小説『キンモクセイ』  書籍関係

[書籍紹介]

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法務省の官僚が殺害された。
しかも、至近距離から眉間を撃ち抜くプロの手口で。
防犯カメラの映像解析から、犯人は白人の外国人だと分かる。
しかし、、出入国記録がない。
だとすると、米軍基地から入って来た米軍関係者だ。

この事件に、警察庁警備局警備企画課課長補佐の
隼瀬順平(はやせ・じゅんぺい)が関心を抱く。
専任チームが作られ、隼瀬もメンバーになるが、
わずか一日でチームは解散、
公安の外事一課、外事三課も手を引き、
警視庁の捜査本部も縮小したという。
何か大きな背後の動きがあるようだ。

隼瀬には、親しい友がいる。
国家公務員T種試験の同期生の集まり「土曜会」
外務省、厚生労働省、防衛省、経済産業省の4人の仲間たちだ。
隼瀬は、彼らの知恵と情報を得ながら、真相究明に立ち向かう。

やがて、殺された官僚が日米合同委員会に関わっており、
「キンモクセイ」という謎の言葉を残していた事が分かる。
その話をした刑事局の岸本が謎の首吊り自殺を遂げる。
前夜隼瀬と飲んだ時、そんな様子はなかった。
もしかして口を封じられたのか。
謎は深まる。

「キンモクセイ」という言葉は、
以前使われていたコードネームで、
幻の監視システムだったことが分かる。
こうして、アメリカのCIAまで関わった国際的な陰謀の気配がしてくる。
また、在日米軍の根拠として、国連憲章まで登場する。

そのうち、隼瀬に逮捕状が出される。
岸本殺害の容疑者として。
ここから、指名手配された隼瀬の逃亡劇となり・・・

これに隼瀬の同僚の水木や新聞記者の武藤らの動きが関わる。
東という野党の国会議員も登場する。

なかなかの題材で、日本の中の米軍の存在の意味を問うたり、
さすが「週刊朝日」に連載されただけのことはある。

ただ、真相が明らかになってみると、
肩すかしの感はぬぐえない。
これくらいの情報を知っただけで、
アメリカが殺し屋を派遣したりするだろうか。
情報を知った官僚を自殺に見せかけて殺したりするだろうか。

となると、話の根幹を揺るがすことになる。

ただ、官僚が主人公ということで、
事件に関わる官僚と言われる人々の対応が興味深い。
隼瀬の逃亡術・潜伏術もなかなかいい。
面白い見解も散見される。

日本人をとことん骨抜きにするために、
テレビでは徹底的に低俗な話題を取り上げる。
どこかでそういう操作がされているのではていだろうか。

「だめな官僚は保身を考える。
ましな官僚は国のことを考える。
ごく稀ないい官僚は国民のことを考える」
「その稀ないい官僚は、
出世ができず、
多くは省庁を去ることになります」
「その中で生き残るやつが、
超一流なんだよ」

「俺たちに勝利なんてない。
ただ毎日、戦い続けるだけなんだ。
それが官僚というものだ」

なお、校正もれを発見。
312ページ7行目、
「岸本」とするところを「岩本」となっていた。






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