『グローリー/明日への行進』  映画関係

〔映画紹介〕

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マーティン・ルーサー・キング・Jr. の指導による
アラバマ州セルマから州都モンゴメリーへの
黒人の投票権に関わる行進を描く。

当時公民権法は施行されたものの、
黒人の投票権は保証されていなかった。
人頭税など、投票の前提となる規制が強すぎて、
有権者登録ができない状態だったからだ。

セルマの行進は
この投票権の確立を求めたもので、
最初の行進では警官隊の暴力によって阻止された。
しかし、その様子が「血の日曜日」として
全米のテレビで放送されたことによって、
白人層の共感を呼び、参加者が増え、
政府を動かすことになる。
その背後でのジョンソン大統領とキング牧師の交渉、
阻止しようとするアラバマ州知事の動きなどを交えて描く。
また、キング陣営の中での対立や
キング牧師の家庭での問題も人間的に描かれる。

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キング牧師を扱った映画はこれが初、
というのだから意外な気もする。
血の日曜日の描写は
警官隊が警棒で老若男女を問わずめった打ちにし、
催涙ガスや水を浴びせかける光景を
ドキュメンタリーのような迫真性をもって描かれる。
黒人女性監督エバ・デュバーネイの演出力が大きい。

やがてジョンソン大統領によって
1965年8月、投票権法が成立し、
再度行われたモンゴメリーまでの行進は
妨害もなく州都にたどり着く。

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キング牧師を演ずるデヴィッド・オイェロウォ
見事なキング像を造型してみせる。
「大統領の執事」で、
執事の息子で公民権運動に身を投ずる役を演じているのも興味深い。
また南部人リンドン・B・ジョンソン大統領を演ずるトム・ウィルキンソン
人間臭く大統領を演ずる。
頑固な差別主義者であるアラバマ州知事ジョージ・ウォレスを演ずる
ティム・ロスもはまり役。

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キング牧師を含め、演技陣は英国系で占める。

キング牧師の取った抗議の方法は徹底した非暴力。
圧倒的な力を持つ国の暴力に力で対抗してはかなうはずがない。
そこで、合法的にデモを行い、
官憲による暴力をテレビで報道させて
味方を増やし要求を通す。
まさにテレビ時代の方法だ。

それとキング牧師の武器は「言葉」の力。
「I have a dream」で始まる演説が有名だが、
映画の中の演説も圧倒的で、
この人物が稀代の演説家であり、煽動者であることが分かる。

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映画の中の演説は、
実際の演説かと思ったら、
新たに創作したものだそうだ。
というのも、
キングの演説はドリームワークスとワーナー・ブラザーズが
映画企画のために権利を取得しており、使えないからだ。
監督のデュヴァーネイはキングの演説を聴き込み、
著作権侵害にならない範囲で
実際の言葉を思い起こさせる演説の執筆をしたのだという。
この作られた演説が聞きどころで、
胸をゆさぶるからすごい。

エンドクレジットで、
アカデミー賞主題歌賞を獲得した「Glory」が流れるが、
ジョン・レジェンドコモンの歌うこの歌が
字幕付きで見ると、
信仰に根ざした歌詞であるとよく分かる。

主題歌を英語歌詞付きで聴きたい方は、↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Yq0WPDSRf_8

差別が吹きあふれるアメリカ南部の状況が
わずか50年前のことであると思うと、
感慨深い。
そして、いわばアメリカの恥部をこうして映画にする
アメリカ映画の健全さも思わされる。
史実を基礎にしたアメリカ近代史を描く骨太作品
必見である。

5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?v=xRGscLLlfaw&feature=player_embedded


これで、ようやくアカデミー賞作品賞候補の8作品を全て見た。
どれも粒で、
私の5段階評価で「4.5」は
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
「博士と彼女のセオリー」
「グローリー」
「4」評価は、
「アメリカン・スナイパー」
「6才のボクが大人になるまで」
「イミテーションゲーム エニグマと天才学者の秘密」
「セッション」
「3」評価が
「グランド・ブダペスト・ホテル」
やはり作品賞候補はダテじゃない。

このブログでの感想は↓をクリック。

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20150412/archive

「博士と彼女のセオリー」↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20150325/archive

「6才のボクが大人になるまで」↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20141123/archive

「セッション」↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20150422/archive


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