日本のイノベーションF  様々な話題

久々の日本のイノベーション。
今回が最終回。


カーナビゲーションシステム

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カーナビゲーションシステム(「カーナビ」)は、
高度な測位技術、経路誘導技術、位置情報利用技術を備え、
ドライバーに目的地への最適なルートを案内するもの。
特に、カーナビの主流となっている
「地図型ナビゲーションシステム」は、
世界に先駆けて我が国で開発され、全世界に普及したものである。

1981年8月、本田技研工業・本田技術研究所は、
新たに開発した「エレクトロ・ジャイロケータ」を発表し、
同社の「アコード」及び「ビガー」のオプションとして
12月に発売した。
「エレクトロ・ジャイロケータ」は、
それまでの「目的地の方向」と「残りの距離」を示すだけの
カーナビを大きく変え、
「車両の現在位置」「走行軌跡」及び
「これから進むべき方向」を地図上に可視的に表示する
最初の地図型ナビゲ―ションシステムであった。
ホンダはこのシステムの測位のために、
独自に車載用ガスレートセンサを開発し、
そこから得られた刻々の信号をマイクロコンピュータで計算し、
それを二次元座標テーブルで画像処理した
走行軌跡を表示画面として、
CRT上に表示するシステムを実現した。
ホンダはこの情報をCRT上にセットした
透明の専用地図シートに表示するものとしたが、
この製造過程でデジタル・マップの必要性が認識されるものとなった。

その後、大量の情報をコンパクトに記録できる
CD-ROMの実用化が始まったことから、
このCD-ROMを用いてデジタル・マップを構築することが
自動車メーカー、電装メーカー等により取り組まれた。

1987年にトヨタ自動車と
デンソーが開発した「CD-ROMナビゲーションシステム」は、
世界で最初のデジタル・マップデータを用いたもので、
「クラウン」に搭載された。

カーナビの測位技術は、
米国政府によりGPSの利用が一般に可能となったことから
更なる進化を遂げた。
1990年に三菱電機とマツダは、
世界で初めてのGPS方式
「カーコミュニケーションシステム」(CCS)を開発し、
これを搭載した「ユーノスコスモ」が市場に登場した。
CCSは、GPSに加え、車載センサーによる測位、
マップマッチングによる誤差修正機能を備えた
ハイブリッド航法を採用したカーナビであった。
カーナビは、市販型の登場によりさらに身近なものとなった。
同じ年にパイオニアが発売した「カロッツェリアAVIC-1」は、
市販型としては世界初のGPS方式カーナビであり、
カーナビの一般への普及に大きく貢献するものとなった。

カーナビはその後のVICSサービスの開始もあって、
順調に出荷台数を増加し、
また、欧州をはじめとして海外での利用も拡大し、
近年では中国、韓国、インド等の
アジア地域においても普及が加速している。

                                        
ATM

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ATM(「現金預け払い機」)は、
オートマチック・テラー・マシン」(Automatic Teller Machine)の略である。
テラーとは、銀行の窓口で顧客の応対をする人のことであるが、
ATMは預金者自らが機械を操作し、
現金の引出し、預け入れや振込みを行うことを可能とした。

ATM以前にも機械で現金の引出しだけができる
キャッシュ・ディスペンサー」(CD)があった。
1960年代から欧米日本で利用されていたが、
ATMはこのCDの引出機能に加え
入金、振込み、さらに近年では融資機能をも有する
無人店舗ともいえる金融窓口機能を備えるまでになっている。

ATMの開発によって、
従来は金融機関の窓口で、
預金者が印鑑を提出し、通帳への記帳によって
現金の受払いや送金を行っていた業務が全て自動化され、
コンピューター・オンライン・システムによって処理されるところとなった。
現金出納担当のテラーが不要となり
窓口人員の大幅な合理化が実現するとともに、
現金授受に係わる一部の事故(例えば、ミスによる勘定の差異)
への対応に要する
多大な労力を大幅に減らした。
預金者も長時間の順番待ちがなくなり、
財布代わりの小口引出しを銀行の閉店後も利用できるようになった。

CD、ATMいずれもそのメカニカルな発明は日本ではない。
しかし、欧米でのそれが窓口での使用にとどまっていたのに対し、
1960年代後半、世界で初めて銀行の本支店間業務に
オンライン・リアルタイム・システムを導入
し、
CDそして後にはATMと接続して
預金者にまでつながるネットワーク化を実現したのは、
日本の三井銀行や平和相互銀行をはじめとした日本の銀行業界であった。
(欧米でのオンライン化は80年代に入ってから本格的に進展し始めた。)
日本におけるオンライン化とCD、ATMの活用は、
預金者の便宜を著しく向上させるとともに
銀行業務の簡素化、迅速化そして
金融関係機関相互のネットワークの構築、
更にはその再編統合にも大きな役割を果たしていった。

