映画『バハールの涙』  映画関係

[映画紹介]

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IS(イスラミックステート)と戦うために立ち上がった
女性兵士たちの姿を描く。

取材のために行動を共にする
女性記者マチルドの視点を通じて、
女性兵士たちに肉薄する。
マチルドも爆弾の破片を受けて片目に眼帯をしており、
やはり記者である夫を戦闘の中で失っていた。

女性兵士たちのリーダーはバハールという女性だ。
マチルドの取材によって、
バハールの過酷な過去が次第に明らかになってくる。
弁護士をしていた彼女は、
クルド人自治区の町で夫と息子と3人で平穏に暮らしていた。
ある日突然、過激派組織ISが襲い、
男性は皆殺しにされ、女性らは性的奴隷として売られ、
少年たちは無理やりISの戦闘員養成校に入れられる。

救助組織と連絡を取ったバハールは、
国境を越え、
数か月後、「被害者でいるより戦いたい」という
仲間の言葉に動かされ、
また、人質にとられた息子を取り戻すため、
女性武装部隊「太陽の女たち」(原題)を結成、
銃を手に取り、最前線でISと戦う日々を送る。
そして、同じく小さな娘と離れ、
戦地で取材を続けるマチルドとの間で共感が生まれる。

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クルド人自治区へのISの襲撃は、実話に基づいている。
2014年8月3日の夜、ISがイラク北西部の
シンジャル山岳地帯の村々に侵攻。
ヤズディ教という独自の宗教への信仰を守り続ける人々が暮らす地域で、
彼らの大量虐殺が奇襲攻撃の目的だった。
50万人の市民が脱出。
逃げ遅れた人々は殺害されるか、拉致され、性奴隷にされた。
やがて、ヤズディ教徒、クルド人武装勢力、クルド自治区政府軍は
抵抗部隊を組織し、
女性の戦闘員だけで構成された武装部隊も前線に立つ。
ISのメンバーは彼女たちを恐れる。
それは、女性に殺されたら天国へ行けない、と信じているからだ。
(なんという女性蔑視!)

バハールの人物像はエヴァ・ウッソン監督
イラクのクルド人自治区に行って、
前線と難民キャンプで取材し、
実際にそこで出会った女性たちの証言から
構築されたものだという。
女性ジャーナリストのマチルドは、
片眼を失明しPTSDを患いながらも
世界各地の紛争を報道し続けたメリー・コルヴィンと、
ヘミングウェイの3番目の妻で従軍記者として活動した
マーサ・ゲルホーンがモデルになっているという。

そのバハールの姿は、
凛々しく、男らしい。
その女性をゴルシフテ・ファラハニが悲しみの眼差しで演ずる。

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マチルドを感ずるのは、エマニュエル・ベルコ

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この二人の存在感が映画を支えると共に、
緊迫感あふれる戦闘シーンが、観客の目を釘付けにする。
特に、救出者のテレビメッセージに応じて、
電話番号を記憶し、
IS戦闘員からスマホを盗み、
LINEで連絡を取り合って、
ニカーブに身を包んで、
妊婦と共に
国境を越える脱出劇は息が止まるほどだ。

それにしても、テレビ画面を通じ、
顔をさらし、電話番号も公開して
救出の呼びかけをする、えらい人がいるなあ。
北朝鮮の拉致被害者も、
こういう方法で連絡が取れないものか。

わずか4年前
地球の一部地域で起こっている悲劇を
真っ正面からとらえて、
世界に対するメッセージにした
「バハールの涙」は、
貴重な記録である。

辛そうな映画だったので敬遠していたが、
評判がいいので観た。
観てよかった。

5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/T85zU6Qnmpo

シネスイッチ銀座他で上映中。

タグ: 映画




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