映画『鈴木家の嘘』  映画関係

[映画紹介]

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冒頭、鈴木家の長男で引きこもりの浩一が
首吊り自殺する衝撃的シーンから始まる。
第一発見者である母の悠子はショックで倒れ、昏睡状態に。
1カ月半後に意識を取り戻した悠子は、
浩一の自殺前後の記憶が抜け落ちており、
「浩一は?」との問いに、とっさに妹の富美(ふみ)は、
「今、アルゼンチンにいる」と嘘をついてしまう。
叔父(悠子の弟)が海産物の輸入事業をしており、
悠子が眠っている間に、
兄は引きこもりをやめ、働いているというのだ。

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そこから、嘘がばれないための様々な工作が始まる。
アルゼンチン在勤の社員に、浩一の偽手紙文をメールして、
絵はがきに手書きで書いて送ってもらう。
在日アルゼンチン人に頼んで、
ニセのビデオレターを作成する。
時々はアルゼンチンで買ったものを送り届ける。

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しかし、嘘がばれるのは時間の問題だった。
それとも悠子の記憶の戻るのが先か・・・

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予告編を観て、コメディかと思ったら、
真反対のシンコク劇だった。
アメリカ映画なら喜劇にするだろうが、
律儀で生真面目な日本人は、
そうはいかなかったらしい。

肉親の死というのは、
それだけでショックなのだが、
加えて自殺されたら、
残された家族の苦悩は深いものがある。
この映画は残された父、母、妹の苦しむ姿を
じっくりと見せる。
それぞれ、「自殺したのは自分のせいではないか」
と責める気持ちがあり、
その堂々巡りは、出口のない迷路になってしまう。

だからこそ、母親は記憶の封印、
という形で逃れたのだろうし、
妹の富美も、
怒りに任せて兄に決定的なことを言ってしまった記憶に
責め苛まれる。

富美は、肉親に自殺された人たちの
カウンセリングのグループに参加して、
悩みを告白する。
それがいつの間にか魂の叫びになり、
「お兄ちゃんを絶対許さない!」という絶叫が痛切だ。

グループには、夫を亡くした人、娘を亡くした人などがいるが、
中で一人、空気を読まないというか、
あえて読まない女性がおり、
その人物に対する誤解が解明
(タクシーで来るのは、
 夫が自殺した電車に乗れないため。
 決して裕福だからではなく、
 賠償金の支払いで窮している)
される場面など、
人の内面は、
脇にいる人間には決して分からないのだと感じさせる。

富美のサークルの先輩が
引きこもりの対処方法を多弁に語る中、
富美が「人は、救えませんよ」
とひと言いうのも、
実際に味わった人にしか口に出来ない言葉だ。

父の行動、母の行動、妹の行動の不審な点の理由が
話が展開するにつれて明かされる構成も巧み。

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父に岸部一徳、母に原日出子、妹に木竜麻生の布陣だが、
みな、しっかりとした演技をしていた。

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中でも木竜麻生は、「菊とギロチンと」にも出ていたが、
なかなかの造形で、期待株だ。
監督は助監督からの監督デビュー作の野尻克己。(脚本も)

現代的な問題を真正面から切り取り、
がっぷり四つに取り組んだのは好感が持て、
映画としても収穫だと思うが、
映画を観てまで辛い思いを味わいたくない方には
薦められない。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/AidG52Tt22k

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