『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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最近、「日本が好きだ」「日本はすごい」
という本や番組が流行りだそうだ。
この本は、そのはしりとも言える本。
2011年1月の発行だから、4年前。
そういえば、今ほど
自分の国に好意的な論調はなかった気がする。

冒頭、手書きの「この本を手に取った方へ」で、このように書く。

アメリカ人はアメリカを愛しています。
韓国人は韓国人を愛しています。
でも、日本人は、なんだかそうではない。
自分の国を愛せなくなっている人、
または自分の国をよく知らない人が増えている気がします。
僕はそれが悲しくて、
日本人に「日本はこんなに誇れる国だ」と
分かってほしくて、
だからこの本を書きました。

まさに、そのとおりで、
「日本を愛する」とか
「愛国心」とか言うと
なぜか罪悪感、
よくても気恥ずかしいものがあった。

「外国に行くと、日本の良さが分かる」
とよく言うが、
私もそのとおりだと思う。
日本ほど美しく、豊かで、便利で、
そして国民は礼儀正しく、真面目な国はない。
日本ほど幸福にあふれた国はないというのに、
住んでいる人々がそれを実感していない。
それはいろいろな理由があるが、
一つには、日本人が日本のことをあまり知らない、
ということがあげられる。
日本の良さが住んでいる人間には
当たり前すぎて、
実感できないこともある。
そこで、この本をお奨めする次第。

構成は、次のとおり。

序 章 世界でいちばん人気がある国「日本」
第1章 頂きます(いただきます)
     ──「ミシェランガイド」が東京を絶賛する理由
第2章 匠(たくみ)
     ──世界が愛する日本のモノづくり
第3章 勿体無い(もったいない)
     ──日本語には原始日本から継承されてきた『和の心』が宿る
第4章 和み(なごみ)
     ──実はすごい日本の一流外交
第5章 八百万(やおよろず)
     ──大自然と調和する日本人
第6章 天皇(すめらぎ)
     ──なぜ京都御所にはお堀がないのか
終 章 ジャパン・ルネッサンス
     ──日本文明復興
巻末対談 日本は生活そのものが「芸術」だ
     ──天皇から派生する枝葉のなかに我が国の文化はすべてある!
            (北野武×竹田恒泰)

序章では、冒頭、
2006年の英国のBBC放送局が
33カ国で約4万人を対象に行った世論調査
「世界に良い影響を与えている国」の結果が提示される。
最も高く評価された国(1位)は日本だった。
その後も3年連続で日本は1位を維持し、
2009年の調査では4位に落ちたが、
翌2010年の調査では2位に評価された。

国別に見ると、日本に対する評価で
否定が肯定を上回ったのは2カ国のみ。
もちろん中国と韓国である。
この2カ国が足を引っ張っているにもかかわらず、
高い順位を確保しているのだから、
その他の国での日本の評価がいかに高いかが分かろうというものだ。

第1章では、
ミシェランガイドの評価を提示する。
2008年の評価が発表されると、
衝撃を受けたのはパリの美食家だったという。
星付きの総軒数がパリ74軒に対して
東京は150軒と上回り、
総星数もパリ107個に対して東京191個。
2010年版では三つ星の店数も
パリ10軒に対して東京11軒と上回ってしまった。

東京がパリを上回る美食都市であることは、
私の目にはむしろ当然に思える。
東京が世界一の美食都市に「なった」のではなく、
欧州人がようやくその事実に「気付いた」と表現するのが正しいのではないか、と筆者は述べる。
東京が美食都市であることは、
ミシェランの星の数だけではなく、
飲食店そのものの数からも窺える。
都市にある飲食店の数は、
パリが1万3000軒、
ニューヨークが2万5千軒であるのに対して、
東京は16万軒に上る。

そして、星が付いた197軒のうち、
132軒が日本料理店であることから、
日本食が高く評価された結果だとし、
その日本食は、
専門店に細分化されていると指摘し、
その原因は日本の食材、
特に魚の種類の豊富さ
が関係していると指摘する。

食材の種類が少ないと料理の種類もおのずと限定されるからだ。
英国料理、ドイツ料理、オランダ料理、スイス料理などは
種類が少なく、
日本人だったら数日で飽きてしまうに違いない。
まして米国には料理文化はないといっても差し支えなかろう。
しかし、それらはまだ良い方だ。
アラブの料理の少なさは、
米国人ですら驚くほどだ。
ドバイのような特殊の都市は例外としても、
およそアラブの世界では
地元の料理しか口にできない地域が多い。
しかも、気候条件が厳しく
野菜が高価なため、
おのずと料理の種類は限定されてくる。
筆者はイラク滞在中に毎日、
地元の名士に食事に招待されたが、
どこに食べに行っても
種類の少ない同じ料理しか出てこなかった。
イエメンはさらにひどく、
豆を煮込んだものを食べる他に選択肢はなかった。

