小説『荒神(こうじん)』  書籍関係

[書籍紹介]

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時は元禄、将軍綱吉の時代。
陸奥の南端の山間にある永津野藩と香山藩は、
関ケ原の戦いの因縁以来、長い間反目が続いていた。

ある日、香山藩の開拓村が、
一夜にして壊滅。
様子を見に行った藩士たちも、帰らず、
藩主の小姓の小日向直弥は、
開拓村を目指す。

一方、永津野藩主の側近を務める
曽谷弾正の妹・朱音(あかね)は、
開拓村から生き延びた少年・蓑吉を助けるが、
蓑吉は記憶を閉ざし、その夜のことを覚えていない。
しかし、ようやく記憶が蘇って語ると、
正体不明の怪獣が村を襲い、
村人はことごとくその怪獣に食われてしまったというのだった。

朱音の住む村には永津野藩の砦があり、
朱音は、居候の用心棒・榊田宗栄や
絵師の菊地圓秀たちと共に、
砦を訪ねるが、
その時、怪獣が襲って来て、
砦は崩壊するのだった。・・・

というわけで、
宮部みゆき描くところの怪獣もの。
しかも、江戸時代の東北の藩が舞台、
というところがユニークだ。

怪獣は身体は蝦蟇(がま)、脚は蜥蜴(とかげ)、尻尾はで、
皮膚はだんだら模様、
周囲に溶け込むように、その色を変える。
強靱で柔らかで硬く、
どっしりと重く、
ぬるりと速い。
刀や銃弾を受け付けず、とにかく凶暴で、
人々を丸飲みし、
喉から液体を吐き、浴びた人々は苦悶し、
しかも燃える。

何だか想像もつかないが、
宮部流ゴジラだという気がしてくる。

で、その原因だが、
江戸時代のことだから、
原爆や放射能でそうなった、
というわけにはいかないから、
古くからの呪詛が蓄積して、
山がその生き物を生み出した、
ということになり、
その解決方法は・・・

と物語が展開する。
ここでもストーリーテラーの宮部みゆきらしく、
両藩の確執と様々な事情と
それに翻弄される人々が登場する。

永津野藩と香山藩はもとをたどれば一つの国で、
関が原の戦いの結果で二つに別れたとか、
永津野藩が「人狩り」と称して、香山藩の農民を拉致し、
香山藩は返還交渉で法外な罰金を要求されている、
という設定を見ると、
何? これは南北朝鮮のことで、永津野藩とは北朝鮮か、
と思えたりもする。
永津野藩の重臣・曾谷弾正が
怪獣を香山藩攻撃の道具に使おう、
などと考えるあたりでは、
怪獣はミサイルか、
などと勘繰ったりもするが、
宮部みゆきがそんな寓話を書くはずがないか、
とも思える。

まあ、怪獣が出現するに至る真相の中で、
様々な人間の業があらわになるわけだが、
そのあたりは、宮部みゆきは周到に準備する。

「ゴジラ」を宮部みゆきが作ったら、
こういう話になる、
という点で面白い。

ところで、
この小説はテレビドラマ化され、
2月17日にNHK/BSで放送された。

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配役は朱音に内田有紀、
曽谷弾正に平岳大、
他に平岡祐太、柳沢慎吾、加藤雅也、柴俊夫、大地康雄ら。

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楽しみに観たが、つまらなかった
そもそも、冒頭ダイジェストで
怪獣の姿を視聴者に見せてしまうなど、
センスの悪いことこの上ない。
小説の半分部分をばっさり切った脚本も平凡。
その上、演出も平凡。
凡人が集まって作った作品

注目の怪獣の造形↓。

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横から見たところ。

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吠えると、こうなる。

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ただ、朱音を演ずるな内田有紀は、きれいで、
この役に合っていた。

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ラストで、絵師の圓秀が襖に描く怪獣図

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これはなかなかよかった。






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