旅行記『旅のつばくろ』  書籍関係

[書籍紹介]

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「つばくろ」とは、(つばめ)のこと。

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渡り鳥のため、旅人になぞらえている。
西條八十作詞の「サーカスの唄」にも、
「♪旅のつばくろ 寂しかないか」
と歌われている。

沢木耕太郎といえば、
香港からロンドンまでの旅をつづった「深夜特急」が有名だが、
これは、国内旅行の初エッセイ
JR東日本の車内誌「トランヴェール」の連載エッセイを単行本化したもの。
「深夜特急」を愛読した者として、期待感を持って読んだが、
意外や、内容が薄い印象。

ただ、沢木の初めての旅は16歳の時、
均一周遊券を握り締めて、
12日間、東北を旅した。
その初旅の印象が色濃く投影されており、
人間の初の旅は人生を決めるんだな、と思わせる。

以下、印象に残った部分をあげると、

アジアからヨーロッパの旅の途中、
日本人の旅人とすれ違い、
帰国したら最初に何を食べたいか、
何をしたいか、という話になった時、
食べ物は様々だったが、
何をしたいかは、
かなり共通して、
「温泉に行きたい」という言葉がきかれたという。

沢木がまだ駆け出しの頃、指導してくれた編集者のこと。
晩年俳句を作り、闘病の後、亡くなったが、
その遺稿集を託された。
しかし、残された俳句には、
闘病や死への恐れといった類のことが一切詠まれていなかった。
ただ、一句、辞世の句と読めないこともない一句。
花吹雪 ごめんなすって 急ぎ旅

能登の白米の棚田で出会った香港のカップル。
年に一、二度、日本を旅し、
この春は青森方面で旅を楽しみ、
今回は北陸を旅しているという、
二人の話。
以前は中国本土にも旅行していたが、
最近は日本にしか来ない。
日本を旅していると、
心が落ち着く
のだという。
なるほど。

旅に出ると、予期しないことに出くわし、
楽しい思いをしたり、
逆にがっかりするような目に遭ったりする。
それを金運や結婚運のように「旅運」と言うとすると、
確かに旅運のいい人と悪い人がいるかもしれない。


山本周五郎の本名は清水三十六(さとむ)。
山梨から東京に出て来た清水少年は、
木挽町の質店・山本周五郎商店に丁稚奉公しながら、
夜間の学校に通った。
清水少年は、自分を学ばせ、育ててくれた
店主の山本周五郎に恩義を感じ、
作家になった時、その店主の名をペンネームにしたのだという。

山本周五郎で、もう一つ。
周五郎は友人や知人たちから
「曲軒」(きょくけん)というあだ名をつけられた。
というのは、周五郎はおそろしく気難しかったからだという。
作品とは違う、作家の一面。

古書店でのこと。
「どうやって本を仕入れるんですか」と問うと、
今は古書業界全体が供給過剰で困っているという。
その理由。
「六、七十の男性がいっせいに
本を処分なさろうとしているせいです。
この方たちが紙の本を大量に買った最後の世代なんだと思います」



沢木耕太郎の他の著作の紹介ブログは、↓をクリック。

「春に散る」
                                 
「敗れざる者たち」

「一瞬の夏」

「深夜特急・第一便」

「深夜特急・第二便」
                               
「深夜特急・第三便」


映画『ママは世直しヒーロー』と『# 生きている』  映画関係

Netflixの映画を見ていると、
出来不出来の差が激しく
10分ほど観て、途中でやめる、
という現象が頻繁に発生する。

今回は、その中でも、
まあ、何とか、という作品を2本紹介。


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9月2日から配信開始のドイツ映画。

題名から見ると、
コミカルなスーパーヒーローもの、
という印象だが、
ドイツ人らしい、生真面目な作品

レストランで働くウェンディは、
横暴な店長のもとでいやな思いをしながらも、
警備員の夫と息子と共に
平穏な日々を過ごしていた。
子どもの頃にちょっとした事件があり、
それ以来、医者の指導で薬を服用し続けている。

