映画『巡礼の約束』  映画関係

[映画紹介]

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珍しいチベット人監督による映画。

チベット山間部にある村で
夫ロルジェと、介護の必要な義父と暮らすウォマは、
病院からある診断を得て帰った日、
ラサまで巡礼に行きたいと申し出る。
しかも、五体投地で行きたいという。
最初は反対していたロルジェだが、
妻の決意の固さに最後には折れる。

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出発前に実家に戻ったウォマは、
祖父母と暮らす、死別した前夫との息子ノルウに会うが、
反抗期のノルウは心を閉ざして口をきこうとしない。

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長い時間をかけてラサに向かう妻を心配して、
老父を人に預けたロルジェは
妻に追いついて一緒に旅をする。
やがて、息子のノルウもやって来て、
わだかまりを抱えた親子3人の奇妙な旅が続く。

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ラサはチベットの首都で、
「神の地=聖なる地」を意味し、
チベットの人々が一生に一度は巡礼することを夢に見る聖地。
ポカラ宮という世界遺産の寺院があり、
チベット人の心のふるさとだ。

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五体投地とは、
両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る、
仏教で最も丁寧な礼拝の方法。
五体投地の巡礼は、
この方法で礼拝しながら、
3歩進んで、礼拝を繰り返す巡礼方法で、
1日5キロしか進めない。
映画の出発点の村からラサまでは2000キロほどあるから、
目的地に着くのは1年以上かかる。

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夜はテントを張って野宿し、煮炊きして食事をする。
荷物を持って従う付き添い人が付くが、
ウォマは、若い付き添いの娘に途中で逃げられてしまう。
そうすると、荷物を先に運んで、
戻って五体投地をしなければならず、
かかる時間は更に延長する。

やがて、妻が巡礼に出た理由が明らかになり、
この時期に巡礼をしたがった理由も判明する。
夫は妻の意思を継いで五体投地の巡礼を引き継ぐ。
そして、母ロバの死により
ひとりぼっちになった仔ロバが加わる・・・

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妻の思い、夫の思い、そして息子の思いが交錯し、
それがチベットの自然の中で展開する。
切ない
こんな夫婦のあり方、
こんな親子のあり方があるのか、と思いながら、
実は、世界のあらゆる場所である出来事だと思う。
そして、チベット仏教の奥深さ。
ロルジェは、僧にある儀式を依頼するが、
そこで分かる妻の亡き夫への思いに胸が震える。
そこでしたある行為が
息子の手で覆る事実が、
ラサの直前で判明する残酷さ。
時間が止まったようなチベットという風土の中で描かれる、
家族の、夫婦の、親子の物語。

ロルジェを演ずるのは、チベット人歌手のヨンジョンジャ
監督にこの企画を持ち込んだところ、
あなたが主演をしてくださいということで、
説得されて夫役を務めた。
妻ウォマ役は人気女優ニマソンソン

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息子役にスィチョクジャ

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監督は「草原の河」(2015)で注目されたソンタルジャ

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5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/S1tJuNydQzU

3月20日まで岩波ホールで上映中。

五体投地の映像は↓をクリック。

https://youtu.be/FEfbvSQd0JI

端から見れば、普通に歩いて行けばいいのに、
と思う不合理きわまりないものだが、
宗教とは、元々不合理なものだ。
ダン・ブラウンの小説「オリジン」で、
次のようなセリフを読んで衝撃を覚えた。

「われわれは自分たちを合理的で新しい人間だと思っていますが、
最も広く信じられている宗教は
荒唐無稽な話もたくさん認めています。
──不可解にも生き返る死者や、
処女が妊娠する奇跡や、
疫病や洪水で人々を罰する神や、
死後には雲ひとつない天国か
炎の燃えさかる地獄へ行くという約束などを」

巡礼というものは、現代的視点から見れば不合理そのもので、
四国遍路も、その一つといえよう。
チベットでは約束を口にしたら、
必ず守らなければならないという厳しい心構えがあるそうで、
巡礼も途中でやめたら、恥になるという。

もし、私が始めたとしても、
おそらく半日で断念するだろう。

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