ドラマ『ザ・ラウデスト・ボイス─アメリカを分断した男─』  映画関係

[ドラマ紹介]

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2019年6月にアメリカで放送されたリミテッド・ドラマシリーズ。
7回完結。およそ5時間15分
日本では2020年4月にWOWOWで放送、
5月に一括放送。

FOXニュースの創立者、
ロジャー・エイルズの暴走と失墜の実話を基にしたドラマ。
後半のセクハラ問題は、
昨年公開の映画「スキャンダル」と同じ題材。
ラッセル・クロウ、ナオミ・ワッツ、セス・マクファーレン、
シエナ・ミラー、サイモン・マクバーニー
などが出演。
原作はエイルズを告発したノンフィクション作品
「The Loudest Voice in the Room 」で、
著者のガブリエル・シャーマンは製作総指揮・脚本を務めている。

1995年、2001年、2008年、2009年、
2012年、2015年、2016年と
7話でそれぞれの時代背景と共に、
エイルズの所業を描く。

1995年。
差別的暴言のせいでCNBC局(後のMSNBC局)を解雇された
エイルズは翌年、“メディア王”ルパート・マードックが立ち上げる
FOXニュースの初代CEOとなる。

エイルズは、ニュースはジャーナリズムではなくショーだと考え、
全米各地で暮らす保守的視聴者たちを、
時にはフェイクニュースを使ってまで扇動していく。

そして2001年9月、
アメリカ同時多発テロ事件発生を受け、
エイルズはその姿勢をさらに徹底させることで、
FOXニュースを老舗CNNより人気が高い
ニュース専門局にすることに成功。

2008年の大統領選挙ではオバマ批判を強めるものの、
オバマは勝利。
エイルズはオバマと関係が深い低所得者支援団体についての
フェイク・ニュースを流し続けて、悪評を広めていく。
2012年、オバマの再選に怒り狂うエイルズは、
この頃からトランプとの関係を深め、
番組の力でトランプ当選を画策する。

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2015年、MCのグレッチェン・カールソンは
エイルズをセクハラて提訴することを決意。
1年の間録音し続けた音声が決め手となる。
2016年、グレッチェンに続いて被害者たちが声を上げ始め、
エイルズは窮地にたち、
ついにマードックはエイルズを切る決意をする。

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はじめの方で、FOXニュースの方針を話し合う会議の場面がある。
エイルズに「ターゲットの視聴層は?」と訊かれて、
担当者が「全般です。幅広い層を獲得する」と答えると、
エイルズは即座に「それは違う」と断言する。
「全員は必要ない。
君は“放送”の話をしている。
“ケーブル”に必要なのは、一つ。
ニッチェだ。
根強い少数派だ。
我々はその視聴者に向けた番組を作る必要がある。
政治で言う“支持基盤”だ。
彼らはチャンネルを変えない。
そのニッチェとは、私は保守層だと思う。
国のおよそ半数だ。
世間のニュースを見ろ。
放送でもケーブルでもいい。
どれも左派傾向。
リベラル、エリートだけを狙っている。
それは構わん。
国の半数はそいつらにやる。
だが残りはいただく。
今アメリカは、国民の6割がメディアを不快に感じている。
ウソだらけ、偏見だらけ、ゴミ同然だと。
我々は欲しいものを与える。
前向きでアメリカらしいメッセージ。
それを保守ならでは視点で伝える」

ふーむ、そういわけか、と納得。

しかし、メディアの権力を握った人物が
ある偏った考えを持っているのは恐ろしい。

また、日本の現状も感じさせる。
新聞やテレビのメディアに対する不信感と嫌悪感は
日本でも同じだ。
だから、ネットの書き込みが
それとは正反対の意見で溢れる。

「市民ケーン」で描いた新聞王のように、
子供時代のトラウマに原因を帰す、などという展開はせず、
徹頭徹尾、エイルズは同情の余地のないクソ男として描かれる。
自己中心で下劣で大衆を見下す姿勢。
にもかかわらず有能で、金を稼ぐため、
ボスのマードックもひれ伏す。

ラッセル・クロウは、デブの特殊メイクでまるで別人

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目の部分で、ようやくラッセル・クロウだと分かる位。
特に晩年は、
杖に頼り、車椅子に座り、時々失禁する醜態を演ずる。
マードック一家に呼び出され、
遺恨のある息子たちの前で解雇を通告される場面での
最後の悪あがきの姿は、まさに「老残」のひと言。
ラッセル・クロウは、この役でゴールデン・グローブ賞
TVの部・ミニシリーズ/TVムービー部門で主演男優賞を受賞。

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解任のち、トランプ陣営から政権入りを打診される。
ところどころトランプと電話で話す場面はあるが、
トランプの音声は出さない。

解任10カ月のちに、
浴室で倒れて脳損傷。
8日後、病院で死亡。
77歳だった。
                                        
グレッチェンは2000万ドルで
秘密保持契約を締結。
FOX時代のことは今でも口外できない。
その他の関係者も、秘密を守り、口を固くしている。

FOXニュースはエイルズの在任中、
14年連続で視聴率1位

今でも1位である。

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アメリカのマスコミの背後を伝える、
興味あるドラマだった。

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