『バケモノの子』  映画関係

〔映画紹介〕

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日本のアニメの山脈の一つの頂点が宮崎駿だとすると、
もう一つの山がその頂きを高くしつつある。
細田守がそれだ。
「サマーウォーズ」(2009)、「おおかみこどもの雨と雪」(2012)など、
独自の世界を築いて広がりを見せる。
その新作「バケモノの子」で
また一つの世界を構築してみせた。

二人暮らしの母親を交通事故で亡くし、
親戚に引き取られることを拒絶した少年・蓮(れん)は、
ひとりぼっちで渋谷の町を彷徨している時、
バケモノの熊徹(くまてつ)に出会う。
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渋谷と重なる異空間にさ迷いこんだ蓮は、
そこで熊徹が自分と同じひとりぼっちであることを知って
弟子入りし、九太(きゅうた)という名前をもらう。
偏屈な熊徹とケンカしながらも、修行を続ける間に
孤独な二人の魂は寄り添い、
疑似父子の関係が深まっていく。
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17歳になった時、
元の渋谷に戻った蓮は、
実の父と再会し、
知り合った楓という少女と交わっていく。

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異空間に戻った九太を
ある行事が待ち受けていた・・・。

まず、渋谷と異世界「渋天街」(じゅうてんがい)が
重なり合っているというアイデアが秀逸
渋谷という町は、その名のとおり谷底の町で、
霊気がこもっていると言われている。
細い路地や不思議な裏通りがあり、
まさしく、そのどこかに異世界への入口が口を開けているような町だ。

その見慣れた渋谷の町が
アニメの中に描かれると、
不思議に魅力的な光景となる。
まるで魔法がかかったようだ。
町のネオンや看板も実名のまま描かれ、
ああ、ここはあの道、ここはあの通りと分かりつつ、
その細道の一つが
パラレルワールドに住むバケモノたちの世界への
門になっているような気がしてくるから不思議だ。

バケモノたちの世界が細かく造型されているのも魅力で、
熊徹と九太が修行で訪れる様々な土地の様子が素敵だ。
エンドクレジットに中島敦の名が見られるが、
それを彷彿とさせる。

しかし、何と言っても
熊徹のキャラクターがよく、
やさしさを素直に表現できずに、
乱暴な口をきいて、ケンカっ早く、
それでも九太の間に芽生える「親子」の絆が愛おしい。
そのあたりが子ども向きアニメで終わっていない。

熊徹の声の役所広司はさすがの出来、
楓役の広瀬すずの声もなかなかいい。

しかし、熊徹のキャラクターは
およそバケモノ界を治める宗師(そうし)には
なりたがらないのではないか。
何か別の対決に出来なかったのか。
また、なぜ「白鯨」なのか、
という点は疑問に残るが、
ビジュアル的には派手になった。
渋谷の町の道路をクジラの影が進むシーンは出色。
猪王山との対決シーンの競技場の造型も見事。

孤独な魂と魂が触れ合って、
共に成長していき、
最後はダイナミックな活劇で閉じる、
まさに王道エンタテインメントで、楽しめた。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=yjzLfF9Cgg4


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