映画『羊の木』  映画関係

[映画紹介]

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昔は栄えたが、今はさびれている港町・魚深市
市の職員の月末一(つきすえはじめ)は、
上司から、市に移住してくる人たちの出迎えを命じられる。
駅や空港で引き継いだ男女は
何か事情がある匂いをぷんぷん漂わせていた。
そのうちの一人の出迎え先は刑務所。
さすがに月末は上司を詰問し、
魚深市に委託された「国家プロジェクト」の内容を知る。

移住してきた6人(原作では11人)は
いずれも殺人で刑に服していた人たちだった。
町が身元引受人になり、
住居と職場を準備する代わりに、
魚深市には10年間在住する、という約束で迎え入れたのだ。
刑期の短縮で国家財政の削減を狙い、
同時に過疎対策にもなるという、
その秘密更生実験プロジェクト
国家の将来がかかっているという。
しかも、その計画は市長と上司と月末の3人しか知らない
つまり、市民には殺人犯であったことを知らされていないのだ。

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こうして、6名は、
ある者は理髪店で、
ある者はクリーニング店で、
ある者は釣り船業者になり、
ある者は宅配業者に、
ある者は介護施設で働き、
ある者は清掃員として、
市民の生活の中に入り込んでいくのだが・・・

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冒頭の月末が次々とわけありの人間を受け入れ、
その奇妙な態度を不審に思うところから、
上司や同僚によって、
次第に一人一人の背景が明らかになって来るあたり、
着想の見事さに瞠目した。
市民の中に放り込まれた元受刑者、
しかも市民は誰一人知らない。
いつそれが発覚するのか、
一体何が起こるのか、
次の展開に目が離せない、
まさに設定は素晴らしいのひと言。

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しかし、肝心の後半から終幕までは、
せっかくのシチュエーションがうまく機能せず、
一人一人の人生が重なり合い、
よじりあって物語を展開するわけでもなく、
平凡な終わり方をしてしまった。

唯一、6人の軌跡が交差する場面の「のろろ祭り」の部分も、
結局酒乱騒ぎで終ってしまうだけで残念。
他には釣り船業者と宅配便業者のわずかな接触だけ。
やはり、元受刑者同士が
知る知らないにかかわらず、
次第に接触し、連帯していくという中で生み出す
不気味さが必要だろう。

異形の巨大像・ののろ様が町を見下ろす、
という、せっかくの設定なのだから、
のろろ様に罪と贖罪の意味をもたせて、
そのまつりの中で物語が昇華するようにすればいいのに、
残念ながら知恵が足りなかったようだ。

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終ってみれば、国家プロジェクトの行方も判然とせず、
移住者の6人に北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平という
芸達者な顔触れを配し
「何が起こるんだろう」と緊迫感を漂わせたのに、
それが生かされていない。
期待させたわりには、平凡な描き方だ。
おさななじみで出戻りの木村文乃も、
話の大筋にはからまず、
せっかくの配役が生かせない。

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日本俳優界の曲者役者の無駄使い。
お人良しな市役所職員月末を錦戸亮が演じ、サマになっている。

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題名の「羊の木」は、
移住者の一人がゴミの中から拾った缶に描かれたもので、
木の上に実のように羊がなっている。

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西洋に伝わる伝説の木で、
「タタール旅行記」に書かれているという。
原作によると、コロンブスの時代、
ヨーロッパの人々は、
綿は羊のなる木からとれると思っていたそうだ。

原作は山上たつひこいがらしみきおによるコミック。

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監督は「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八

せっかくのアイデアを生かせず、
平凡な出来にしてしまった脚色者と監督の責任は重い。

5段階評価の「3.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/NBcBtl6rLmo

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