『ブリッジ・オブ・スパイ』  映画関係

〔映画紹介〕

クリックすると元のサイズで表示します

スティーヴン・スピルバーグ
東西冷戦時代の出来事にスポットを当てた。

1945年から1989年まで44年間続いた
アメリカとソ連の東西冷戦は、
スパイによる情報戦でもあった。

1957年、ブルックリンで自称画家が
ソ連のスパイとしてFBIに逮捕された。
本名ウィリアム・フィッシャーというこの男は、
自分が裏切り者でないことをモスクワに知らせるために、
死んだ友人の名前「ルドルフ・アベル」で押し通した。
アメリカ国民は死刑判決を望んだが、
国選弁護人のジェームズ・ドノバンの弁護により
禁固30年に減刑された。
そのためドノバンは様々ないやがらせを受け、
命の危険にもさらされた。

クリックすると元のサイズで表示します

1960年、
アメリカの偵察機U−2が撃墜され、
パイロットのフランシス・ゲーリー・パワーズは
パラシュートで降下して逮捕された。
パワーズは軍から支給されていた1ドル硬貨に内蔵した
毒針での自殺をしなかった。

政府機関から要請を受けたドノバン弁護士は、
アベルとパワーズの交換交渉を任された。
ただし、民間の立場で、国は関与しない形で、
という難しい条件付きだ。

妻子にロンドン出張と嘘をついたドノバンは
ベルリンに赴く。
丁度ベルリンの壁が構築されていた時期で、
東ベルリンで留学生フレデリック・プライヤーが
スパイ容疑で拘留されたのが
問題を複雑にする。

クリックすると元のサイズで表示します

東ベルリンを訪れたドノバンは、
極寒の地で外套を奪われる中、
ソ連大使館を訪れ、交渉を開始する。
しかし、どこまで信じていいか分からない相手との交渉は難航する。
特に、ドノバンがプライヤーを含めての
2対1の交換を主張したことから紛糾する。

1962年2月10日、
東西ベルリンの境界であるグリーニケ橋において、
恩赦されたアベルとパワーズが交換され、
公式の東西ベルリンのゲートでプライヤーも解放される。

クリックすると元のサイズで表示します

その実話をドノバンの側から描いたのがこの映画である。

地味な内容だが、
とにかく、どんな題材でも映画的に面白くしてしまうのは、
まさにスピルバーグの職人芸
カメラの動かし方、アップとフルサイズ、ロングの配分は
全く感心するほどだ。

加えて、当時の状況を
生々しく再現してリアリティを持たせる手法。
特にベルリンの壁を構築する様子は初めて見た。
完全に閉鎖されるまでの間、
通路を通って自転車で東側にプライヤーが侵入し、
教授の娘を伴って西側に帰ろうとしたときには、
通路が閉ざされていたなど、
まるで現実を見せられているかのようだ。

ドノバンが入った東ベルリンの寒々とした風景。
ソ連大使館でアベルの偽家族との対面など
興味深い場面もある。
そして、グリーニケ橋での捕虜交換のサスペンス。
プライヤーがチェックポイント・チャーリーに現れたことを確認するまで
ドノバンの意気に感じてアベルが歩きださないなど、
泣かせるシーンもある。
アベルを演ずるマーク・ライランスの演技が出色。

クリックすると元のサイズで表示します

身分を隠しながら市井の人として暮らす
スパイの姿をリアルに演ずる。
「国からの職務に忠実」であると同時に
「自分にも忠実」という共通点で
ドノバンと共鳴しあう内面もよく表現した。

クリックすると元のサイズで表示します

トム・ハンクスは保険関係の専門家でありながら、
ニュールンベルグ裁判の経験によって
国から指名されて
「スパイといえども正当な裁判を受ける権利がある」
ことを世界に知らしめるために
アベルの裁判を担当する心意気も示す。

帰国したドノバンが
妻との約束のマーマレードを
近所で買って来たという挿話も笑える。
テレビで事実を知った妻が
部屋に行ってみると、
ベッドで眠り込んでいる姿も泣かせる。

最後、地下鉄の窓から見た光景で
ベルリンの壁の悲劇を思い出すドノバン。

クリックすると元のサイズで表示します

あんな壁を作ったために、
様々な悲劇が生まれた。
本当にソ連もつまらんことをしたものだ。

所々ペーソスと皮肉が効いたところがあるのは、
脚本にジョエル&イーサン・コーエンが関与した成果か。
「20世紀を映像で遺すことが監督としての使命」
と言うスティーヴン・スピルバーグの力作。

5段階評価の「4」

予告編し↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=xrlKAreWrOI


私の定年後の旅の中で、
ロシア、ルーマニア、ブルガリア、
ポーランド、チェコ、スロバキア、
それに旧ユーゴのスロベニア、クロアチア、
更にバルト三国を訪ねる途中、
「ああ、そう言えば、
この国は昔の共産圏
鉄のカーテンの向こう側で、
昔は入ることも出来なかったんだ」
という感慨にひたることがしばしばあった。
今、人々は自由を謳歌している。
政治が民衆を翻弄する歴史は繰り返さないでもらいたい。


タグ: 映画




AutoPage最新お知らせ