小説『これほど昏い場所に』  書籍関係

[書籍紹介]

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ディーン・クーンツが2017年から開始した新シリーズ
ジェーン・ホーク・シリーズの第1作。

先日紹介した「ライトニング」の作者ディーン・R・クーンツと同じ人。
Rはミドルネームのレイで、
一時期R付きとそうでないものとが混在したが、
最近では、ミドルネームのRを付けない表記で統一されつつある。
Rを削った理由は
「背表紙にR付きの名前を入れた際、おさまりが悪かったため」
なのだという。

ジェーン・ホークはFBI捜査官
海兵隊員の夫ニックと5歳の息子トラヴィスとともに、
幸せに暮らしていた。

しかし、4カ月前、ニックが
「ぼくは何かがおかしい。早く。
早くしなきゃ。早く死ななきゃならない」
という意味不明の遺書を残して、
ナイフで自らの首をかき切って突如自殺。
その直前まで自殺の兆候など全く見られなかったので、
その死に不審感を抱く。
国内で同様の、理由のわからない奇妙な自殺が
異常な率で増えている事実を突き止めたジェーンは、
FBIを休職して真相究明に乗り出す。

同じような経緯で自殺した人の事例を集め、
遺族に会って事情を聞いている際、
自殺者の未亡人が聞き込みの合間に自殺、
その後ジェーン自身も謎の男たちに追われる羽目になってしまう。

自宅を処分し、
息子のトラヴィスを
信用できる友人に預けて捜査を続けるジェーンは、
偽の身分証明書と使い、捨て携帯電話を駆使し、
顔認識システムで跡をたどられないように変装し、
パソコンは図書館のものを使うなど、
痕跡を辿られないように用心して進める。

やがて、ある研究所と会員制秘密クラブと
黒幕と科学者の存在が浮上し、
彼女の前に立ちはだかる強大な敵の正体が明らかになってきた・・・

こういう小説をジェットコースターにたとえられるが、
少しスピードが鈍るところがある。

自殺者の脳を解剖した人から、
脳が幾何学的な精巧にデザインされた器官に覆われており、
空気に触れて溶けたように消滅した、という証言など、
ちょっと怖気をふるわされる描写もある。

また、会員制秘密クラブにいる
若い美人の娼婦が
脳を改造された姿も恐ろしい。
そこのボディガードたちも、
潜入したジェーンを見ても認識しないように脳が改造されている。

ジェーンの後を追うFBI上司のネイサン・シルヴァーマンも、
何時の間にか脳が改造されている。
制御プログラムのナノパーツは体内に注入された後、
脳向性で毛細血管を通って脳組織に到達すると、
脳で組み立てられるのだという。
それが人格を制御し、
自殺するようにプログラムされた人は
謎の自殺を遂げる、
ということらしいが、
どうも説得力に欠ける。

捜査の間に知り合った人物の協力を得て、
科学者の邸宅に侵入して殺したところで、
突然、話が終わり、えっ、まだ続くのか、と思わせる。
続編は4作目まで刊行され、
7作目まで契約がされているという。

この一冊だけで文庫615ページ。
何だか、もういいかな、と思わせる。





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