映画『手紙は憶えている』  映画関係

[映画紹介]

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老人ホームで暮らすゼヴ、90歳。
最愛の妻の死が分からないほど認知症が進んでいる。

そのゼヴが介護施設を出て、旅に向かう。
目的はアウシュヴィッツで家族を殺された時の責任者に
復讐するためだ。
目指す男はルディ・コランダーという偽名で
身分を偽って生きている人物で、
該当者は4人いる。
その4人を訪ね、本人だと確認し次第殺すべく、銃も手に入れた。

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しかし、ゼブには深刻な記憶障害があり、
自分が誰で、どこにいるのかも時々分からなくなる。
その時のために、
同じアウシュヴィッツで家族を失った被害者で
老人ホームで一緒になったマックスが、
車椅子で自分で行けない代りに
ゼヴに手紙を渡しており、
ゼヴは腕に「手紙を読め」と書いていた。
そこには妻が死んだこと、
認知症をわずらっていること、
4人のルディの住所と、
会った時になすべきことが書かれていた。
宿泊するホテルも銃を買う店もみんなマックスの指示だ。
ゼヴは時々手紙を読み、使命に目覚めて、
4人を順に訪ねていくが・・・

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認知症とナチの罪悪を組み合わせた新機軸
監督は私が高く評価する「スウィート ヒアアフター」(1997)の
アトム・エゴヤン
ゼヴを演ずるのは、アカデミー賞俳優、クリストファー・プラマー
(「人生はビギナーズ」(2010)で助演男優賞を受賞)

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マックスを演ずるのは、
これもアカデミー賞俳優のマーチン・ランドー
(「エド・ウッド」(1994)で助演男優賞を受賞)

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認知症の老人の最後の復讐が達成されるのか、
アメリカとカナダの大自然の風景の中で、不思議な旅が続く。
前作「白い沈黙」でミソをつけたアトム・エゴヤンだったが、
本作は、その資質がよく出て、
一瞬も遅滞しないで物語が進む。
86歳のクリストファー・プラマーの名演技が
観客の共感を呼び、感情移入する。
そして、最後の・・・

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[この映画を観る予定のある方は、
ここから先は読まない方がいいでしょう]

1人目は人違い、2人目は逆にアウシュヴィッツの被害者、
3人目は既に亡くなっており、
4人目で目的の人物にたどり着くが・・・

ここからの展開が意外で、
全く予想も予測も想定もしていなかった。
そういえば、銃の扱いになれていたり、
ワーグナーをピアノで弾いたり、
本人の声を覚えていたり、
?と思わせておいて、最後の真相。
全く知らなかったので驚いた。
最後になってみると、
よく仕組まれた復讐劇だったと分かる。
それで、回想や幻想などの手法を使わなかったのか。

しかし、チラシを見てみると、
「ラスト5分の衝撃──すべての謎が解き明かされるとき、
あなたの見ていた世界は一転する」
などと書いてある。
予告編も同じだ。

チラシを読まなくてよかった。
おかげで「びっくりする」という映画の楽しみを奪われずにすんだ。
そうでなかったら「ラスト5分の衝撃」に対して身構え、
あれこれ想像して、先を読んでしまっただろう。
最近、こういうのが多くて、困る。

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しかし、それは宣伝のミスであって、
作品そのものの価値が下がるわけではない。
そういうことを置いても、
記憶が遠ざかってしまう老人の心と
過去への清算への執着との
相克を描いて、
この映画は心に残る名作だ。

アメリカの俳優の層の厚さを感じさせるように、
年寄りの役者がみんなうまい。
脚本はベンジャミン・オーガスト

なお、「手紙は憶えている」は、日本で付けた題名で、
原題は映画の最後に明らかになる。
「REMEMBER」。
なるほど。

5段階評価の「4」

日比谷シャンテで上映中。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/mmOPEBLgGeg

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