連作短編集『火のないところに煙は』  書籍関係

[書籍紹介]

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芦沢央による、現代怪異集。

「染み」

広告代理店に勤める角田尚子は、
「神楽坂の母」と呼ばれる占い師に
恋人と一緒に行って、相性を見てもらったところ、
「不幸になるから、結婚なんてしない方がいい」
と言われる。
恋人は怒り、金も支払わずに出て来てしまう。
以来、恋人との関係がぎくしゃくし、別れ話を口にする。
すると、別れるなら、死ぬと恋人は言い出し、
無視すると、本当に交通事故で死んでしまう。
しばらくすると、
尚子の担当する交通広告のポスターに異変が起こる。
ポスターに赤黒い染みが生ずるようになったのだ。
ルーペで覗くと、そこには、
「あやまれ。あやまれ。あやまれ。・・・・・・」
と無数の書き文字が書かれていた。

本書の裏表紙。↓

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赤い染みが「あやまれ、あやまれ・・・」となっている。

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装丁のお遊び。

「お祓いを頼む女」

前記「染み」を小説新潮に掲載した後の反響の一つ。
知らない中年女性から著者に電話がかかってきて、
家族に祟りが襲ってきたので、お祓いをお願いしたい、という。
しつこく電話してきて、ついには自宅に訪ねて来る。
自分が金縛りにあい、夫は交通事故、息子の体にも異変が・・・

「妄言」 

塩谷は埼玉県の郊外に家を買った。
親切な隣人がいたが、
そのおばさんにより、
夫の浮気現場を目撃した、と妻に吹き込まれる。
一度ならず、二度までも。
あげくの果てに、女性を突き飛ばして死なせたとまで言われる。
激昂した塩谷は、その女性を突き飛ばし・・・

「助けてって言ったのに」

智世は結婚して、
夫の実家で義母と一緒に住み始める。
すると、智世は悪夢に悩まされるようになる。
火事になって焼き殺される夢だ。
その夢の話をすると、夫の顔色が変わる。
というのは、義母も全く同じ悪夢に悩まされていたからだ。
やがて夢の中で人影が見えるようになる、
と義母は予言するが・・・

「誰かの怪異」

岩永は大学の近くで独り暮らしを始めた。
しかし、そのアパートで怪異が起こる。
浴室の排水口から大量の髪が発見されたり、
テレビのリモコンに触れていないのに勝手に切り替わったり、
鏡の中に女の子の姿が見えたり。
事故物件ではないかと不動産屋に訊くと、
その部屋ではなく、隣室で子供が死んだという。
友人が霊感のある男を紹介して、
部屋を見てもらうと・・・

以上が小説新潮に不定期に連載した怪異談。
著者が「染み」を掲載して以来、
舞い込んで来た話だが、
その中で榊というライターの解釈が面白い。

最後の「禁忌」は、
上記短編を一冊の本としてまとめるに際しての書き下ろし。
ここで、それまでの5つの話が一本に繋がることになる。
第1話を読んだ時に感じた疑問も解かれる。

ちょっと面白い、ちょっとこわい、
現代風な怪談短編集。





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