映画『メリー・ポピンズ リターンズ』  映画関係

[映画紹介]

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リメイクというのは難しいもので、
時代の進化に合わせて成功する場合もあるが、
大体は失敗する。
中でも、その作品が名作の誉れ高く、
既に古典となっているものであれば、
リメイクの意図そのものが不遜と思われかねない。
あのような完成品をなぜ作り直す必要があるのか、と。
「ベン・ハー」も「ローマの休日」も、
予想通り無残な結果となった。
私はそれを「天をも恐れぬ企み」と呼んだ。
さすがに「風と共に去りぬ」をリメイクしようとする人と現れない。

さて、ディズニーがアニメの財産を
続々と実写化している。
CG技術の向上によって、
実写での表現が可能となったためで、
「シンデレラ」「美女と野獣」「ジャングル・ブック」
など概ね成功しており、
今後、「ダンボ」「アラジン」「ライオンキング」などが続き、
更には「ピーターパン」「ピノキオ」までもが
実写化リメイクの予定であるという。

さて、「メリー・ポピンズ」は、
1964年に公開され、
ディズニー初の作品賞候補をはじめとして、
アカデミー賞13部門ノミネート、
うち5部門を受賞した、名作中の名作、古典中の古典。
その54年ぶりのリメイク、と思ったら、
前作から25年後を描く、「正統な続編」だという。
たしかに原作もメリー・ポピンズは繰り返しバンクス家を訪れており、
そういう意味でリメイクではなく、続編と呼ぶのが正しい。

ただ、名作だけに、
ファンは既に前作のイメージに捕らわれている。
そこが続編の難しいところだといえよう。

こういう私も「メリー・ポピンズ」は、
最も愛する映画の一つ。
公開されたのは、1965年12月で、
大学受験勉強真っ盛りの時。
すでにこのブログでも3回ほど書いたが、
大晦日の最終回の「メリー・ポピンズ」に有楽座に出掛け、
「メリー・ポピンズ、
明日から僕は本格的な受験体制に入る。
しばらく君に会えないから、
最後に会いに来た」
とお別れを告げた。

ビデオのない時代だから、
アメリカに行った時には、
新聞の映画欄を探して遠くの映画館に観に出かけ、
ロンドンではセントポール寺院の
鳩の餌売りの老女の坐っていた階段にたたずんで涙し、
娘が物心付くようになった時のリバイバルでは、
当然、観せた。
その後、DVDも所有、
繰り返し観ている愛着のある作品。
「プーと大人になった僕」の無残な失敗を観ているだけに、
名作に対抗するあまり、
妙なことをしていないか、
前作のイメージをぶち壊してはいないか、
という心配が満々で観に行った次第。

結果は、杞憂に終わり、
前作の雰囲気を損なわず、
オリジナルに対するリスペクトを忘れず、
かつ新しい技術も導入した
「立派な続編」になっていた。
さすが「シカゴ」のロブ・マーシャル

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前作から25年後の大恐慌時代のロンドン。
バンクス夫妻は既に亡くなり、
ジェーンとマイケルは大人になり、
マイケルは3人の子供の父親となっていた。
しかし、マイケルには心配事があり、
妻の病気の治療費がかさみ、
家を抵当に借りた借金が返せず、
近々、家は銀行の手に渡ることになっていた。
そんな危機にあったバンクス家を救うために、
再びメリー・ポピンズがやって来た・・・

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前作に対するリスペクトは半端ではなく、
装置、衣裳、音楽も前作を彷彿とさせる。
そして、前作を生かしつつ、新たな改変も。
たとえば、傘を掴んでやってきたメリー・ポピンズは、
今度は別をものを掴んでやって来る。
バートの描く路上の絵の中に入っての冒険は、
あるものの中で展開する。
煙突掃除たちの踊りは、
今度はある人々の群舞に置き換えられ、
最期の凧のくだりは、別のものに変わっている。
それらが無理なく前作の踏襲となり、オマージュとなっている。
2ペンスの話も片足の男の話も上手に取り入れられている。
また、前作の音楽のメロディーが随所に出て来るのも、
オリジナルファンには嬉しい配慮だ。

このように、前作に対する尊敬の念があふれる作品なので、
前作を知らない人には
古めかしく感じられるかもしれない。

ただ、「リターンズ」と題名にあるように、
前作なしに今作はないのだから、
いたしかたないと言えよう。

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二代目メリー・ポピンズのエミリー・ブラントは悪くはないが、
初代ジュリー・アンドリュースの愛らしさにはかなわない。
しかし、誰もが尻込みするだろうオファーを
敢然として受けた勇気は讃えたい。

バートに代わり、弟分のジャックを演ずるのは、
ブロードウェイの「イン・ザ・ハイツ」「ハミルトン」を
大ヒットさせたリン=マニュエル・ミランダ
メリル・ストリープアンジェラ・ランズベリーがゲスト的な登場。
カメオ出演を要請されたジュリー・アンドリュースは、
「エミリーの映画にしたいから」
と断ったという。
賢い。
その代わり、前作に出たある人物が思いがけないところで登場し、
エンドクレジットでも、
前作と同じ遊びをしてくれている。

音楽も前作のイメージを損ねず、
楽しい曲ではあるが、
前作のあふれるほど芳醇なメロディーには及ばない。
その意味で、
作詞作曲のシャーマン兄弟による歌曲は、
まさに奇跡の産物だったと言えよう。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/OSDTIQ1V-NE

なお、前作の映画化に際しての
原作者パメラ・L・トラバースとの確執を描く
「ウォルト・ディズニーの約束」
紹介ブログは、↓をクリック。

映画「ウォルト・ディズニーの約束」

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