評論『日本人が気付かない 世界一素晴らしい国・日本』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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著者はアメリカのジョージタウン大学教授
日本在住
39年前の1977年(昭和52年)、
高校2年生、17歳の時、
交換留学生として長野県立上田東高校に1年間滞在。
帰国後も「日本に今一度戻る機会を探すために」
大学に進んで、日本研究に取り組み、
念願かなって、
日本留学を経て、日本近代思想史専攻の大学教授になった方。

本書の構成は、
第1章 17歳の日本体験記
第2章 日本のナショナリズム
第3章 「天皇」「靖国神社」「奇跡の経済成長」
第4章 アメリカを蝕む病
第5章 日本の長所と弱点
エピローグ 家族が見た日本

全体を通して、
「日本人が気付かない 世界一素晴らしい国・日本」
という題名のような内容ではない。

中で、注目すべき指摘があるので記す。

筆者は、日本人の道徳性に興味を持ち、
「2千年もの間、
一つにまとまって続いたという国は、
世界のなかで
ほとんど例がないだろうと思う」
と記し、
「日本人の道徳は
何をもとにしているのでしょうか」
と疑問を投げかけ、次のように書く。

16世紀に来日した宣教師のフランシスコ・ザビエルは、
「世界中で日本人ほど
正しい生活をしている人間はいなかった」
と言っています。
日本人は侍から商人まで、
「潔さ」「嘘をつかない」「人に恥じない行為」
などの道徳を身につけていた。
親から教わったり、
家庭で躾がなされるということが
かかわっていると思いますが、
その根拠なるものは何か。
カトリック教徒の私は、
この点に大きな関心を抱きました。
ある日本人に質問してみたところ、
「日本人は自分を見ている目
というものを意識している感じがする」
とおっしゃった。
ては、「自分を見ている目への意識」は
自然に湧き上がるのか、
教育されて生ずるのか。
この再度の質問に、
「儒教的な要素が多いのではないか。
天知る、地知る、君知る、われ知る、
という四知(しち)の教えというものがある。
自分の行いを四つの目が見ている」
とその方は答えました。
でも、日本が儒教を導入する以前から、
その意識は日本人にあったのではないかと
私は感じます。
また、儒教が強い国、
たとえば韓国では、
日本人ほどそういう感覚はない。

私は最近、日本人のこの性質は、
神道によるのではないかと思っている。
国家神道ではなく、
自然の神道
儒教伝来より前に存在した、
自然の中で命をとらえる
神道の伝統ではないかと。

筆者は日本の良さとして、
いろいろある中で、次の3つを上げている。
第1に、「寛容」
第2に、「おもいやり」
第3に、「天皇」

寛容については、
「私の30年以上の経験では、
日本人の排他的な態度に遭ったことは皆無に等しい。
外国人をめったに見かけないような
小さな町でも
排他的な経験はほとんどなく、
寛容的な態度はよくありました」
と記す。

そして、
「日本のなかで、一番重要な言葉は何でしょうか。
文化的には思いやりです。
思いやりがわかれば日本がわかります」
と学生に説明し、

交換留学生で日本に来たとき、
日本人の家でホームステイをしました。
全然、言葉が通じなくて困っても、
ホストファミリーのお母さんが
私のことをよく見ていて、
「彼にはあれが必要だ」
「彼は何を悩んでいる」
とわかっていました。
思いやりが洞察力につながったと思います。

と記す。

天皇については、

アメリカには皇室のような存在がありません。
私はよく冗談に言うのだけれど、
「王室を失った国は
あまり礼儀正しくない国になる。
王室がある国は
礼儀の正しい文化が残っている」。
中国も韓国も王室がなくなりました。
アメリカもそうです。

と書く。

そして、日本人の美意識についても、

美は美術館の展示物に止まらず、
日常生活のなかにもある。

と記す。

少々誇大広告気味の題名の本だが、
一部示唆に富んだ事柄のある本である。





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