映画『人間の値打ち』  映画関係

[映画紹介]

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イタリア・ミラノの郊外。
地元高校での優秀な生徒を表彰する会がホテルで開かれている。
祝賀会が終わり、そのホテルのウェイターが、
雪道を自転車で帰宅途中に事故に遭い、死亡してしまう。
加害者の車は逃走する。
ひき逃げ事件だ。

この事件の前後の経緯を3人の登場人物の視点から描いていく。

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一人目は、不動産屋のディーノ
娘・セレーナのボーイフレンドであるマッシの父親で
投資会社を経営する富豪のジョヴァンニに取り入り、
彼が運営する投資ファンドに、
銀行から借金をして投資するが、
ファンドは上手く回らず、
資産は10分の1に目減りし、
銀行から返済を求められて窮地に陥っている。

二人目はジョヴァンニの妻カルラ
富豪の妻だが、夫との関係は冷えきっており、
自分の存在が見つけられず、ふらふらしている。
町に唯一残された古い劇場の維持・修復に情熱を燃やし、
劇場の再建委員と不倫関係に陥る・・・

三人目は、ディーノの娘、セレーナ
マッシとの関係は半年前に終わっているが、
まだマッシは未練を持っている。
心療内科医である継母が勤務する病院で、
ルカという少年と出逢い、恋愛関係になっていくが、
ルカは、かつて大麻所持の罪で少年院に入っていた前科があった・・・

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という三人の状況が、あの事故の日を通じて変異していく。
別に新しい手法ではないが、
ところどころ三者が交錯する場面があり、
実に映画的だ。
それぞれの見えない部分が次第にあぶり出され、
真相が露呈して来ると共に、
ファンドという虚業の上に成り立った上流階級、
金儲けに汲々とする中流階級の男、
犯罪を引きずって生きている下層階級の少年の生き方と、
イタリア社会の持っている病巣が見えて来る仕掛けだ。

物語が進むにつれて、
事故の真の加害者が誰かも判明する。
事件の真相と同時に
取り巻く人間がよく描かれているから、
興味は尽きない。
最後は元の鞘に納まったように見えながら、
人生に刻まれた傷口の深さを思わされる。

ディーノを演ずるファブリッツィオ・ベンティヴォリオ
実にせこい小市民を演じて巧み。

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最後にある人にお金を要求するのだが、
金以外にもう一つ要求するものが、
ああ、そういう思いを持っていたのかと、
分からせて人間の心の闇を明らかにする。

ジョヴァンニの妻カルラを演ずるヴァレリア・ブルーニ・テデスキは、
裕福な生活を送りながら、心は満たされない日々を演じて秀逸。

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最後に浮気相手から言われる言葉の暴力は
この女性に一生付きまとうと思わせる。
と共に、相手の男がいかにくだらない人間であったかが分かる。

ディーノの娘セレーナを演ずるマティルデ・ジョリは、
オーディションで選ばれたというが、清新だ。

タイトルの「人間の値打ち」は、なにやら哲学的な題名だが、
その意味は最後のエンドクレジットで明らかになる。
その金額をディーノがファンドに投資した金額、
ジョヴァンニが持っている資産と比べてみるのも一興だ。
それぞれが守ろうとするものの値打ちの軽重を問うものだ。

監督はパオロ・ヴィルズィ
イタリアのアカデミー賞といわれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞
7部門で受賞

5段階評価の「4」

渋谷のル・シネマで上映中。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/XWE_c8Z70I8

タグ: 映画




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