映画『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』  映画関係

[映画紹介]

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メキシコ国境地帯での
麻薬戦争を描いた「ボーダーライン」(2015)の続編。
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴから
ステファノ・ソッリマに交代したものの、
作品の雰囲気と世界観に変化のないのは、
前作のベニチオ・デル・トロ
ジョシュ・ブローリンが継続して出演していることと、
脚本のテイラー・シェリダンが同じだからだ。
ティラー・シェリダンは「ボーダーライン」、
「最後の追跡(2016)、初監督の「ウィンド・リバー」を経て、
アメリカ映画を代表するクリエイターだといえよう。

冒頭、
メキシコから夜中に国境を越える密入国者の摘発が描かれる。
前方監視型赤外線感熱カメラによって表現される
荒野を走る密入国者を捕らえる映像が前作を引き継ぐ。
密入国者の一人が自ら持つ爆弾で自爆を遂げる。
続いて、大型スーパーに侵入した密入国者が自爆テロを起こし、
15人の市民の命が奪われる。
転じてソマリア。
テロリストをアメリカに送り込む組織に対する
過酷な拷問が行われる。

ここから本題。
自爆テロの犯人たちは、
メキシコ経由でアメリカに入国したことが突き止められ、
国境地帯で麻薬を扱うカルテルが
新たな財源として、密入国ビジネスに手を染めていることが分かる。
アメリカ政府は、新たな犯行を防ぐために、
国境地帯の麻薬カルテル同士の抗争を起こそうとする。
まず、カルテルの顧問税理士を銃殺し、
麻薬王のボスの娘を通学途中で拉致する。
そして、アメリカ内で娘を発見したと装って、
娘をメキシコに届ける作戦が開始されるが・・・

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その娘搬送を担当したのが、
家族を殺したカルテルに恨みを抱く暗殺者のアレハンドロ。
脇で監視し、支援するのが、
CIAの特別捜査官のグレイヴァー。
しかし、娘の搬送を阻む様々な事態が起こり・・・

と、密入国者の話はどこかに飛んでしまって、
ひたすら娘とアレハンドロのバディ・ムービーと化するのが、
意図したことか、そうでなかったのか。

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ただ、この道中に起こる様々な事態が
すさまじい臨場感で描かれる。
まるで目の前で起こっているような緊迫感
激しい銃撃戦、追走するヘリコプター、
軍用車、マシンガン、防弾チョッキ、監視カメラ、迷彩服など、
実際の軍の装備を使っての大々的なアクションシーンが続く。
さぞ大変な撮影だっただろう。

しかし、アクションだけでなく、
今度は人間的要素が多く投入されている。
それがアレハンドルと麻薬王の娘の関係。
娘を守る使命のアレハンドルが辿った運命は・・・

これに犯罪組織への入門をしようとする
暗殺者の卵のメキシコ人青年ミゲルの話がからみ、
一本の糸に撚り合わされる。
原題の「Sicario 」(スペイン語で暗殺者、殺し屋の意)
のとおりだ。
「ボーダーライン」は、日本で付けた邦題。

前作で登場したFBI捜査官のエミリー・ブラントは登場せず、
ベニチオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンの
二人の男臭い俳優による男の映画になっている。

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二人はこの世界観の住人で、
見えない絆で結ばれており、
トロを襲ったある事態に
ブローリンが放心状態になる描写など、
乾いていながら胸を打つ。

エンドクレジットで前作の音楽を担当した
ヨハン・ヨハンソンに対する追悼が示される。

移民問題を抱えるアメリカが
密入国者を装ったテロリストの侵入を防衛するための戦い。
トランプが国境に壁を建設しようとするのもいたしかたないかと思うほど
国境の問題は苛烈だ。
今、ホンジュラスからの集団移民が問題になっているが、
国を捨てて来る人々の問題は、
本国ホンジュラスを建て直すのが本質的課題だと言えよう。
シリア難民も同じ。
やがて海で囲まれた我が国に
北朝鮮からの難民が海を越えてやって来るのも想定せざるをえない。
その中にテロリストが混じっていたら、と思うと、
本作で描かれた世界が他人事とは思えない

それにしても、麻薬の密輸が頭打ちになったら、
今度は人間の密輸に走るとは。
悪事の種はいくらでも存在するものだ。
そして、アメリカ政府が「毒をもって毒を制す」作戦に出るとは。
世界の争いは過酷だ。

5段階評価の「4」。                  

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/z03Aj6CyzUA

角川シネマ有楽町他の上映中。

前作のこのブログでの紹介は、↓をクリック。

映画「ボーダーライン」

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