ある時、浮浪者マレクから、
「青い薬は飲まないように」
と言われ、試しにその日の分を捨ててみると、
レストランからの帰宅途中、
ちょっかいをかけて来る不良たちを
豪腕でのしてしまう。
医者が処方する薬は、
ウェンディが持っているスーパーパワーを抑制するものだったのだ。

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一方、レストランで働く同僚のエルマーもまた、
薬をやめてみたら、
電気を自由に操れるパワーを持っていたことに気付く。
自分で「エレキマン」と名付けて喜んでいる。

突然スーパーパワーを手に入れたウェンディたちは、
その力の使い道について考え始める。

しかし、ウェンディたちの力を抑制しようという勢力が働き始め・・・

「ママは世直しヒーロー」という題名は、
日本で付けたもので、
原題は「Freaks  Du bist eine von uns (化け物:あなたも私の仲間) 」。

最後は、ウェンディは
スーパーパワーの持ち主を集めて、
「アベンジャーズ」みたいのを始めるらしい。

かなり暗い、陰鬱な作りで、
ハリウッドで作ったらどんなになったかな、
と想像しながら、
ドイツのお国柄を思うのも一興。

主人公ウェンディを演じるのは、
ドイツ版「美女と野獣」(2012)で主演を務めた
コルネリア・グレーシェル
美人。


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もう一本は韓国映画。
韓国では6月24日に公開されたのだが、
日本では劇場公開されず、Netflix での配信となった。

ソウルの団地に住むオ・ジュヌが朝起きると、
外では、謎の病気が蔓延している事実を知る。
窓から団地の広場を見ると、
人々が凶暴化し、死んだ後ゾンビとして蘇っている。
隣室の男も、目の前でゾンビ化してしまった。

ジュヌは自分の部屋に立てこもるが、
ネットやスマホ、水道などのライフラインが途絶え、
外部の情報も得られないまま孤立してしまう。
やっと繋がったスマホの音声メッセージによると、
家族もゾンビにやられたらしい。
食糧も枯渇し、絶望したジュヌは自分で命を絶とうとするが、
広場を隔てた向かいの建物の生存者キム・ユビンが
レーザーポインターでシグナルを送ってきて、
自殺を思い留まらせる。
自分以外にも生存者がいることを知ったジュヌは、
ドローンを使って広場をはさんでワイヤで部屋を繋ぎ、
ハンディトーキーを送ってユビンと会話し、
生き残るための方策を探るが・・・

舞台が団地の敷地の中だけに限られ、
更に大部分がジュヌの部屋に限定した描写が続く。
それが緊迫感を高める。
なかなか面白い趣向だ。

登場人物も限定され、
最後に出て来た謎の人物は・・・

ある日突然、謎のウイルスによって人々が感染する世界、
という今のコロナの状況を想定して作ったのではないかという作品。
非常事態を受けてテレビの画面には、
「安全のため、自宅待機を」といった
国民行動原則が映し出されている。
ますます今の状況と似ている。

「新感染」「キングダム」など、
韓国はゾンビ映画が好きだが、
ゾンビを演ずる無名の俳優たちの
ゾンビ演技が見物。
誰だか知らないが、
優秀なゾンビ演技の指導をする人がいるに違いない。


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国連への評価とイタリアの議員削減  様々な話題

創設75年を迎える国連の実績について
世論調査が実施された。
調査は北米と欧州、アジア太平洋地域の先進14カ国で実施され、
6月10日〜8月3日にかけ、
1万4276人から電話で聞き取り調査を行い、
その結果を米世論調査機関のピュー・リサーチ・センターが
9月21日に発表した。

国連に好感を持つ米国人はほぼ3分の2(62%)に上り、
好感を持たない米国人は3分の1程度(31%)にとどまった。
米国人は10人中約7人の割合で、
国連が人権(70%)や平和(72%)を推進していると答え、
10人中6人は経済発展(62%)、気候変動対策(61%)を促進し、
米国のような国の利益(58%)を進展させていると回答した。

この米国民の国連に対する意見は、
他の先進国とそれほど大きな違いはなかった。

しかし、突出していたのは日本で、
国連に対する好感度は14カ国の中で最も低かった
好感を持つという人は10人中3人(29%)に満たず、
日本人の半数以上(55%)は
国連に対して好感を持たないと答えた。

