映画『キーパー ある兵士の奇跡』  映画関係

[映画紹介]

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イギリスサッカー界の伝説のゴールキーパー、
バート・トラウトマンを描く感動篇。

ナチスの兵士だったトラウトマンは
イギリスのランカシャー州の捕虜収容所の中で
サッカーのキーパーをしていた時、

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地元チームの監督の目に留まり、
ゴールキーパーとして迎えられる。
「ドイツ野郎」と蔑む冷たい視線に耐えながら、
ファインセーブを連発すると、
チームのメンバーも次第にトラウトマンを
仲間として認識してくれるようになる。

その活躍を見た名門サッカークラブ、
マンチェスター・シティFCの監督の勧めで
入団テストを受け、合格するが、
まだ戦争の記憶の残るイギリスの中で、
厳しい批判にさらされる・・・

物語は前半、捕虜収容所の地元のサッカーチームに入り、
1948年、捕虜収容所が閉鎖されると、
ドイツへの送還の申し出を拒否し、
ランカシャー州に定住、
サッカークラブ、セント・ヘレンズ・タウンAFC でプレー、
監督の娘と結婚するまでが描かれる。

そして、後半、マンチェスター・シティでの話になると、
戦争によって引き裂かれた英国とドイツの
国民の感情が鮮明に浮かび上がる。

入団記者会見では、
「サッカーのことだけ質問を」という主催者の要請にもかかわらず、
記者たちは、トラウトマンの戦争時の立場を追究する。
トラウトマンが戦功をあげ、
鉄十字勲章を受けていたことが判明すると、
新聞はそのことを書き立て、
枢軸国の元空挺兵と契約したクラブの決定は抗議運動を呼び、
猛烈な非難が殺到する。
ドイツとの戦争で家族や親戚を失った人々がまだ沢山いたのだ。

しかし、トラウトマンは、誹謗中傷に耐え、
その卓越したキーパーの技術で
批判を抑え込んでいく。
特に、ゲーム中の事故で首に怪我を負いながらも、
最後までプレーを続行して重要なセーブの数々を記録し、
3−1のリードを守り、職務を果たす姿が賞賛される。
試合後、X線検査で骨折していることが明らかとなった。
(交代しなかったのは、当時、選手交代のルールがなかったので、
10人でプレーしなければならないのを避けるためだった。
また、キープしたボールを遠投するのは、
当時の作戦であると共に、
トラウトマンが生年時代、ハンドボールの選手だったからだ)
やがて世界で最も歴史ある大会でチームは優勝、
トラウトマンは国民的英雄となる。

という成功物語の合間に
トラウトマンを苦しめる戦争中の光景が差し挟まる。
それは、サッカーボールを巡るユダヤ人の少年の姿で、
トラウトマンはその記憶に責め苛まれる。
不幸な事故で息子を失ったトラウトマンは、
それは、自分の罪のせいだと思う。
妻のマーガレットは、
「あなたの息子であると共に私の息子でもある。
自分の罪でそうなったなんて、思わないで」
と責める。

その戦争中の原罪意識を作った光景の中の子供が
何度もトラウトマンの前に現れる。
サッカーを描きながら、
このドラマは、罪と許しを描いているのだと分かる。

だから、入団への非難の中、
妻が言う、
「(ドイツの戦争の)罪は消えない。
でも、許すことは出来る」

という言葉が深く胸に響く。
「許すよりも憎む方が簡単だ」とも言う。

収容所の軍曹と墓地で対決する挿話も胸を打つ。
軍曹も家族をドイツに殺された人で、
それでも、トラウトマンにサッカーをやれと激励する。

戦争という不可避な状況。
その中での個人としての兵士の罪。
それに対する許し。
国としての、民族としての許し。
描いているものは深く、
胸をえぐる。

後半、いろいろな挿話が弾けて、
涙を禁じ得なかった。

エンドクレジットで、
彼が英独をつなぐ役割を果たしたとして、
大英帝国勲章を授与されたこと、
マーガレットとの間に
その後二児をもうけたことなどが出て、
ほっとさせられる。
(感動に水を差すようで、恐縮だが、
実はトラウトマン、マーガレットとは二人の子供を持った後、離婚し、
その後、2度結婚している。)

監督は、ドイツのマルクス・H ・ローゼンミュラー
トラウトマンはデヴィッド・クロスがつとめ、
素晴らしい表情の演技を見せる。

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2019年、ドイツのバイエルン映画祭で最優秀作品賞を受賞。

5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/M5G2JEX-_qM

トラウトマンは、
マンチェスター・シティで1964年までプレーし、
545試合に出場。
現役引退後には指導者に転身し、
2013年7月19日にスペインの自宅で死去。
89歳だった。

なお、勲章を受けた翌日夜の
コンサートでエリザベス女王に会い、
女王は
「あら、あなたトラウトマンね。覚えていますよ。
まだ首は痛いのかしら? 」

と、40年前に負傷を気にかけていたという。

↓イギリスのマンチェスターシティ博物館に展示されている
バート・トラウトマンの彫刻

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