映画『空の青さを知る人よ』  映画関係

[映画紹介]

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題名は、
「井の中の蛙大海を知らず」(いのなかのかわずたいかいをしらず)に続く、
「されど空の青さを知る」から取られている。
前半部分は、
「井戸の中にいる蛙は、
井戸の中の世界がすべてだと思っていて、
大きな海が存在していることを知らない」
ということを表し、
「自分が今見えている世界が全てだと思っていて、
他の視点や考え方があることを知らず、
見識が狭い」

という意味。
中国の「荘子」の「秋水篇」が由来で、
原文には、夏の虫や心がよこしまな人についての続きがある。

「されど空の青さを知る」という部分は
中国から伝わった後、日本で付け加えられたもので、
「狭い世界で生きているからこそ、
見えるものがある」
といった意味。
「空の深さを知る」、「天の高さを知る」、
「天の広さを知る」、「地の深さを知る」
というのもある。

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映画の舞台は、
東京に近い地方都市。
相生(あいおい)あかねとあおいの姉妹が主人公。
あかねは両親を亡くして妹のあおいを育てる決意をし、
ミュージシャンになるために上京する金室慎之介の誘いを断って
町にとどまり、地元の市役所に勤めた。

それから13年
妹のあおいは慎之介の影響でギターに励み、
就職も進学もせず、
東京に出て、「天下を取る」夢を抱いている。
ただ、恋人との上京を断念し
親代わりに自分を育ててきた
姉のあかねには負い目を感じていた。

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あかねは31歳、
あおいは18歳。
慎之介や姉たちの決断の年齢に至っていた。

そんな時、
町起こしの音楽祭で、
音信不通になっていた金室慎之介が町へ戻ってくる。
演歌歌手のバックバンドのギタリストとして。
夢を抱いて東京に出たが、
CDを1枚出しただけで、
あとは鳴かず飛ばずだったのだ。

一方、神社の集会所で練習していたあおいの前に、
慎之介(しんの)が現れる。
13年前の過去から時間を飛び越えて・・・

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田舎の高校生でミュージシャンを目指す青年が、
上京して夢破れて帰って来て、
昔の恋人に再会する、
とは随分ベタでありきたりな話だが、
ここに、13年前の人物がからんで来ることで、
一味違う話になった。
しかも、過去の慎之介は、神社のその場所の結界から
一歩も外に出られないのだ。

地方の高校という「井戸の中」にいた青年が、
東京という大海を目指して、飛び出し、
挫折して田舎に戻って来、
井戸の中にとどまった恋人に再会し、
更に13年前の自分自身とも対峙するという
ちょっとひねった作りが特徴。
しかも、なかなか成功している。
姉妹愛、自己犠牲、青年期の夢、厳しい現実、そして挫折・・・
それらを織りなして物語は進む。
慎之介とあかねの恋はどうなるか、
13年前の慎之介は何のために現れたのか。
慎之介とあかね、
しんのとあおいの奇妙な四角関係の行く末は・・

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アニメーション監督の長井龍雪、脚本家の岡田麿里
キャラクターデザイナーの田中将賀で結成されたアニメ制作チーム
「超平和バスターズ」による、
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」(2013)
「心が叫びたがってるんだ。」(2015)と共に、
三部作として位置付けられており、
前2作同様、埼玉県秩父市周辺を舞台に設定。

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「井戸の中」と「大海」、
大海に出た者ととどまった者、
大海に出たからこそ知り得たこと、
井戸にとどまったからこそ悟られたもの、
題名に含まれた命題が
ドラマの進行と共に見えて来る、
なかなかの趣向である。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/Px1htzPeYCc

拡大上映中。

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