日本には「国連神話」があるとされるが、
意外にも、国連に対する評価はシビアなものがあると分かる。
国際紛争に対する国連の無力さの露呈や
安保理常任理事国に日本が参加できない事実や、
高い分担金などの問題で、
国連に対する幻想が消えたようだ。

これに対して、ネットでは、
次のような意見が掲載されている。

○そもそも、国連は日本を「敵国」と認定した条項
を持っている機関であるという
本質的な問題があります。
その一方で、中東の紛争やそれにまつわる動向を観察していると、
日本には「国連が紛争当事者に停戦や和平を
強制できる/強制すべきだ」
という幻想が根強くあり、
そうではないと認知されると
評価や好感度は下がるのではないでしょうか。
また、移民・難民問題などで「日本に負担を要求するだけ」
というイメージも広まりつつあるかもしれません。
国連や傘下・関連の国際機関には功績も多いのですが、
日本という環境から見れば過大な期待をすべきでない機関に対し、
過大な期待をし続けてきた反動が出るのかもしれません。

「敵国条項」:
国際連合は元々、
第二次世界大戦の連合国が母体となってスタートしたもので、
そのため国連憲章の53条には、
第二次世界大戦で枢軸国側に立った国(特にドイツと日本)が
侵略行動を行った場合には、
安全保障理事会の議決に基づかずに強制行動がとれるという規定があり、
また107条では
旧敵国に対する行動については国連憲章に拘束されないという規定がある。
この2条と敵国という語を含む77条については、
1995年には国際連合総会決議において
敵国条項はすでに「死文化」しているとされ、
憲章改正の際には削除するという内容を含む決議案が
3か国のみ棄権という圧倒的な賛成多数で採択されている。
また2005年に国連総会特別首脳会合で採択された「成果文書」には
「敵国条項の削除を決意する」という決議が採択されている。
ただし、国連憲章改正には総会での3分の2以上の賛成および、
常任理事国すべてをふくむ安全保障理事会3分の2以上の賛成、
そして3 分の2 以上の加盟国による批准措置が必要であり、
また常任理事国の追加問題なども絡んでいるために削除には至っていない。

○敵国条項は死文化しているとの見方もあるが、
それならば(それゆえにこそ)、
「こんなものはさっさとやめたらいい」と言う声が上がってもよさそうだが、
そんな動きは毛ほどもない。
常任理事国の中には、絶対に廃止する気のない国
(永久に日本を敵国にしておきたい国)もあることだし、
死文化を名目に永久に日本は「敵国」扱いであろう。

○国連に入ってて得をしてるのは、
常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)だけでしょ?
中国とロシアが何やっても止められない組織を、
評価することなんて出来ないと思いますけど。
それに世界大戦終結以後、
国連がどのような活動に寄与したのかさっぱりわかりません。
大概、大国の良いように使われてるのしか見てませんけど。

○国連が世界平和ではなく、
" 常任理事国による恒久的な世界支配" の為に存在している事を、
多くの日本人は気がついてる。
圧倒的な権限を保有している常任理事国側の人間は、
権力維持の為に国連を高く評価するだけの話。

「拒否権」:
国際連合の採決には常任理事国5カ国と
非常任理事国10カ国との合同での採択で決定するが、
常任理事国が拒否権を発動した場合、採択は全て否決される。
今まで、東西冷戦時代等を中心に
採択で常任理事国が拒否権を発動し否決されたケースが数多くあり
国連で拒否権の在り方が問題になっている。

○常任理事国に中国が認められてるから、不信感があると思う、
人権蹂躙国家中国が常任理事国なんてあり得ない、
日本は脱退した方が良いと思う、
賛助金が無駄になってる。

○分担金を滞納している国が常任理事国として踏ん反り返っている一方、
分担金を律儀に払い続けているにも関わらず敵性条項から外されていない、
いわば国連から敵と見做されている日本が国連に対して評価が高くなるはずがない。
前回に比べて評価が下がったのは日本人が真実を知り始めた結果ですね。

