映画『ねぼけ』  映画関係

[映画紹介]

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仙栄亭三語郎は、噺家のはしくれだが、
酒に溺れ、稽古もおろそかにし、
高座でもセリフを忘れてしまい、
その上、寄席の出番をさぼるなど、
どうしようもないダメ落語家だ。
恋人の真海と同棲中で、
真海がけなげに生活を支える。
その三語郎が「替り目」を演じたがっていることを知った
師匠の仙栄亭点雲は、寄席に三語郎を呼び、
自分の高座を見せて学ばせようとするが・・・

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落語家に限らず、
俳優、音楽家、歌手、小説家、スポーツ選手など、
志を立てながら、邁進することが出来ず、
売れず、遠回りをし、怠惰になり、最後はあきらめる、
というお定まりの道を行く人は多いが、
その日常を描くこの作品は、
そういう人々への癒しとなるかどうか。
というか、それらの人々の中で
脚光を浴びるのは、ほんの一握りで、
ほとんどの人が敗北していく。
それらの人々への応援歌と言えば聞こえはいいが、
鎮魂歌くらいにはなるだろう。

映像ディレクターでカメラマンの壱岐紀仁が監督し、
今流行りのクラウド・ファウンドによって製作した作品。
モントリオール映画祭に出品。

とにかく主人公のダメさ加減が半端ではない。
何事からも逃げてしまい、
落語会の動員も熱心でなく、
暇さえあればパチンコ三昧。
「アルバイトは駄目」という真海に寄り掛かり、
毎度のことで飲み代をせびり、
なのに、弟弟子の彼女の風俗嬢と浮気をしたりする。
真海が友人の結婚式に用意したご祝儀を盗み、
借金のある風俗嬢に渡そうとして、断られたりする。
真海が大切にしていた流木(のようなもの)を
怒りに任せて壊す。
実家に帰った真海の前で土下座をして帰って来てくれ、と頼む。

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絵に描いたようなダメ男、ねぼけたような男を
友部康志が演ずるが、
体型といい、雰囲気といい、
この役がはまり役。
この役をやるために生まれてきたのではないかと思うほどだ。

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対する真海を演ずるのは、
村上真希

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モチーフに人情噺「替り目」 が使われているのが特色。
酔っぱらって家に帰った亭主が
もっと飲みたいとせがみ、
その上、つまみが欲しいと我が儘を言い、
女房がおでんを買いに出た後、
本心を吐露し、
「こんなダメな俺に付いてきてくれるのは、
あいつぐらいなもんだ。
いつもは口悪く言ってるけど、
心の中じゃ有難え有難えと手を合わせているんだ」 と
一人言を言ったのを、
出かけていなかった女房にしっかり聞かれてしまう、
という話。
もう少し長い話だったのを、
五代目志ん生が改作した人情噺で、
三語郎と真海の関係に重なるように作られている。

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寄席に呼ばれた三語郎が
遅れて到着した時、
高座でただ一人待っていた師匠が
たった一人の観客の前で「替り目」を演じてみせ、
三語郎が泣き崩れるシーンは、やはり胸を打つ。
師匠役の人が、この人情噺を見事にこなし、
なにより、声が「落語の声」だったので感心したが、
タイトルを見て、
本職の落語家の入船亭扇遊師匠だと初めて知った。
うまいはずだ。

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入船亭扇遊 (いりふねていせんゆう) ・・・
63歳。
1972年、九代目入船亭扇橋に入門。前座名は扇ぽう。
1983年、NHK新人落語コンクール優秀賞受賞。
1985年、真打昇進。扇遊を襲名。
1992年、文化庁芸術祭賞受賞。

真海の子供時代の心象風景として、
海で打ち寄せる流木と、
宮崎県新富町に伝わる「新田神楽」 を舞う
父との関係が描かれるが、
少々未消化で生煮えだ。

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ホームページによれば、
「日本の伝統『落語』」に生きる噺家/三語郎と、
神話の国・宮崎に伝わる古い『信仰』に生きる女性/真海の、
二人の愛と葛藤を描きます。
『落語』と『信仰』・・・
この2つを取り上げたのは、
それらが内包する長く深い歴史の中で、
同時代を生きる刹那的な価値観に捉われないような、
人間を肯定する大らかな物語を紡ぐためです」
とあるが、何のことか分からない。
もし、そうであるとすれば、
もっと別な描き方があったと思うが。

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ダメ男と師匠との師弟愛は感動した。
これが彼の「替り目」になれるかどうか。
多分ダメだと思うが、
そこまで描いてほしかった気がする。

しかし、沢山の人の応援によって出来た映画。
配給会社も決まらず、
ほとんどゲリラ的な上映形態を取るこの映画、
応援してあげたい気になった。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/MuSstiuYGcg

新宿のケイズシネマで、朝10時30分から1回のみ上映。
1月13日まで。


実は、この映画を観たのは、正月3日
ケイズシネマでは、
上映後、トークショーがあった。

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下に見える丸いものは、お月様ではありません。

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「写真はお控え下さい」などとケチなことは言いません。

この人が監督の壱岐紀仁 (いき・のりひと) さん。

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見た目若いが、
1980年生まれの36歳。
元々写真家で、映画初監督

この人が主演の友部康志(ともべ・やすし)さん。

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元々「北区つかこうへい劇団」 に所属していた人で、
つかさんには
「お前は40歳まで続けろよ。
そうすれば、まわりがみんなやめるから」
と言われ、
40歳の時、本作で初主演を獲得。
(現在42歳)
劇団☆新感線の「髑髏城の七人」にも出ていましたね。
                                  
↓は風俗嬢・砂織を演じた大竹佳那 (おおたけ・かな) さん。

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ロビーでは、写真撮影に応じていました。

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みなさん、頑張って下さい。


古今亭志ん朝の絶品「替り目」は、↓をクリック。

https://youtu.be/vnHHSZOU0O0

古今亭志ん生の「替り目」は、↓をクリック。

https://youtu.be/RGck16y8e3U


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