これは、かなりの旅行をしている私も実感する。
アラブではないが、
モロッコでは毎食同じ印象だったし、
ヨルダンでもオランダでも食事はおそろしく限定されていた。

その料理の専門性の原因として、
筆者は日本人の「こだわり」をあげる。

日本人は何にでもこだわりを持つ性質があるようだ。
物事を徹底的に突き詰め、
道を究めようとする姿は、
料理の世界でも同じで、
料理人たちが料理を突き詰めるほど、
日本料理は料理ごとに専門化してきた。
異邦人が16万軒の専門店が並ぶ
東京の景色を見たら、
驚いて当然だろう。

料理を究めるためには、
一朝一夕でできるわけではなく、
日本人の長い料理の歴史がある。
筆者が指摘する
人類最初の調理の起源は興味深い。
すなわち、煮る、炊く、蒸すといった料理の基本は
土器があって初めて可能で、
その世界最古級の土器は青森県で出土しているのだ。
日本における調理の歴史はフランスや中国のそれより数千年長いのである。
世界四大文明が発生する何千年も前のことである。

日本人が料理を究めたことと、
日本人の先祖が人類で最初に料理したことは
無関係でないように私には思える。

そして、米に対するこだわりも、
日本人が料理を究めてきた一つの要素だという。
稲作文化と共に神道が発展し、
それが料理の深い根底にあるのだという。

古来、日本人にとって
食事をすること自体が神事だった。
食事は神からの賜り物で、
料理はいったん神に供え、
祈りを捧げてから、
お下がりとして頂くものだった。
料理そのものがすでに神なのである。
したがって食事をすることで、
神と人が一体になると考えられてきた。

神社では二拝二拍手一拝の作法で参拝するのが通例だが、
食前と食後に、
食事に向かって一拝一拍手するのが
日本における食事への感謝の作法である。

なるほど、そういう意味があったのか。

「給食の時間に、
うちの子には『いただきます』といわせないでほしい。
給食費をちゃんと払っているんだから、
いわなくていいではないか」
と学校に申し入れた母親がいたそうだが、
こんな親に育てられる子どもがかわいそうだ。

食前感謝と食後感謝は、
人が人として生きるうえで、
神々、大自然、食材、生産者、料理人などに
感謝する美しい日本人の作法である。
宗教色だの代金だのとやかくいう前に、
日本人としての最低限の振る舞いをすべきではないか。

以下、匠み、勿体無い、和み、八百万、天皇と
日本の素晴らしさを示す記述が続く。
そうした日本の大自然に根ざした素晴らしさを
近年、異邦人が気づき始めた
と著者は強調するのである。

そして、日本が世界最古の国であることにも言及する。

言われてみれば、確かにそうである。
国家が興亡した欧州や
王朝が入れ替わったアジアやイスラムと比べ、
日本は大和朝廷以来、
一貫して国家として保ってきた。
明治維新を乗り越えて外国の植民地にもならず、
敗戦によっても国家を維持してきた
その世界最古の国の存在価値が
欧米の人々にもようやく認識されてきたのだ。

そして、戦後の経済発展を通じて、
世界第2位の経済大国にのぼりつめ、
人口の多い中国に抜かれたものの、
今もGDP世界第3位に位置する。
物作りに励み、
日本製と言えば、
高品質の代名詞のようになり、
日本料理が世界を席巻しつつある。
そして、アニメやファッションで発信する
日本の文化が世界に受け入れられている。

テレビ番組の「Youは何しにニッポンへ」を観ると、
おびただしい外国人が
日本の良さを求めて来日する姿が見られる。
彼らは日本人以上に日本の良さを知っている。

自然と融和し、
和の精神を尊み、
勤勉さに富み、
高い美意識に満ちた日本の価値を
ようやく世界が認めたのだ。

ようやく分かった。
中国や韓国がなんとか日本を貶めようとするのは、
嫉妬から来ているのだと。
東アジアの三兄弟の末弟が
世界で尊敬され、好かれているのが我慢ならないのだ。
そして、戦後の日本は非の打ちどころがないことから、
70年以上前のことを持ち出して
日本を非難するしかないということを。

しかし、そういう日本人の良さが
段々失われつつあることに
筆者は警鐘を鳴らす。

かつての日本人は
貧しくとも楽しく、
貧しくとも清潔に、
貧しくとも礼儀を重んじ、
そして貧しいからこそ勤勉に働きよく学ぶ、
そんな集団だった。
よく「衣食足りて礼節を知る」というが、
そのころの日本人は
「衣食足りずとも礼節を知る」人たちだったのである。

世界最古の国家を担う日本人の一人一人が
この稀有の国を支える心構えが必要とされている。






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