[分担金]:
予算の主な財源は加盟国からの分担金であり、
分担率は専門家から成る分担金委員会の勧告に基づいて、
総会が承認する。
分担率は基本的に加盟国の支払能力(全世界のGNPに占める加盟国の割合等)
を考慮して決められる。
2019年から2021年における上位10か国の分担率は↓のとおり。
1位 アメリカ 22.000 %                            
2位 中国   12.005
3位 日本   8.564
4位 ドイツ 6.090
5位 イギリス 4.567
6位 フランス 4.427
7位 イタリア 3.307
8位 ブラジル 2.948
9位 カナダ 2.734
10位 ロシア 2.405

多くの加盟国が分担金を滞納しており、国連の財政状況は不安定である。
アメリカは、国連の組織と業務に無駄が多いとして、分担金の支払を制限している。
昨年の国連の公式HPでは、
7加盟国が分担金未納により総会投票権を失ったという。

○国連に対する日本人の好感度なんて高い訳がない。
金はむしり取られど、日本に不利なことしかして来ない。
最たるものは慰安婦のクマラスワミ報告等、
調査もしないで、
ありもしない虚偽の事項を平然と認めてしまう組織。
ハッキリ言って、官僚の天下り先で存在しているだけの
要らない組織です。

○国連が、以前に比べたら、
平和形成・平和維持に寄与していない。
と感じている。
当然、日本も負担している分担金に対して、
国益を得ていないと言うのを理解しているのだろう。
さらに言うなら、日本人のほとんどの人が、
大きな期待を裏切られていると言う思いの裏返しが、
今の国連への日本人の評価だろう。


次は、イタリア政界の話。
                                        
イタリアで議員定数削減の是非を問う国民投票が行われ、
議員定数の3分の1以上が削減されることになったという。

イタリアでは2年前の総選挙で、
政治腐敗を批判する政党「五つ星運動」が与党になり、
議員定数の削減など議会改革を訴えていた。

今回、国民投票にかけられた削減案は、
上下両院の定数を945議席から600議席へと
3分の1以上減らすもの。
(下院は630議席から400議席に、
上院は315議席から200議席に削減される。)
開票の結果、賛成がおよそ7割を占めた。

これにより、次回の総選挙から新たな定数が適用されることになる。

「議会のスリム化」は財政再建を進めるイタリアが抱えてきた重要課題の一つで、
議員の定数が3分の1以上削減されることで、
年間で1億ユーロ、日本円で120億円以上の
歳費の削減
が見込まれる。

議員定数の削減は、欧州の他の国でも議論になってきた。
下院にあたる連邦議会議員が709人のドイツでは、
次期選挙までの定数削減が議論されてきたが、
政治家が自らの身を削る改革の実現は難しいのが現状だ。

この報道に対して、ネットでは、次のような意見が述べられている。
                                        
○さすがイタリアです。
日本では国会議員のほとんどが黙秘をしたまま
議員削減が話題にもならなくなった。
改革を言うなら自らの身を切る改革をしてください。
国会議員の定数削減をしてください。

○日本も削減すべきだと言うけど、
イタリアとの違いはただ言ってるだけで日本は行動しないこと。
向こうは政治腐敗を批判する政党が与党にまでなって成し遂げてる。
さて、日本人はこれからどうするべきなのかな?

○日本でも是非やりましょう。国民投票 
それと比例代表も無くしましょう。
国民に選ばれなくても議員になれる制度は要らないです。

○今の日本も削減すべき!
素晴らしい人もいるだろうが、ろくでもない国会議員が多すぎる!

○消費税増税の条件として国会議員削減は与野党合意したはず。
消費税増税しておきながら与野党ともに頬被りしているのはいかがなものか。
比例代表全廃を望みます。
選挙区で落選した議員が比例復活することに憤りを感じる。

日本では2012年に
当時の野田佳彦首相と自民党の安倍晋三総裁が
定数削減で合意し、
衆院が解散されたが、
いつまでたっても実現しない。

今の議員は、今の制度で選ばれた人たちなので、
今の制度が一番良く、議員自身での改革は困難だ。

そこで、「国民投票」という強行手段が出て来るのだが、
日本では、
日本国憲法で憲法改正の際の国民投票のみが規定されているので、
国民投票で決するには、
別に拘束力のある国民投票の法制化が必要である。


