小説『犯人に告ぐ』  書籍関係

[書籍紹介]

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「小説推理」に、2003年2月号から2004年2月号まで連載。
単行本、文庫版ともにベストセラーとなり、
横山秀夫、福井晴敏、伊坂幸太郎らにも絶賛された。

第7回(2005年)大藪春彦賞受賞
2004年度週刊文春ミステリーベストテン第1位
2004年度週刊現代最高に面白い本第1位

神奈川県警本部管理官の巻島史彦は、
幼児誘拐事件の指揮をとるが、
受け渡し現場で犯人を取り逃がし、
被害者の少年は殺害されてしまう。
曾根要介刑事部長ら上層部の指示により捜査会見を行うが、
捜査ミスを指摘する報道陣と対立し、
娘の出産の心労と重なったため、逆ギレし、
足柄署に左遷された。

6年後、「バッドマン」を名乗る犯人による
4件の連続幼児誘拐殺人事件が起こる。
捜査は難航し、警察は世間とマスコミから非難を受けていた。
その折、県警本部長に復帰した曾根によって、
巻島は足柄署から県警本部に呼び戻される。
曾根は、膠着常態の捜査を進展させるために、
ある方策を目論んでいた。
それは、「劇場型捜査」と言うべきもので、
ニュース番組に捜査責任者が出演し、
バッドマンに直接呼びかけ、その反応から
新たな捜査の手がかりを掴もうというものだった。

その大役を担わされた巻島は、
バッドマンから脅迫手紙を受けた
早津名奈がサブキャスターを務める
ミヤコテレビ「ニュースナイトアイズ」に出演し、
バッドマンに呼びかける。
その結果、
数百通もの自称「バッドマン」からの手紙が寄せられたが、
犯人しか知らない情報を記載したものは一つとしてなかった。
世論は犯人を英雄視するものとして批判、
特ダネから排除された他のマスコミもこれに同調、
巻島は、捜査本部においても孤立し、
試みは失敗に終わったかに思われた。

だが、ついに「バッドマン」本人からのものと思われる手紙が届き、
犯人しか知らない情報が記載されていたことから、
新たな展開を迎える。

これに、ライバル番組の「ニュースライブ」キャスター、
杉村未央子の大学時代の友人で、
未央子の歓心を買おうとして情報を流す
植草壮一郎県警刑事総務課長の動向がからむ。
未央子は、巻島の出演により
視聴率を伸ばす裏番組「ニュースナイトアイズ」に
食われた番組の劣勢を挽回するため、
植草の捜査情報のリークに頼る。

そして、県警内部での主導権争いや
捜査の展開が物語を引っ張る。
また、バッドマンからの手紙が
巻島の自作自演ではないかという疑惑も飛び出す。
リークした者をあぶり出すための方策も興味津々、
リーク者に対する報復もスリリングだ。

実に面白い
見えない敵と対峙する巻島の姿が凛々しく、
視聴率争いをするテレビ界の状況が生々しい。

バッドマンに最後通牒をたたきつける巻島の言葉、
「今夜は震えて眠れ」がカッコいい。

実は、この本、私は一度読んでいる。(9年ほど前)
ブログで映画化された作品と原作の比較などをしているから、
確実に読んでいる。

そのブログは、↓をクリック。

映画「犯人に告ぐ」

このたび、続編の「2」「3」を読む予定だったので、
おさらいのつもりで読み始めた。

ところが、記憶にない
読んでいて、あ、ここ読んだことがある、
という場面がわずか2箇所しかなかった。
以前にも、前に読んだ小説を
知らずに二度読みした経験はあるが、
こんな面白い小説を読んで覚えていないとは、
どうしたことだろうか。
乱読が過ぎるのか。

で、二度目にもかかわらず、
面白くて、
ページをめくる手が止まらない。
次々と先の読めない展開が続き、
緊迫感が継続し、
読者を惹きつけてやまない。

前の少年誘拐事件が
巻島のトラウマになって蘇ったり、
また、ところどころ登場する、ポンコツ刑事の話、
被害者の着ていた服の色、ベージュの謎など、
うまい具合に後で効果を表す。
警察小説としてだけでなく、
マスコミのあり方まで世界を広げている。

巻島のよき理解者、津田のセリフ。

「人を叩き過ぎちゃあ、いかんのです・・・」
「叩けば誰でも痛いんですよ・・・」
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ・・・
それは単にその人が我慢してるだけですからな」

小説を読む楽しさを改めて認識してくれる本だった。

このあと読む「2」「3」が愉しみ。





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