『バードマン』  

〔映画紹介〕

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正式な題名は、
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」という。

先の2014年度アカデミー賞作品賞受賞作
のみならず、監督賞、脚本賞、撮影賞という主要4部門で受賞。
期待し過ぎて失望するのではないかと心配したが、
「たくらみ」に満ちた映画で、
大いに満足した。

舞台はニューヨークのブロードウェイ。
リーガン・トムソンは落ち目のハリウッド俳優。
かつては「バードマン」というビッグヒット映画で
主役のスーパーヒーローを演じた大スターだったが、
それ以降ヒットに恵まれず、
既に20年以上が経過。
60代になり、
家庭でも失敗したリーガンは
「昔、バードマンを演じた俳優」という
過去の栄光から脱出出来ずに、
もがき苦しむような生活を送っていた。

リーガンは再起をかけて、
ブロードウェイ進出という無謀な決断をする。
レイモンド・カーヴァーの短編小説
「愛について語るときに我々の語ること」を脚色し、
自ら演出と主演を務めることにしたのだ。

リハーサルの最中、
俳優の一人がケガで降板し、
その代役として、実力派のマイク・シャイナーが選ばれる。
マイクは俳優としてあふれる才能に恵まれていたが、
その分自己中心で、身勝手な言動に振り回され、
同時に、舞台制作を通して
自身の抱える根深い問題と直面することになったリーガンは、
自分を嘲る心の声(バードマンの声)に悩まされるようになる・・・

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リーガンを演ずるのがマイケル・キートンというのが配役の妙。

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マイケルはかつて「バットマン」を演じて大ヒットを飛ばし、
その後はやや精彩を欠いた役者人生を送っていたからだ。
そして、マイクには、まさに実力派のエドワード・ノートン
この二人の対決が見物。

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更にマイケルの付き人として、
薬物療法をほどこされている娘サムにエマ・ストーン

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マイケルの相手役女優に
売れない女優役が多いナオミ・ワッツ
中でもマイケル・キートンは自身を反映させたかのような
入魂の演技を見せ、
主人公の心の中の憂愁と焦燥、孤独、そして悪夢を体現する。
アカデミー賞主演男優賞は「博士と彼女のセオリー」の
エディ・レッドメインに奪われたが、
二人受賞をさせてあげることが出来るなら、
マイケル・キートンにもオスカーを進呈したいほどだ。
エドワード・ノートンとエマ・ストーンも
アカデミー賞助演賞候補にノミネート。

監督は「アモーレス・ペロス」や「バベル」の
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
毎回ユニークなドラマ作りをする監督だが、
今回はワンカットに挑戦。
1シーン1カットなどという生易しいものではない。
編集のつなぎ方の工夫で、
映画全編をワンショットに見せているのだ。
私は、引きで固定の長回しは
芸が無くて、大嫌いだが、
この映画のようにステディカムのカメラを駆使しての
移動長回し大好物である。
他の映画では「あれ、今のシーン、ワンカットだったんじゃないか」
と思って後でビデオで確認したりするが、
この映画は全編長回し。
最後の方で若干のカット割をするが、
これは物語の進行上必然性がある。

長回しが可能になったのは、
「ゼロ・グラビティ」で宇宙空間の長回しを実現した
エマニュエル・ルベツキが撮影監督だからだ。
彼は宇宙での長回しを実現した「ゼロ・グラビティ」と本作で
2年連続でアカデミー賞撮影賞を獲得している。
長回しは入念なリハーサルの上に成り立つ
映画の「たくらみ」。
撮影時の緊張感が伝わって来る。
こうして、カメラは劇場の楽屋から廊下、舞台、
そして劇場の外のタイムズ・スクエアへと移動し、

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近くのビルの屋上から飛翔し、
再び劇場に戻って来る。

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ルベツキによると、
本作が1回の長回しで撮影されたものだと観客に思わせるために、
カメラワークと編集には非常に高度な技術を要したという。
聞けば、長回しという方法は
監督のアイディアの中に最初からあったのだが、
「権力を持ち」「発言力のある」人々が
長回しによる撮影に反対したとのことだ。

始終鳴り響くドラムの演奏
劇的効果を上げる。

ブロードウェイのシーンは
ニューヨーク44丁目にある
セント・ジェームズ劇場とその周辺で撮影された。
44丁目と言えば、
「オペラ座の怪人」を上演しているマジェスティック劇場があり、
その隣にはブロードハースト劇場、
「マチルダ」を上演しているシューベルト劇場がある。
その向かいにヘレン・ヘイズ劇場と並んで
セント・ジェームズ劇場があるわけで、
ブロードウェイの中でも最も劇場が密集した場所だ。

ネットのレビューでは辛口の感想が多く、評価は低い。
中には酷評もあり、
意外に観客を選ぶ映画ということかもしれない。
しかし、アカデミー賞作品賞受賞作、
などと構えず、素直に観れば、
こんなに面白い映画はないと思うのだが。

5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://www.youtube.com/watch?v=_XOBBmyYNJA&feature=player_embedded






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