映画『スペシャルズ!』  映画関係

[映画紹介]

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「最強のふたり」などの
エリック・トレダノオリヴィエ・ナカシュの監督コンビが放つ、
社会問題篇。

自閉症ケア施設「正義の声」を運営するブリュノは、
他の施設で見放された子供たちを受け入れていた。
組んでいる友人のマリクは、
ドロップアウトした若者たちの教育団体「寄港」を運営して、
社会復帰をめざしていた。
しかし、困難な仕事で、二人は様々な問題を抱えていた。

たとえば、ようやく洗濯工場で試用された一人は、
職場の女性職員に執着して迷惑がられ、
地下鉄の中で頻繁に急停止ボタンを押して、
ブリュノは呼び出される。

自傷行為を繰り返す青年は、ヘッドギアを付けられて
頭の負傷を阻止するが、新米の職員に頭突きを食らわす。
そして、施設を抜け出して、町を彷徨い、
高速道路の上で保護される。

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新人のディランは、遅刻ばかりでやる気がないが、
他に仕事がないので、この施設にすがりついている。

予測のつかない事態に追われて多忙を究める毎日だった。
そこへ、当局の監査が入り、無認可でかつ
無資格の所員で世話をする「正義の声」は、
閉鎖を迫られるそうになる・・・

こうしたブリュノとマリクの日常を
涙も感動にも走らず、
ウェットにならずに淡々と、
まるでドキュメンタリーのように描写する。
悲壮感もなく、高邁な理想も語らないが、
行為そのものが、
二人の仕事の気高さを証明する。

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自閉症はやっかいな病気で、
対応は一人一人違う。
治療法は確立しておらず、
正解は見つからない。
見返りも少ない。

昔、私の友人で知恵遅れの学級の先生になったが、
「響き返って来るものがない」
と言ってやめた人を知っているが、
自分のしたことが、
成果となって戻ってこないほど辛いものはない。

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それでも、ブリュノは「何とかする」を合言葉に、
どこからも受け入れてもらえない青少年のために尽くす。
その姿には頭が下がる。

社会からはじき出された青少年を救おうとする二人だが、
法律の順守より子供たちの幸せを最優先するブリュノの施設は、
役人の目から見れば、
不適切の極みだ。
査察官は、そのブリュノに対して、
あれこれケチを付ける。
最後にブリュノが、
「じゃあ、預かってくれよ」
と啖呵を切る場面は、ことの本質を浮き彫りにする。
「うちにかかって来る電話は、
どこの施設からも断られて、
やっとすがりつくように、頼って来た人たちだ。
その人たちに断れるか」
と。
薬漬けにしたくない、
拘束衣で縛りつけたくないという、
家族の切なる願いがあるのだ。
理論理屈より、
まず現場をどうするか、
ブリュノの選択は正しい。
無資格を指摘する監査官に
「資格があれば暴れる子を抑えられるのか」と言う。

まさに現場主義の二人の「スペシャルズ」の話である。

ブリュノをヴァンサン・カッセル

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マリクをレダ・カテブが演じ、
リアリティ豊かな演技で、
市井の名もない人の「無償の行為」の素晴らしさを見せる。

ブリュノとマリクには、
ステファン・ベナムダーウド・タトウというモデルがあり、
駆け出し監督の頃、二人に出会った両監督が感銘を受け、
「いつか必ず映画にする」と約束。
その約束を26年ぶりに果たして、
この映画が作られた。
そういう経緯も胸を打つ。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/ham38IX0cc0

TOHOシネマズシャンテ他で上映中。

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