小説『ライトニング』  書籍関係

[書籍紹介]

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作家ローラには、「守護天使」がいた。
幼い頃から、命の危機に陥るたびに、
稲妻の閃光(ライトニング)とともに
謎の男が救いに現れたのだ。

まず、1955年、ローラの出生の時
アル中の医者に取り上げられて、
身障者としての生涯をすごすはずのところを、
謎の男が医者を拘束したため、
まともな医者によって出産し、
母親はなくしたものの、
五体満足な姿で誕生することができた。

1963年、12歳の時、
南カリフォルニアで父親の営む雑貨屋に
暴漢が侵入し、
強姦の上殺されるところを、
やはり謎の男が現れて、賊を銃殺してくれた。

引き取られた孤児院
小児性愛者のえじきになるところを、
謎の男が現れて、異常者をこらしめてくれた。

そして、結婚して、
1988年、夫と息子と共に交通事故に遭うところを
謎の男が救ってくれた。

一体、謎の男「守護天使」とは何者なのか。
どうして、ローラの危機を察知して、
事前に回避するようにしてくれたのか。
また、男の後を追うように現れて、
ローラを付け狙う怪しい男たちは何者なのか。

こうした謎をはらんで、物語が進行するのだが、
面白い
ページをめくる手が止まらない。
ローラの周囲の人間が魅力的で、
物語を豊かに彩る。

作者はディーン・R・クーンツ
スティーヴン・キングと並び称されるほどの
「モダン・ホラーの旗手」だ。
その彼が最も多作でベストセラーを続発させていた頃の一つ。
1989年に刊行された文庫の新装版(2014年刊)だ。
1989年にクーンツは、
「戦慄のシャドウファイア」「ウィスパーズ」「邪教集団トワイライトの追撃」「ライトニング」「12月の扉」「夜の終りに」「雷鳴の館」「殺人プログラミング」
8作品も翻訳されている。
うち、何冊かは読んでいるのだが、内容は覚えていない。

で、守護天使の正体だが、
これは解説にも書かれているし、
なにしろ、最初の版では、
文庫の帯に↓のように書かれてネタばれしているので、

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書くが、
これは、タイムトラベルものなのだ。
つまり、私の好物。

では、謎の男は、いつの時代の、どこから来たのか?
それが次の興味。

その回答は本の後半3分の1ほどで明かされるのだが、
意表をつかれた。
その年号を見て、誤植ではないかと、目を疑ったほど。

この本を読む気の起こった人のために、
そのネタはばらさないでおくので、
ご自身で確かめて下さい。

本書では、タイムトラベルを巡る様々なルールがある。
過去は変えられないが、未来は変えられる。
タイムトラベルをした期間には、再び飛翔できない。
(これは、同じ時間帯で、
飛翔した自分自身と出会わないための自然の摂理)
そして、「運命は執拗に構想の復元をくわだてる」。

終わりの方の飛翔で、
謎の男(シュテファン・クリューゲル)は、
二人の歴史上の人物に接触する。
えっ、こんな人まで出て来るのか、との驚愕。
特に後で出て来る人物に信じさせるために、
ある書物を持っていくのだが、
その書物を巡る相手の反応が面白い。
そして、その人物のある質問に答えたことにより、
その後の世界構造にまで変化を来らせてしまう。

どんな変化か。
それは読んでのお楽しみ。

これぞエンタテインメントと拍手喝采すること請け合い。



読む気はないが、
その男が、いつの時代から、またどこから来たのか、
どうしても知りたい方のため、
↓にそれを記す。
本を読むつもりの人は読まないで下さい。

















「守護天使」は、どこから来た。

1944年のベルリンから

ナチは、天才科学者によって、
タイムマシンを発明。
しかし、このタイムマシンには制限があり、
過去には行けず、
未来にしか行けない

つまり、過去を変えることは出来ないという、
自然の摂理が働いているのだ。

で、ナチは、未来に研究者を送り込み、
未来のテクノロジーを取得することによって、
不利な戦況を逆転しようと目論む。
その未来の技術には、
既にアメリカで開発されていた原子爆弾の技術も含まれている。

「守護天使」(シュテファン・クリューゲル)も、
その未来に送られた研究員の一人。
アメリカのロサンゼルスに送られたクリューゲルは、
小説家の本のサイン会でローラに出会い、
恋をする。
その時のローラは、
出産の時の医師の失敗による身障者だった。
クリューゲルは、
その原因を探り、
ローラの出産の時に飛翔して、
アル中の医者を阻止したのだ。

他に、雑貨店で暴漢に襲われて父娘共に死んでしまうことを
新聞で察知したクリューゲルは、
その時に飛翔して、ローラを助ける。
孤児院でも、交通事故でも同じだ。

そして、研究所の爆破を失敗したクリューゲルは、
ヒトラーのところに現れ、
研究所に対する不信感を植えつける。
また、チャーチルのところに飛翔し、
ベルリンの研究所の爆撃を依頼する。
その時、証拠として持っていった本は、
彼の伝記。ノーベル賞受賞作だ。
去る前にクリューゲルがその本を置いていこうとすると、
チャーチルは「自分の本を盗作する誘惑に勝てそうもないから」
と持ち帰ってくれるように言う。
ただ、その時、その後の世界のことについて
クリューゲルに「それで、ソ連はどうなる」と尋ね、
「ソ連が大国になって、東西冷戦が起こる」と聞いた結果、
チャーチルは、ドイツを壊滅させた後、
そのまま連合軍を率いてモスクワまで進み、
ソ連を倒してしまう
(このことは、ロスに帰ったクリューゲルが、
東西冷戦のない世界の変貌を知って、
チャーチル、やったな、と驚く、
という形になっている)





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