映画『Fukushima 50』  映画関係

[映画紹介]

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Fukushima 50とは、
2011年3月11日の
東日本大震災の際に発生した津波によって
福島第一原子力発電所の原子炉の冷却機能が停止し、
懸命の復旧作業にもかかわらず、
水素爆発など度重なる事故が続き、
放射性物質が飛散した可能性の中、
約50人が現地にとどまり、
事故の被害を食い止めることに尽力した。
これを国外メディアが「Fukushima 50」の呼称で呼び始めたもの。
その後、新たに130人以上が加わり、
更に柏崎刈羽原子力発電所や送電線敷設要員も加わり、
総勢580人の体制になった。
また、東芝や日立の原発事故対応チームが加わったが、
人数は増えていったものの、
「Fukushima 50」の名前はそのままメディアで使われ、
彼らを総称する言葉となった。

この映画は、この時に福島第一原発事故に対処した
東京電力の技術者を中心に
放射線汚染のリスクを承知で現場にとどまった人々の
活躍を描いている。
彼らは、危険手当など一切の特別報酬なしに、
被曝の危険と隣り合わせに職務にあたった。
特に、格納容器内の圧力を外に逃がす操作(ベント)が重要で、
そのためには、汚染の可能性のある領域に入って、
手作業でレバーを動かさなければならず、
その「決死隊」を募ると、
沢山の技術者が手を上げた。
年齢、家庭の有無などで選抜された技術者の被爆の危険、
酸素ボンベの容量などから、
時間との闘いが描かれる。

東電本社とのやり取りに腐心する
吉田昌郎所長↓の姿も描かれる。

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現場主義を貫く吉田に対して、
東電本社はてこずり、
声を荒らげて命令する。
吉田は海水注入を待て、
と命令する東電本社に従ったふりをして
注入を実行する。
そして、総理(名前を出さずとも誰もが知っているあの方)が介入し、
現場に乗り込んで怒鳴り散らすなど、
足を引っ張る描写もある。

まあ、時の総理も初めてのことで動転していただろうが、
「現場のことは現場に任せる」という
大原則を守れなかった愚かさは、
やはり批判されるべきだろう。

事故の経過もていねいに描かれる。
地震による停電で外部電源を失ったが、
非常用ディーゼル発電機が起動。
しかし、地震の約50分後、
14mから15mの想定を越える津波が襲い、
地下に設置されていた発電機が海水に浸かって機能喪失。
さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど
多数の設備を損傷または流出で失ったため、
全電源喪失ステーション・ブラックアウト、略称:SBO)に陥り、
原子炉内部や核燃料プールへの注水が不可能となったことで、
核燃料の冷却ができなくなった。
核燃料は膨大な崩壊熱を発するため、
注水し続けなければ原子炉内が空焚きとなり、
核燃料が自らの熱で溶け出す。

実際、1 ・2 ・3 号機ともに、
炉心溶融(メルトダウン)が起き、
溶融燃料の一部が圧力容器の外側に漏れ出した(メルトスルー)。
1 、3 号機ともメルトダウンの影響で、
水素ガスが大量発生して爆発し、
原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破した。

しかし、奇跡的に原子炉そのものの爆発は起こらなかった。
もし原子炉が爆発していたら、
東日本は壊滅するところだった。
水蒸気がある場所で抜けたことから、
それ以上の爆発が防げたわけで、
まさに、奇跡が起こったとしか思えない。

しかし、その奇跡も、
現場の職員たちのすさまじい努力があったから
もたらされたものであることが、
この映画を見ると分かる。

吉田所長が、関連会社の人々に感謝の言葉を述べ、
退去をうながした時、
自衛隊がそれ拒み、
「我々の使命は国民の安全を守ることですから」
と留まった時、
意気に感じた吉田所長が「失礼しました」と
頭を下げるところは感動する。

事故が起こった時、
命を省みずに対応する技術者の姿は、
公を私より優先させる、
まさに「日本人だなあ」と思わざるを得ない。
その心意気に神様が奇跡を起こしたと思いたい。

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それにつけても、
非公開だった「吉田調書」
(吉田昌郎が政府事故調査・検証委員会の調べに答えた調書)
を秘かに入手して、
福島第一原子力発電所にいた所員の9割に当たる
約650人が吉田の待機命令に違反し、
撤退していたと報道した朝日新聞
その後、同じく調書を入手した他のメディアによって、
それが誤報だと暴かれて、謝罪した。
しかし、「所長命令に違反 原発撤退」の見出しで報じた記事は、
外国に拡散し、
たとえば、ニューヨーク・タイムズは
「パニックに陥った作業員が原発から逃走」
などと批判的な論調で一斉に報じた。

あとで、誤報であると謝ったとて、
一度拡散した記事は消せない。
「吉田調書」のどこをどう読んだら、
ああいう記事になるのか不思議だが、
日本を貶めようという、
誤った視点から読めば、
そう読めたということだろう。
つまり、朝日新聞の体質があの誤報を生んだと言えよう。

日本の危機に命懸けで対処しようとした、
原発の人々の努力を
一時的にせよ
海外メディアの嘲笑にさらした
朝日新聞は許せない。

門田隆将のノンフィクション
「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を映画化。

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ドラマシリーズ「沈まぬ太陽」の前川洋一が脚色、
映画版「沈まぬ太陽」の若松節朗がメガホンを取った。

あの原発事故の現場で何が起こっていたか、
を広く告げる、緊迫感あふれる作品。
現場のセットなど、
スタッフの努力がうかがえるリアルさ。

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今、この役を演じられるのは、
この人しかいない、と思われる、渡辺謙をはじめ、

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出演者の熱量は熱いが、
怒鳴り声のセリフが聞き取れない難がある。

なお、Fukushima 50のメンバーについては、
氏名や所属会社を含む一切の情報の開示が、
東京電力によって拒絶されている。
つまり、「名も無き英雄たち」の物語である。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/JO2U_5jRDEo

拡大公開中。


題材からして、賛否両論ある内容だが、
↓の山口浩駒澤大学教授の論文がよくまとまっている。

事実と表現、記録と記憶:『Fukushima 50』とそれへの批判について考える


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