小説『剣より強し』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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ジェフリー・アーチャーによる
クリフトン年代記第5部。

前作では、
バリントン海運による
豪華客船バッキンガムがニューヨークに向けて処女航海に出発。
しかし、爆破計画がなされ、
爆発の時が近づいていた。
そして・・・

というところで第4部は終了。
読者は1年後の第5部の発刊を心待ちに。

で、その第5部は、
すんでのところで爆弾が発見され、
海に投げ込んだ途端に爆発が起る、
という危機一髪

まあ、当然の結果で、
もし爆破されて主人公たちが死んでしまったら、
この年代記は中途で終わってしまうので、
そんなことは有り得ない。
(そんな小説も面白いと思うが。
「主人公が死んだので、終了!」なんて。)

セバスチャンはバリントン海運の重役に迎えられ、
ハリーは内閣官房長官のアランから秘密指令を受ける。
イギリス・ペン・クラブの会長として
モスクワで講演した後、
大使に会い、ある文書を見て、
それを記憶して帰国してもらいたいというのだ。
ハリーの映像記憶能力の活用で、
イギリス国内のロシアスパイに関する情報だった。
ハリーは講演で
スターリンの通訳を13年務めた
アナトーリイ・バハコフの釈放を求める。
彼はスターリンの実像を書いた『アンクル・ジョー』が発禁処分となり、
シベリアに送られたのだ。
講演後、ハリーは大使に会い、
文書を記憶、帰りの飛行機の中で筆記し、使命を果たす。

セバスチャンはファージングズ銀行の上司スローン
田舎の農場を購入しようとしている情報を得て、
現地におもむき、元校長のスワンという人物と会い、
その農場を高速道路が通過するという
価格高騰の情報を取得する。
スローンは銀行を通さず、
利益を自分のものとしようとしていたのだ。
会長のセドリック・ハードキャッスルに相談し、
スローンを解雇することになるが、
その通告の最中、セドリックは心臓発作で倒れ、
スローンは見殺しにする。
その上、セドリックの葬儀と同じ時に
重役会を開いて会長の座を獲得したため、
セバスチャンはファージングズ銀行を去る。
セバスチャンはコーフマン銀行の会長に相談し、
農場の入札期限ぎりぎりに
スローンより1万ポンドだけ多い額で落札する。

落札は勝利に終わったが、
スワンに約束した劇場建設への寄付
セバスチャンが躊躇したことから、
恋人のサマンサの失望を買い、
サマンサはセバスチャンのもとを去る。

ジャイルズは会議のために東ベルリンを訪れ、
その通訳をつとめるカリンという女性と恋に落ちる。
しかし、その現場の盗撮写真を新聞に掲載され、
ジャイルズの外務大臣の道は閉ざされる。
妻は去り、次の総選挙で
ジャイルズは宿敵フィッシャーに21票差で敗れる。
と同時に労働党も敗れ、政権は交代した。
一般人としてベルリンを訪れたジャイルズは、
ババコフ釈放運動をしているハリーの支持者として、
東ベルリンに入ることを拒否される。

セバスチャンはスワンに会い、
約束の寄付を渡すが、
サマンサの消息は知れないままだった。
数年の歳月がたち、
ようやくサマンサの居場所が分かって訪問した時、
セバスチャンが見たのは、
サマンサが小さな娘を連れていたこと、
その名前がジェシカ(セバスチャンの義妹で自殺)で、
絵の才能があることだった。
セバスチャンは密かにジェシカの学費の支援をする。

ハリーはアメリカにいるババコフの妻を訪ね、
「アンクル・ジョー」の最後の1冊が
隠されている場所を教えてもらう。
レニングラードを訪ねたハリーは、
その隠し場所で「アンクル・ジョー」を獲得するが、
空港で拘束され、
裁判にかけられる。
裁判にはババコフその人も出席し、
同じ房に入れられたハリーはババコフから 
「アンクル・ジョー」をソ連国内から持ち出す
もう一つの方法を示唆される。
声明書にサインしたハリーは
イギリスに送還され、
「アンクル・ジョー」の「持ち出し」に成功する。

意に染まぬいきさつで、
メラーをバリントン海運の重役に迎えたエマは
相手側の謀略に会い、
ヴァージニア(ジャイルズの元妻)との裁判を理由に
会長職の一時停止を受ける。
その決定の重役会にセバスチャンが交通渋滞で遅刻したこと、
メラーとの相互棄権の約束をメラーが破ったことが原因だった。

ファージングズ銀行の重役につこうとしたセバスチャンは
役員の椅子を獲得出来る6%の株式を取得しようとしたが、
スローンによって定款変更を主張される。
ハキム・ビシャラと知己を得たセバスチャンは
セドリックの未亡人が売った51%の株式を
メラーにはったりをかまして取り戻す。
スローンは会長職を解任された。

メラーやスローンの動きには、
ヴァージニアが深く関わっていた。
そのヴァージニアとの名誉棄損裁判の過程で、
フィッシャーの不正が暴かれ、
議員辞職を勧告されたフィッシャーは
エマの弁護士に宛てた手紙を残し、自殺する。

陪審員の票決は一致に至らず、
陪審員からフィッシャーの手紙の開示を求められた
エマの弁護士は
上着の内ポケットから取り出そうとするが、
その手紙は直前に裁判所の中でぶつかった若者によって
掏摸取られていた。

という様々な話が
交錯しながら、同時進行で進展する。

善玉悪玉がはっきりしすぎている点と
ややワン・パターンという欠点はあるが、
ストーリー・テラーとしてのジェフリー・アーチャーの面目躍如。

特にソ連内に拘束されたハリーが
文書を持ち出す手をババコフに示唆され、
「なぜ私はそれを思いつかなかったんだろう?」
というような方法で実行するあたり、
また、釈放の交換条件として声明に署名させられたハリーが
驚くような方法で意趣返しをする方法は目を見張る。
ジャイルズによれば、
「ハリーは外務省が一年かかって
なんとかできるかできないかというぐらいの恥を、
一日でロシア人にかかせてやったぞ」
という位の機転を効かせるあたりは
爽快だ。
(読む人の楽しみを残すために、
この部分は書かずにおきます)

そして、最後は裁判の帰結。
10対2はどちらが多いのか、
フィッシャーの手紙の行方は?
というわけで、第6部に期待を繋ぐ。

解説で香山二三郎さんが

すでにご承知の通り、
『クリフトン年代記』は
全5部から全7部へと構想が拡大したと報じられているが、
本当にそれで終わるのだろうか。
ワタクシ的には、
さらに拡大して
全10話ぐらいにはなるんじゃないかと睨んでいるのだが。

と書いているが、
1920年から2020年までを描くという構想なのに、
今現在、第5話で1970年。                             
全10話という噂は本当かもしれない。

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