小説『チーム』  書籍関係

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箱根駅伝の学連選抜チームを扱った堂場瞬一のスポーツ小説。

学連選抜チームとは何か。
それを理解するために、
箱根駅伝の豆知識を。

箱根駅伝は、正式名称を
東京箱根間往復大学駅伝競走という。
例年1月2日と翌3日の2日間にわたり行われる
関東地方の大学駅伝の競技会。
毎年テレビで生中継される人気大会だが、
関東学生陸上競技連盟の加盟大学しか参加できない、
地方大会である。
1920年開始。
「箱根駅伝」は読売新聞東京本社の登録商標。

コースは国道1号線、
大手町の読売新聞東京本社ビル前から、
鶴見、戸塚、平塚、小田原の各中継所を経て
神奈川県足柄下郡箱根町・芦ノ湖までの往復で、
往路5区107.5q、復路5区109.6q、
計10区217.1qを走る。
つまり、マラソンの5倍の距離を10人で繋ぐ。
一人当たりはハーフマラソンの20q相当となる。

関東学連加盟校のうち、
前年大会で10位までに入賞した
シード権を獲得した大学10校が優先的に参加を許され、
残りの10校は予選会で選出される。

予選会は本競技会の2か月以上前に行われ、
陸上自衛隊立川駐屯地内の滑走路を周回し、
立川市の市街地を通過して、
昭和記念公園内をゴールとするハーフマラソン(21.0975km )のコースを
各校10名以上12名以下の走者が走って行われる。
一定の期間にトラック1万メートル
34分以内の記録保持者のみ出場資格があり、
この出場資格を有する者を10人以上揃えなければならない。
それでも出場選手は500人を数える。

予選会ではバラバラに走った各校上位10名の合計タイムにより
10校を選出する。

この予選会で落選したチームに所属する選手のうち
個人成績で上位に位置する選手から、
各校1名ずつ16名(補欠を含む)で選抜されたのが
関東学生連合チーム。

当初オープン参加として、
個人記録そのものは有効な記録であるが、
順位は付かず、チーム・個人ともに参考記録だったが、
その後、正式参加と認められるようになった。
10位以内に入ると、シード校は9となり、
予選会の通過大学は11校に枠が広がる。

第84回(2008年)では総合4位という好成績を収め、
続く第85回(2009年)も総合9位となり、
2大会連続してシード圏内入りを果たした。

このように、シード校10校、予選通過10校と
学連チームの21校で行われるのが、
箱根駅伝である。

という基礎知識の上で、
予選会の場面から物語は始まる。

城南大学の選手浦大地(うら・だいち)は、
予選会の集計結果を見守る。
浦には忸怩たる思いがある。
というのは、城南大は箱根で優勝を過去5回誇るが、
ここ10年は下位に沈み、
辛うじてシード権を獲得してきたのが現状。
そして、昨年はついにシード権を失った。
アンカーの10区を走る浦が大ブレーキとなったからだ。
                                        
そして、予選会も落選し、
連続出場32回の記録が途切れた。

その浦に
「これで終わりじゃない。俺と一緒に箱根に行こう」
と声をかけた人がいた。
美浜大学陸上部監督の吉池幸三だ。
予選会11位の大学の監督が
学連選抜チームの監督になる、という決まりから、
選抜チームの監督になった人物だ。
名伯楽と言われ、名選手を沢山育てているが、
自身はまだチームを箱根に出したことはない。

浦は選抜チームに選ばれ、
吉池により主将に任命された。
寄せ集めのチームはいろいろな問題を抱えていた。
まず、東京体育大の山城
予選会トップという卓抜な力を持ちながら、
チーム全体の力不足で箱根に行けなかった男。
チーム競技などくそくらえで、
区間新4年連続更新という
自分のことしか考えておらず、
吉池に反抗し、チームに溶け込まない爆弾を抱えた男。
東都大の朝倉
「後がない」4年生が多いチームの中で、唯一の1年生で、
内心遠慮を抱えている男。
港学院大の門脇
浦と同じ高校の出身で、
陸上はあきらめ、故郷の高校教師が決まっている男。

