『フランス組曲』  映画関係

〔映画紹介〕

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1940年のフランス。
パリから疎開した人々が
フランス中部の町ビュシーにも押し寄せて来た。
それを空から襲うドイツ軍。
独仏休戦協定が結ばれ、
フランスはドイツの支配下に置かれる。
ビュシーの町にもドイツ軍が進駐して来て、
リシュルの家にドイツ軍中尉ブルーノが滞在するようになった。

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結婚して3年、
戦地に行った夫を待つリシェルは
厳格な義母と大きな屋敷で窮屈な生活を送っていた。
他のドイツ軍人と一味違う高潔な人格を持ったブルーノは、
ピアノを通じて、いつしかリシュルと心を通わせるようになる。

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そんな時、小作人の一人がドイツ将校を殺す事件が起こり、
リシュルと義母はその小作人を匿う。
期限までに犯人が見つからなければ、
町長が銃殺されることになり、
その銃殺はブルーノが仕切ることになる。
リシュルの家を捜索したブルーノは、
匿っている気配を感ずるが・・・

戦時下におけるフランス女性とドイツ将校の道ならぬ恋
などと聞くと、
今更何を、という感じを持つが、
原作がアウシュヴィッツで亡くなった作家で、
ひそかに書き進めた原稿を娘に託し、
形見として保管されていた原稿が
トランクの中から発見されて
60年以上の時を経て出版され、
ベストセラーになった、
と聞くと粛然とした気持ちになる。

リアルタイムで書かれた原作は
ドイツ軍による占領下に生きる人々の振る舞いを、
平静な目線で描いたもので、
「1952年の読者も2052年の読者も
同じように引きつけることのできる出来事や争点を、
なるだけふんだんに盛り込まないといけない」

創作メモの中で原作者イレーヌ・ネミロフスキーは語っている。

映画の仕上がりも同様で、
ありふれた話のように見えて、
いつ、どこでも起る物語として
戦争の中で暴かれる人間の本性が描かれている。

特に、後半、小作人を匿ったことにより
町で起る出来事が物語を盛り上げる。
ブルーノがいつも弾いていたピアノの楽譜を見つめるリシュル。
流れるその曲、「フランス組曲」
(この題名の曲は、有名なバッハのものをはじめ、
ジャン・ロジェ=デュカス、ダリウス・ミヨー、
フランシス・プーランクなど、
多数あり、
誰のものかと思ったら、
映画の中でのリシュルとブルーノの会話で
「あの曲、知らないわ」「でしょうね」
「作曲家は誰?」「未発表だ」
「あなたが?」
「戦前は作曲家として活躍し、妻もいた」
とあるところを見ると、
オリジナルのようだ。)

軍の制圧下で、
音楽を通じて二人の心が寄り添うというのは、なかなかいい。

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しかし、事件が二人を引き裂く。
そして、リシュルとブルーノの
衆人環視の中で交わされる別れの言葉。
「君とはいつか再会するだろう。
その時、自分は軍人ではない。
きっと君は気づかないだろう」
ささやくように、相手だけに分かる言葉で語る二人。
この場面でついつい落涙した。
そして、意外なラスト。
切ない別れ。
抱擁もなく、言葉もなく、
歴史が二人を引き裂く。
こんな痛切な別れのシーンは、久しぶりだ。
画面が暗くなり、
原作の経緯が字幕で紹介される間、
涙が止まらなかった。
ラストの音楽もいい。

リュシルを演ずるミシェル・ウィリアムズが好演。

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ブルーノを演ずるマティアス・スーナールツ
占領の矛盾に苦しむ孤高の中尉を見事に演ずる。

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義母役のクリスティン・スコット・トーマスが画面を引き締め、

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小作人ブノワ役のサム・ライリーも魅力的。
町長役のランベール・ウィルソン他、
役者が隅々まで見事な演技をする。
監督・脚本はソウル・ディブ
今後に期待出来る。

5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=whAdOwLM7RA

タグ: 映画




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