間を最大限活用して、
懸念を払拭し、理解を深めていただけるよう努力していく」

と述べ、風評を抑えるための対策に全力を挙げる考えを示した。

全漁連(全国漁業協同組合連合会)は
海への放出への反対声明を出しているが、
これでは風評を助長するようなもの。
科学的知見に基づき、安全を主張することの方が正しい。
それとも、賠償をもらうために、
強いことを言っているのだろうか。

こうした決定に対し、
韓国は反対を表明している。
方針決定のわずか3時間後、
ソウルの日本大使館前では、
早くも環境団体による抗議集会が行われた。
韓国政府も「周辺国家の安全と海洋環境に危険を招く」と断言し、
「絶対容認できない」との立場を示した。

しかし、韓国の月城原発からは液体、気体合わせて
約143兆ベクレル(2016年)ものトリチウムが
排出されている。
しかも放出先は日本海だ。
今回の日本の放出計画は年間22兆ベクレル。
ケタが違う上に、放出先は太平洋。
それが回り回って朝鮮半島や中国沿岸に届く頃には、
充分希釈されている。

ちなみに、韓国の海洋水産部をはじめ
政府部署合同タスクフォースは昨年10月、
「福島原発汚染水関連現況」という対策報告書を作成。
「汚染水を浄化する日本の多核種除去設備(ALPS)の性能に問題がない」、
トリチウム露出の可能性については
「生体で濃縮・蓄積されにくく、
水産物摂取などによる有意味な被ばくの可能性は非常に低い」

処理水の韓国海域拡散可能性についても
「海洋放出から数年後、国内海域に到達しても
海流により移動して拡散・希釈されて
意味ある影響はない」
と記述している。
文さんは、国際海洋法裁判所への提訴を指示したというが、
自国の作業部会の報告を無視して、
相手国を批判するとしたら、
何という矛盾であろうか。
この報告書について、
国務総理室は
「一部の専門家の意見が政府の立場にはなりえない」
という資料を公表。
文在寅政権下に作成された政府組織による報告書が、
「政府の立場にはなりえない」とは、かなり苦しい言い訳だ。

仮に、国際海洋法裁判所へ提訴するためには、
日本が国際法違反を行っていると証明しなければならない。
実際の被害も証明しなければならない。
まだ実行されていないのだから、
被害の証明など出来ようがない。
そもそも、日本政府の決定は国際原子力機関(IAEA)からの
支持を得たものなので、
何を根拠に提訴するというのだろうか。

韓国メディアも同様で、
「体内で被曝を引き起こす」
「生殖機能低下など人体に損傷を来す」
など恐怖を煽る記述のみで、
トリチウムの放射線は紙1枚も透過出来ないほど弱いこと、
体内に入ってもすぐに排出されること、
韓国含め世界中の原子力発現所から
日常的に自然界に放出されるほど
安全なことなどは一切触れられていない。
なにより、処理水のことを「汚染水」として報道している。
悪意があるとしか思えない。

「説明が足りない」という批判もあるが、
駐韓日本大使館側は
「東京駐在の外交団を対象にこれまで100回以上の説明会を行った」
と明らかにしている。
また、茂木敏充外相も今後も説明していく方針だと述べている。
韓国側で言われている、“日本政府は情報を提供しない”
という指摘は的外れだ。

中国外務省は
「極めて無責任なやり方で、
周辺国の国民の利益を深刻に損なう」と非難。
その上、「太平洋は日本の下水道ではない」
「飲めるというなら、飲んでみせろ」
と外交的礼儀を無視した、
ヤクザの恫喝まがいのことを言っている。

いずれも「科学的知見」と「風評」のせめぎあい。
しかも、政治的に「風評」を利用しようとする
両国のいつもながらのやり方には、うんざりさせられる。

韓国政府は4月17〜18日の
ケリー米大統気候候変動特使の訪韓を機に、
福島第1原子力発電所内の放射性汚染水の海洋放出問題に対する
客観的検証のための協力を要請した。
いつもながらの「告げ口外交」だ。
しかし、ケリー特使は、
「米国は日本政府が国際原子力機関(IAEA)と十分な協議を経て、
IAEAも非常に厳格な(放出)手続きを樹立したと確信する」
とし、
「すでに手続きが進行中の状況で、
非常に明確な規則と要求があるその手続きに
米国が乗り入れるのは適切だと考えていない」

と答え、福島原発汚染水関連問題に米政府が介入することは
「不適切だ」という立場を明らかにした。

IAEAもこれまで、日本政府の計画に対して、
ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長などが
「国際的慣行に符合する」という立場を明らかにしてきた。
「海洋放出はどこでもやっている。
目新しいことではなく、スキャンダルでもない」

と言及している。

しかし、ソウルや釜山での講義デモは続いている。
ソウルでは抗議のために
女子学生が剃髪して坊主頭になるパフォーマンスを行った。
放射能汚染と剃髪にどんな関連性があるのか、
知っている人がいたら、教えてほしい。
科学的に見れば問題のないものを、
科学を無視して感情だけで行動する、
いつもの韓国的対応。
何でも日本のすることに難癖を付け、
叩く材料にせざるを得ない、
「性格の悪い」韓国人。
それに巻き込まれた坊主頭の女子学生は気の毒だ。





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