エッセイ『テレビの国から』  書籍関係

[書籍紹介]

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偉大なシナリオ作家・倉本聰による
テレビドラマに対するエッセイ集。

「おとなのデジタルTVナビ」に連載したものを
大幅に加筆、再構成したもの。
「〜についてお話ししたいと思います」
などという記述があることから、
口述したものを筆記、
それから手を入れたと思われる。

目次は、次のとおり。

第一章 昭和から平成、令和をつなぐ物語
      「やすらぎの郷」「やすらぎの刻〜道」
第二章 戦後日本を総括する物語
      「北の国から」
第三章 東京を離れて見えた物語
      「6羽のかもめ」「前略おふくろ様」「りんりんと」
      「幻の町」「うちのホンカン」「浮浪雲」
第四章 富良野がつないだ物語
      「昨日、悲別で」「ライスカレー」「風のガーデン」
第五章 若き日の物語
      「文五捕物絵図」「わが青春のとき」
      「君は海を見たか」「玩具の神様」
第六章 これからの人に贈る物語

特に、自作に対する秘話が読ませる。

独特なドラマに対する見識があることから、
制作現場に介入、
その最たるものが
NHKの大河ドラマからの途中降板。
脚本家としては再起不能と思い詰め、
トラックの運転手で食べていくとまで決心、
教習所に申し込んだところ、
所在を探して訪ねて来たフシテレビによって、
脚本を依頼され、
偽名(渡哲也の奥さんの名前を借用)して書いた
「6羽のかもめ」(1974)がギャラクシー賞を受賞。
復活。
その直後に書いた「前略おふくろ様」(1975)で、
再評価が確定する。
そして、「北の国から」(1981)で巨匠の地位を確立する。

その過程をリアルタイムで見て来た者としては、
その裏話が聞けて、ありがたい。

そして、今、
「やすらぎの郷」(2017)を経ての「やすらぎの刻〜道」(2019)が放送。
これが倉本聰の「遺言」になるだろう。

根底には、
今のテレビ業界に向けた批判がある。
特に、「視聴率至上主義」「事なかれ主義」を俎上に挙げる。
それは、「モノ作り」とは対極にあるもので、
テレビドラマの基本が、
やはり日本人得意の「モノ作り」だったことが分かる。

倉本作品では、多くの名優が演じた。
笠智衆、大滝秀治、田中絹代、
渡哲也、大原麗子、地井武男、
緒形拳、萩原健一、田中邦衛、岩城滉一・・・

この人たちが、倉本作品に出る時、
他のドラマ作品にない光を放つのが不思議だ。

また、倉本の北海道への思い入れ、
中でも富良野の地での結びつきも興味深い。

この本での倉本さんの言葉。

「樹は根に拠って立つ されど根は人の目に触れず」

日本のテレビ局は儲かっているのに、
役者やシナリオライターを少しも育てていない。
テレビ以外のことに手を出したり、
不動産を買ったりしているのに、
人を育てることにはお金を使わない。
テレビ局というよりはテレビ界全体の問題だ。

役者も脚本家もそうですが、
われわれの仕事は「発信」することだと思われがちですが、
実際はそれは30%程度しかありません。
残りの70%は「受信」なんです。
普段の生活の中でいかに多くのことを受信できているか。
それがものすごく大事です。
乾いたタオルをいくら絞っても水が出ないのと同じで、
どれくらい自分が濡れてんるかが基本だと思います。

倉本聰、85歳
今も「遺言」は、テレビ朝日午後12時30分からの
「やすらぎの刻〜道」で発信している。

倉本聰の対話集「ドラマへの遺言」の紹介ブログは、↓をクリック。

「ドラマへの遺言」





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