ドキュメント『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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アフリカに魅せられた女流写真家、
ヨシダ・ナギ(吉田凪)↓のアフリカ紀行文。

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題名の「裸で」とは、
裸族の撮影に赴いた時、
「仲良くなるには、相手と同じ恰好になるのが一番」
という信念により、
腰を葉っぱや革で覆っただけの姿になって、
相手の心を開かせたことによる。
(本の表紙参照)

彼女がアフリカ人に興味を持つきっかけとなったのは、
5歳の時テレビで見たマサイ族
そのかっこ良さに惹かれ、憧れた。
当時はマサイ族というものが職業の一つだと思っており、
いつか大きくなったら、
区役所の人が
人間の肌の色を変えられるボタンでも持って
訪問してくるものだと勝手に思い込み、
その日をまだかまだかと待ち焦がれていたという。
10歳の時、
「いつ私の肌の色は変わるの?」と母親に尋ね、
「アンタは日本人なの。
アンタは、あーいうふうにはなれないの!」
と言われて絶望した。

しかし、アフリカへの憧れは日に日につのり、
23歳の時、単身エチオピアに渡る。
英語がほとんど話せないのに。

それから5年間にわたり、
エチオピア、マリ、ブルキナファソ、ジブチ、
スーダン、ウガンダ、ガーナ、カメルーン、
チャド、ナミビア、タンザニア
の11カ国↓を巡った旅行記がこの本。

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この11カ国、私はどの国も行ったことがない。
一般の旅行会社のツアーにない国ばかりなのは、
彼女の興味の対象が、
アフリカの少数民族に限られているからだ。

少数民族がその国の首都近辺に住んでいるわけはなく、
車で数時間、場合によっては数十時間かけて
現地に赴き、
長老に交渉。
駄目な時もあれば、
快く受け入れてもらえる時もある。

現地ガイドのいい加減さにあきれ、
貧しい子どもたちと触れ合い、
少数民族の文化に感動する旅。
時には入国審査でワイロを要求されたり、
航空会社の係員に意地悪されたりする。
ホテルにシャワーがなく、
バケツ一杯の水と桶を渡されて、
野外で体を洗わされりする。
(昔、日本でもタライで行水というのがありましたな)
スーダンのホテルの部屋では、
入った途端、ざっと数えただけでも140匹のゴキブリに遭遇。

そういうすさまじい文化的衝突
楽しみながら旅する姿はうらやましい。

しかし、女一人でアフリカを旅行するなど、
危険きわまりないと思うが、
本人は「行ったこともない国が危険だなんて、どうして言えるの」と
気にする様子もない。

なにしろ、外国人など見たこともない人がほとんど。
まして、東洋人など、白人と区別がつかない。
そんな中、裸同然になって
裸族の真っ只中に飛び込むなど、
勇気がいることだろう。

肌の色について、マリのガイドはこう言う。

「同じ国の人間でも、
肌の色の明るさで階級がある。
その階級が差別を生み、
より肌の黒い人が生きにくくなっている」
「自然と肌の色が明るいほうが良しとされる傾向があるのは、
なぜだろうか。
人は生まれるときに、
外見や肌の色・明るさまでは選べない。
持って生まれたものなのに、
なぜそれだけで差別を受けて苦しまなきゃいけないのだろうか」

あまりにも何もないジブチに驚くナギにガイドのフセインが言う。

「日本という国は
アフリカと違って豊かだし、
すばらしい技術を持っている人々だと思う。
だけど、豊か過ぎるがゆえに、
今の日本人は何もない中で楽しさを見つけることが
苦手になっていると思うんだ。
私たちアフリカ人には
日本のような技術はないし、
お金もないから、
欲しいものすら簡単に手に入らない。
けど、小さいころからそんな環境で過ごしているからこそ、
私たちは何もない中から
新しい遊びや楽しみを見つけることが得意になったんだ。
人は、配られたカードだけで勝負しなきゃならない。
ないものねだりをしても無駄だろう?
だから、こんな何もない国で暮らしていても、
私たちは毎日それなりに楽しむことができてるんだ」

エチオピアでダジボという少年に出会ったナギは
決して“お金がない=貧乏、ではない”ということを痛感する。

エチオピアのガイド、ベイユーは、こう言う。

「少しお金を持っていたり、
豊かな生活をしている人ほど、
些細なことでモメたり、
ねたんだりするけれど、
貧しい生活をしている人ほど、
心は豊かだから、
人をねたんだり憎んだりはしないよ。
貧しい人たちほど
みんなで協力し合って生きているから、
そういう人たちは
他人の幸せも自分のことのように喜べるんだよ」

そんなナギでも行き詰まることはある。
ウガンダでそんな気持ちに陥った時、
ボランティア活動をしている欧米人に会い、
「ここに来るまではアフリカ人のことが大好きだったけど、
この先、どう距離をとったらいいかわからない」
と話すと、彼女らの回答は、こうだった。

「私たちはアフリカ人やアフリカも大嫌いよ。
でもね、大嫌いだけど、大好きなの。
簡単に人を裏切るし、
真面目に仕事もしないけど、
私達まで見放してしまったら、
誰がアフリカに手を差し伸べるの?
好きだけじゃアフリカとは付き合っていけないわよ。
ゆっくり考えたらいい。
本当に好きだったら、
あなたはきっとアフリカに戻ってくるはせずだから」

ナミビアの裸族、ダマラ族の女性の話。

「今、ダマラ族の多くの人たちは
“裸は恥ずかしい”と思い始めていて、
私たちみたいに裸で生活を続けている人たちは、
かなり少なくなってきている。
服を着ることは決して悪いことではないし、
貧乏だから裸で生活しているわけでもない。
純粋に私たちは自分たちの文化を誇りに思っているから、
この文化はこれから先も
ずっと守っていきたいと思っている。
だからナギが日本に帰ったら、
私たちのような人間がまだいるってことを伝えてほしい」

終わり近く、ナギはこのように書く。

正直、私には彼らの国や人間ひとりひとりの歴史はわからないけれど、
彼らの力強い目を見ていれば、
彼らがどれだけ充実した日々を送っているのかがよく伝わってくる。
とにかくアフリカ人は、
お金や名誉などの富とは違う、
お金では買えない富を持っている人が多い。
しかし、これは遠く離れた日本人には
なかなか伝わらないことなんだと思った。

私などは発達した社会で、
便利で快適な生活にどっぷり浸かっているから、
ナギの言うことは
実感的には分からない。
だが、世界が広く、
多様な文化があることはナギさんを通じて分からせてもらった。

アフリカの問題は
民族対立と
政治の腐敗
にあると、
個人的には思っているが、
ナギさんは、
それらには全く触れない。
まあ、仕方ないんでしょう。

ナギさんの写真は、独学だが、一流
著作権の問題があるので、
1枚だけ掲載↓。

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テレビ番組「クレージージャーニー」で紹介された時の動画は、
↓をクリック。

https://youtu.be/BjEOFxAjPeA





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