第1次オンライン化から10年後の1975年以降、
日本の都市銀行は2回目のオンライン化のための投資を相次いで行った。
CDの普及はキャッシュ・カードによる現金の引出しを可能とし、
その便利さゆえに再び預金者の行列をつくることとなっていた。
この2回目のオンライン化は
こうした急増する窓口業務等の簡素化、本支店間業務の効率化、
そしてATMによる更なる預金者の獲得を目指したものであった。
その効果は大きく、預金者は引出しのみではなく、
預け入れから送金までできるようになるとともに、
他行からも自らの預金の出し入れが可能になった。
さらに銀行間ネットワークの形成が進み、
最終的には郵便貯金とのそれも実現した。

1990年代以降、ATMは新たな参入者によって
更なるサービスの向上を提供するものとなった。
1日に24時間稼働するものや土日も利用できるもの、
料金の収納代行サービスや国際カード・サービスが可能なもの、
そして小口融資などのリテイル・バンキング・サービスは、
その後コンビニエンス・ストアや
外資系銀行あるいはカード会社や消費者金融によって推進されてきた。
コンビニのATMによる電気、ガスの公共料金窓口支払件数は
1998年には銀行のそれをしのぐまでになった。

                                        
日本語ワードプロセッサ

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日本語ワードプロセッサ( 以下、「日本語ワープロ」) は、
大学・研究機関で培われた言語処理学研究を踏まえて、
企業による日本語処理技術の実用化を経て、
今日に至るまで社会に広く影響を与えるに至ったイノベーションである。

1964年、IBM等が英文のワープロを発表したが、
日本語のそれは文字数の多さ、
漢字転換などの複雑さ等の面から開発は極めて困難とみられていた。
多くの企業、研究者が挑戦する中で
東芝の研究グループは、
京都大学長岡研究室などの情報工学の最新の成果を踏まえつつ、
英文ワープロに匹敵する日本語ワープロの研究開発を進め、
様々な試行の結果、
1976年に「かな漢字変換システム」の実用化技術の開発に成功した。
また、別途学習機能等を開発することで
編集機能」を可能にするとともに、
東芝青梅工場の参加を得て製品のダウンサイジング化も実現した。

こうして1978年9月、
世界で最初の実用レベルの日本語ワープロJW−10を発表し、
翌年販売を開始した。
発売価格は630万円であった。
その後、日本の他社も次々と製品を発表して価格は急速に低下し、
東芝が1985年6月に販売を開始した
「Rupo JW-R10 」は10万円を下回るまでになった。

日本語ワープロの出現は、
我が国のコンピュータリゼーションをも加速させた。
一太郎のような優れたソフトウエアが生まれ、
パソコンの普及そして我が国の様々な分野での情報化、
オートメーション化を実現する力ともなった。

ワープロ専用機は、パソコンの発達などにより
21世紀に入ると市場から姿を消していったが、
JW−10などで開発された「かな漢字変換技術」と「編集技術」等は、
その後のパソコンや携帯電話など
日本のあらゆる情報通信分野の日本語入力手段として引き継がれ、
発展を続けている。

さらに、「かな漢字変換技術」で開発された言語処理技術は
世界中の象形文字の入力技術に大きな影響を与え、
漢字など表意文字を使う言語は、
かな漢字変換技術を基にした各国独自の技術開発により、
日本語と同じように簡単に入力することが可能となった。


QRコード

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QRコードは日本電装(現・デンソー)が開発した
マトリクス型2次元コードであり、
QRはQuick Responseから名付けられている。
バーコードに比べて収められる情報量が大容量で、
かつ、高速で読み取ることを可能にした。
縦、横、斜めなど全方向からの読み取りをも可能にし、
コードの歪みにも強く、データの復元面でも優れている。

2次元コードは、米国のNASAなどでも研究されていたが、
その開発の重点はいかに多くの情報をコードに収納するかであった。
デンソーの開発チームが目指したのは情報量とともに
いかにして高速で読み取らせるかの追求であった。
また、油汚れや破損などによる課題にも対応できるものでなければならなかった。
様々な工夫、試行錯誤を重ねて、
四角い形の「切り出しシンボル」をコードに組み込むことで上記の課題を克服した。

開発とともに、デンソーは部外企業や団体などにも積極的にその使用を勧め
自動車・自動車部品産業以外の電気・電子産業、食品産業等々、
多くの産業などでも広範に使用されるようになった。
さらにデンソーは、QRコードの特許権を
規格化されたQRコードの使用には権利行使しないことを明言し、
その普及によって自社の生産する読み取り機の需要を拡大させる方針を選択した。
この結果、QRコードの普及は急速に進み、
オープンコードとして広く用いられるようになった。

21世紀に入ると、QRコードの読み取り機能を搭載した携帯電話が発売され、
産業のみならず個々人による使用も可能となった。
海外でも、2000年にはISOの国際規格として定められ、
多くの国に普及していった。

QRコードは、21世紀以降も様々な進化を遂げている。
今では名刺やインターネットのホームページ、
空港の発券システムなど至る所でQRコードが使用されている。


これで、日本のイノベーションシリーズは終了します。

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