『土漠の花』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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日本人は砂漠というと、
↓のような光景を思い浮かべるが、

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中東やアフリカの砂漠は、
実際は土漠
固い岩盤の上に
砂礫やシルト(細砂と粘土の中間的な荒さの土粒子)
が薄く乗っている荒地がほとんど。↓

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この物語はアフリカのソマリアジブチの土漠を舞台に展開される。

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ソマリアとジブチの国境地帯。
海賊対処行動のために現地に派遣された
陸上自衛隊第1空挺団員12名は、
墜落した米軍ヘリコプターの捜索・救助任務中に
現地の女性3名に助けを求められる。
女性は対立する氏族によって一族を虐殺され、逃げて来たのだ。

指揮官は人道的見地から彼女らの保護を決定するが、
敵の士族の民兵が追って来ており、
その銃撃を受けて隊員5名、女性2名が死亡。
残りの7名と女性1名は敵の追手から逃走を開始する。

残った人物は、
幼い頃に両親と死に別れ、
自衛隊を家族と思う叩き上げの友永曹長。
友永と同じ境遇で、
少年工科学校をトップに近い成績で卒業した新開曹長。
合気道をする朝比奈1曹。
警務隊から空挺団に移った経歴で、元暴走族の由利1曹。
トップクラスの射撃の名手だが、
実戦では人を撃てない津久田2曹。
車両の専門家梶谷士長。
元水泳選手の市ノ瀬1士。
そして、氏族長の娘アスキラ。

とにかく展開が早い。
アスキラを受け入れた途端、敵の攻撃を受けるのが18ページ。
物語が始まったばかりだ。
映画で言えば、冒頭3分間で戦闘シーンが始まる。
観客、いや読者の心を鷲掴み。
その状態が終わりまで続く。

その後も、地下遺跡の中の潜伏を発見した敵が
ガソリンを注ぎ込み、火をつけたあぶり出しからの脱出。
敵の車を奪って逃げる間に雨が降り、
ワジ(涸れ川)が濁流と化して行く手をはばむのを
渡河する最中に敵に追いつかれ、銃撃を受ける。
半遊牧民の村でのわずかな安らぎ。
その村も一行が去った後、襲撃され、
戻った隊員が戦闘に巻き込まれる。
廃墟の町では
ハムシンという高温を伴う砂塵嵐に襲われ、
その中で敵と死闘する。

こうした逃走の間に
氏族間の闘争の原因が
石油の利権争いだったことが判明する。
同じ曹長同士の友永と新開の確執、
自衛隊内でのいじめに伴う
梶谷と由利の遺恨も明らかになる。
そして、敵を撃てなかった津久田2曹が
ついにその銃撃技術を発揮する。

その中で、一人二人と隊員を失い、
最後は大軍に町を包囲されての脱出の危機となる。

次から次への見せ場の連続で全く読者を飽きさせない。
ページを止めることが出来ないとはこのことだ。

そして、背後には、
自衛隊が交戦できないという現実の縛りが横たわる。
本編中、
初めて敵に銃弾を発射した自衛隊員、
初めて戦死者を出した自衛隊として描写されるが、
それも終わってみれば、
すべて隠蔽される。

安保法制を巡る騒動の後、
現実の世界の有様を知るには適切な一篇。

欠点を言えば、
「土漠の花」であるアスキラがそれほど魅力的には描写されていないことと、
梶谷と由利の遺恨はおまけに思える。

しかし、全編戦闘シーンでありながら、
適切な描写と人間性で
読者の心を鷲掴みにする傑作である。

プロモーションビデオは、↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?v=E2RYW8fFe-Q&feature=player_detailpage





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