『マネー・ショート 華麗なる大逆転』  映画関係

〔映画紹介〕

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2008年の世界同時金融危機
金融トレーダーの側から描いた作品。
先に紹介した「ドリームホーム 99%を操る男たち」↓は

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20160218/archive

同じ題材を不動産側から描いた作品で、
対になる作品だといえる。

2005年のアメリカ。
破綻の3年前に
金融トレーダーのマイケルクリスチャン・ベイル)は、

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サブプライムローンが必ず破綻することを見抜くが、
ウォール街では相手にされない。
そこで、破綻した時に多額の保険金を手にすることのできる
「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)という
金融商品を思いつき、
投資銀行と契約を結ぶ。
しかし、破綻まで時間がかかり、
その間の掛金の支払いに金が必要で、
顧客からの攻撃を受ける。

銀行家ジャレドライアン・ゴズリング)はマイケルの戦略を知り、

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ヘッジファンドマネージャーのマークスティーヴ・カレル)に

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CDSに大金を投じるべきだと提案する。
マークは実際のサブプライムローンの借り主を訪ねて
調査をするが、
収入のない者やストリッパーなどに貸し付けられている
実態に触れて震撼し、
サブプライムローンを元に作った
住宅ローン担保証券MBS、
更にMBSを束ねて切り刻むCDOは
やがて破綻することを確信する。
しかも、格付け会社の審査がいい加減で、
そんな金融商品にAAA(トリプルA)の格付けがされているのだ。

若い銀行家のジェイミーとチャーリーの二人は
今は一線を退いている伝説の銀行家
ベン
ブラッド・ピット)に相談を持ちかけ、

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後押しを頼む。

そして、サブプライムローンの破綻に端を発する
金融市場崩壊の危機が刻々と迫る・・・

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というわけで、
2008年の金融危機の際、
いち早く危険を察知して
逆の「空売り」(ショート)をして儲けた3つのグループを描く。
マイケル・ルイスの書いた「世紀の空売り」が原作。

映画ではところどころで
観客に向かって解説が加えられる。
その点がユニークで
アカデミー賞の脚色賞を受賞。

しかし、字幕で「MBS」だの「CDS」などと出ても、
それを最初の段階で把握しそこねると、
理解出来ず、ずっとイライラすることになる。
中でもカジノでの解説、
ブラックジャックをして遊ぶ人、
その賭けに対して投資する人、
さらにその投資する人に投資する人・・・
という解説が一番分かりやすかった。

で、諸文献を参考にしつつ、
少し解説を加えると、

○住宅ローンは、住宅を担保に入れて
 金融会社からお金を借りること。(当たり前だ)
○するとお金を貸している債権者(銀行等)には
 毎月の返済と金利が入ってくる。
○この権利をまとめて切り刻むと、
 住宅ローン債券
が作れる。(ここが分からん)
○これが住宅ローン担保証券
 MBS(Mortgage-Backed Securities)。
○更にMBSを束ねて切り刻むと
 CDS
(Collateralized Debt Obligation)が作られる。
○こうした住宅ローンをごっそりまとめた金融商品に
 ムーディーズやS&Pという権威ある格付け会社が、
 トリプルA
(破綻の可能性が少ない投資適格性の高い商品)を付けた。
 映画でも紹介されているが、
 「ウチが断れば別な格付け会社に行くだけだから」と。

○大元になるサブプライム・ローンの「サブプライム」とは、
 優良客(プライム層)よりも
 下位(サブ)の層向けとして位置付けられるローン商品。
 ありていに言うと、アメリカの貧乏人のための住宅ローンのこと。
○映画でも語られるが、収入のない人や
 ストリッパーのような職業の人にもどんどん貸し付け、
 破綻は目に見えていた。

○マイケルたちが契約した空売りは、
 CDS(Credit Default Swap) というデリバティブ「金融派生商品」。
 元々は、債券のデフォルトをヘッジするための金融商品。
 スワップ(引換取引)という名前が付いているが、要するに保険。
○たとえばAという会社の社債を保有している人がいるとして、
 A社が倒産して、100円の社債が30円しか返ってこなかった。
 ところが、この社債のCDSを買っておけば、
 損失分の70円を貰える。
 つまり損失を見込んだリスク補填の保険だ。
○しかし、実際はCDSは保険ではなく、
 ギャンブル
=投機として使われる。
○元の社債は買わず、
 会社が倒産することを見込んで保険料を支払う。
 倒産しなければ保険料分損するが
 早めに倒産すれば、その分もうかる。

マイケルはMBSやCDOがトリプルAが付きながら、
実はサブプライム入りのとんでもないクズだと気づいた。
そこでCDOを原資産とするCDSを思いつき、
様々な投資銀行に提案して行く。
年間2%程度の保険料。
住宅バブルが崩壊すれば一気に数十倍になるが、
しかし、破綻しなければ、支払い続ける保険料は損になる。
まさに「ギャンブル」である。

「華麗なる大逆転」などと副題がついているが、
「華麗」でも何でもない。
人の不幸を利用して金儲けをしただけだ
市場の動向を早めに察知して手を打ったかどうかの違い。

そのことは、
契約が成立して喜ぶ若きトレーダーたちに
ベンが「浮かれるな」と警句するシーンに現れている。
「その事態が来れば、何百万の人が家を失い、職を失うんだ」と。

しかし、金融破綻後、
張本人である投資会社の幹部たちは、
罪に問われることもなく、
多額のボーナスを受け取ったという、
割り切れない結末。

というわけで、
アメリカの金融商品の実態を描いて面白い。
しかし、こうした金融派生商品は今でも膨大に作られている。
為替に連動したもの、
日経平均に連動したもの、
土地やマンションの抵当物件に連動したもの、
様々だ。
まさにブラックジャックを楽しむ人(ギャンブル)を
周りで見て、新たな賭けをするギャンブルのギャンブル。
素人はくれぐれも手を出さないように。

意表をついた脚本と演出、
それにクリスチャン・ベール、
スティーブ・カレル、
ライアン・コリンズ、
ブラッド・ピットら
うまい役者に支えられて
知識が増える楽しみを味あわせてくれる作品。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=3dVHToERcDc

この映画については、
アメリカ在住の映画評論家の町山智浩さんが
分かりやすい解説↓をしているので、
それを事前に見ると、参考になると思われる。

https://www.youtube.com/watch?v=DheL8zCMcec&feature=player_detailpage#t=144






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