彼らと何度も議論したのは、
この寄せ集めのチームのことだった。
駅伝は一人の選手の力だけではなされず、
チーム力が試される。
しかし、寄せ集めで、終った後、解散するチームでは
モチュベーションの上げようがないのだ。

「にわか編成のチームですよ。
四年間同じ釜の飯を食ってきた他のチームとは
事情が違うでしょう」


それでも、浦はそのチームの一体感を生むために腐心する。
そして、吉池に示されたのは、
あの10区を走れという命令だった。
そうでなければ、
一生心の中に負い目を負って生きなければならない
10区の記憶を払拭させるという狙いだった。

学連チームの目標を「優勝」に定め、
わずか2カ月間の練習で箱根にのぞんだチームの結果は・・・

第一部「敗れし者」は、チーム編成から当日まで。
第二部「敗れざる者」は、箱根駅伝当日。
後半250ページは、
このレースの描写をずっと綴る。
ずっとと言っても朝倉の走る3区と
門脇の走る5区(箱根山上り)
山城の走る9区と
浦の走る10区だが、
その描写は詳細で、
堂場の筆力が炸裂する。

足の故障が再発した浦に
10区を走らせるかどうか決断の場面。

再び大失速するようことになったら、
浦が背負うダメージは計り知れないものになるだろう。
一方で門脇の言い分ももっともなものに聞こえた。
チームのためだが、自分のためでもある──
それが駅伝という競技の矛盾であり本質でもあるのだ。


ラストの浦の疾走シーンは大迫力。
また、最後の山城の行動を胸を熱くするものがある。
順位は?
その結果は読んでほしい。
大感動必至である。

箱根駅伝は、熱くなり過ぎる人が多いので、
敬遠していたが、
少し興味が沸いた。
来年は観てみようか。
あ、開催されるのか不明か。

「チーム」は2008年の作品だが、
続編として、2011年「ヒート」
2015年「チーム2」
2020年「チーム3」が刊行されている。


映画『マイ・バッハ』  映画関係

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ブラジルのピアニストであり、指揮者でもある
ジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描く。
「20世紀の最も偉大なバッハの奏者」だそうだが、
私は知らなかった。
Expedia にも出て来ない。

子どもの頃にピアノを習い始めると、
すぐに才能を開花。
20歳にはカーネギーホールで演奏するまでになった。
(楽譜全てを暗譜するピアニストの頭の中を覗いてみたい。)
世界をまたにかけて大活躍の日々。
と思っていたら、とんでもない悲劇に見舞われる。
不慮の事故で手を怪我をしてしまい、
右手の3本の指が自由に動かせなくなってしまう。
何とか克服して、
バッハの全ピアノ曲収録に挑戦した後、
今度は襲撃事件で脳の神経が切れてしまう。
更には脳挫傷の影響で両腕がうまく使えなくなってしまう。

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この克服の仕方がすごい。
右手が使えなくなると、
「左手のためのピアノ曲」(というのがあるんだね)を
左手で弾く。
最終的には「左右の指一本ずつ」で演奏し、
両手が曲がって使えなくなると、
指揮者に転身し、
オーケストラを編成し、
世界中を演奏して回る。
そして、最後は障害のある青年や子どもたちの音楽指導に当たる。

まさに、音楽に対する執念。
妻が言う
「医者はピアノは弾けないと言ったが、
音楽はできないとは言っていないわ」
というセリフのままに。

リオのパラリンピックの開会式で
ジョアンは国歌を演奏する。
ハンディキャップを持った両手で
美しい旋律を奏でたのだ。
この場面は世界に生中継された。

幼少期から青年期、晩年と、
4人の俳優がバトンタッチで演ずる。
圧巻なのは、ピアノ演奏シーンで、
全ての音源の演奏を、マルティンス本人が担当している。
それだけでなく、俳優の演奏が
まるで本当に弾いているかのようなリアルさで迫る。

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マウロ・リマが監督と脚本を担当。

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音楽の天才の執念と熱情を描いて秀逸な作品だった。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/SJzAjS5ahkA

ヒューマントラストシネマ有楽町他で上映中。


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