映画『ハニーランド 永遠の谷』  映画関係

[映画紹介]

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北マケドニアの首都スコピエから20キロほどの谷で暮らす
「ヨーロッパ最後の自然養蜂家」の
女性の生活を追うドキュメンタリー。

岩山に作られた蜜蜂の巣を家に移し、
そこから採れる蜂蜜を売って暮らしている。

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寝たきりで目の見えない老母の世話をしながらの生活。

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自然と共生した彼女のモットーは、
「半分はわたしに、
半分はあなたに」

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それが、蜂たちの生態を壊さず、
持続可能な自然界とのバランスを保つことなのだ。

そうした自然の中に溶け込んだ生活をしている彼女の家の近くに
7人の子沢山の牛飼い一家がトレーラーで引っ越し来る。
彼女は彼らと交わるが、実は相容れないものを持っている。
牛飼いは彼女の真似をして養蜂を始めるが、
金儲け主義のそれが生態系を狂わせてしまい、
彼女の蜜蜂は死に絶えてしまう。
老母が「きっと罰が当たるよ」と言った予言通り、
牛の中に疫病がはびこり、
牛飼い一家は、来た時と同様に突然引っ越してしまう。

後に残された彼女は、母を失い、孤独になってしまう。
しかし、新しい蜜蜂の巣をみつけ、
元の生活に戻って行く。
たった一人。
犬と猫と共に。
きっとこの谷で朽ちていくに違いない。

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首都スコピエから車で1時間の場所に、
このような太古の昔からのような生活が残っていることに驚かされる。
電気も無く、水道もなく、ガスもない。
現代であることを示すのは、
蜂蜜を売りに首都スコピエに列車で出かける描写と、
たまに訪ねて来る車、
それに空の遠くに見える飛行機雲くらいだ。
蜂蜜を売って得た金で、
彼女は盲目の母のために扇子を買う。

子沢山一家の子供たちとの交わりが
彼女の生活に潤いをもたらす。
「あんたのような子がいたら」
という言葉も吐く。

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どうやら、未婚であったのは、
縁談を父親がことごとく断ってしまったからのようだ。
結婚していたら、子供が出来ていたら・・・
その思いは過去への悔恨を呼び起こす。

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掘っ建て小屋に住む母子の生活は
貧しくても幸福そうだ。
子沢山家族の生活も幸福だが、
危うい貧困の影がつきまとう。
人間の生き方とは何か、
豊かさとは何か、
貧しさとは何か、
本当の幸せとは、
他者への思い遣り、
生き物への配慮、
と様々な問いが投げかけられる。

途中、ドキュメンタリーであることを忘れてしまうくらい、
彼女の生活には厚いドラマが内包されている。
それゆえか、先のアカデミー賞では、
長編ドキュメンタリー賞にノミネートされただけでなく、
国際長編映画賞にもノミネートされた。
アカデミー賞史上、初の快挙。
長編ドキュメンター部門では、
中国企業のアメリカ進出を描いた「アメリカン・ファクトリー」が受賞、
国際長編映画賞では、
「パラサイト 半地下の家族」が受賞したが、
私がアカデミー会員だったら、
どちらも本作に票を投じた。

それほど描いている世界が奥深い、
素晴らしいドキュメンタリーだ。

ニューヨーク映画批評家協会賞ドキュメンタリー賞、
全米映画批評家協会賞ドキュメンタリー賞を受賞。

珍しい北マケドニアの映画。
タマラ・コテフスカリュボミル・ステファノフが監督を担当。
3年の歳月と400時間以上にわたって撮影されたという。
トルコ語・マケドニア語・セルビアクロアチア語で語られる。
ナレーションは一切無い。

5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/eeDefIxRmAQ

アップリンク渋谷他で上映中。
時節柄もあるが、空いていた。
もっと沢山の人に観てもらいたい。

タグ: 映画




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