『満願』  書籍関係

北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を描くコメディー映画
「ジ・インタビュー」を制作した
ソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃について、
アメリカ政府は
「北朝鮮が国として関与した」と明言した。
オバマ氏は、ソニーが上映中止を決めたことについて、
「彼らは間違いを犯したと思う」と述べた。
更に、
「我々はアメリカにて、
どこかの国の独裁者が検閲を課すような状況を
看過することはできない。
アメリカ国民も、そしてアメリカという国自体も、
そうした状況を許すことはできないと考えている」
と言っている。

まさに、「アメリカはテロリストとは交渉しない」
というアメリカのコンセプト通り。
それと共に、
創作物、広い意味の文化に対する自由度ということにも関係するだろう。
なにしろ、「エンド・オブ・ホワイトハウス」では
北朝鮮がホワイトハウスを占拠するなどという
映画が堂々と作られる国なのだ。
それに対してアメリカ政府が抗議声明を出したら、
アメリカ社会は笑うだろう。

そこで思い出すのは「ジャッカルの日」のこと。
ド・ゴール大統領を暗殺するために
熟達のスナイパーがフランス国内に潜入する話だが、
この小説や映画に対して
フランス政府が抗議したという話は聞かない。

要するにエンタテインメントに対する
寛容性・受容力・包容力
の問題なのだが、
北朝鮮という国には、
そのような寛容性は期待するのが無理だったようだ。

そういえば、昔「ブラック・サンデー」という映画が
イスラムのテロを恐れて
劇場公開が中止になった例もある。

なお、ソニーは、
テロに屈したわけではなく、
上映予定だった映画館が上映を取りやめたために
公開中止を決定したのだ
という声明を発表している。

私はこの映画、観てみたい。


今日は朝から渋谷に出掛け、

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例のごとく映画のハシゴ
1本はクソ映画、
もう1本は興味津々のドキュメンタリーでした。

その合間に、↓のすき焼き食べ放題

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ランチで安いですが、
冷凍の輸入牛肉で、
かなり薄く切ったシロモノでした。

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↓は渋谷の地下街

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56年前の昭和58年、
初めて東京に出て来て、
ここに入り、
地下に商店街があることに
びっくり仰天したことを覚えています。


〔書籍紹介〕

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2015年版「このミステリーがすごい! 」第1位
2014「週刊文春ミステリーベスト10」第1位
2015年版「ミステリーが読みたい! 」第1位
と、ミステリー年間ランキングで3冠に輝いたもの。
山本周五郎賞も受賞している。

「小説新潮」「小説すばる」などに掲載された
6編の短編を収録。
そのいずれも
精緻な構造を持った上質のミステリー

夜警
ホステスのヒモがナイフを振り回しているとの交番への通報で
かけつけた3人の警官。
逆上して襲って来るヒモに対して
一人の警官が発砲する。
しかし、本人も首を刺されて死ぬ。
「こんなはずじゃなかった」
「上手くいったのに」
という言葉を残して。
警察葬の後、
交番長の柳岡は死んだ警官の兄を弔問し、
警官が兄に送ったメールを聞き、
ある疑念が沸き起こる。
周到に置かれた伏線が
最後の瞬間に生きて来る。
短編の面白さを感じさせる一篇。

死人宿
失踪した恋人の行方が分かり、
訪れた山間の旅館。
そこは火山性ガスを吸って自殺する人が多いことから
「死人宿」と呼ばれていた。
主人公の他に3人の宿泊客がおり、
風呂の脱衣所に遺書のようなものが落ちていたことから、
今は仲居をしている恋人と共に
誰が自殺願望者かを知るための探索が始まる。
それは恋人が失踪する原因を理解してあげられなかった
主人公の苦衷を解放することであり、
恋人の不信を解くことでもあった・・・
自殺願望者が判明した後、
見落としていた手がかりが明らかになるが、
ふ〜ん、といった程度。

柘榴
女性を惹きつける魅力はたっぷりあるが、
生活力のない夫との離婚を決意したさおりは
親権のことで悩んでいた。
中学生の娘二人は書店で親権のことを知り、
ある行動に出る。
裁判所で出された審判の結果は・・・
種明かしは意外だが、
少々無理のある内容。

万灯
バングラデシュで天然ガスのプロジェクトに取り組んでいる商社マン伊丹は、
ガス輸送の要であるボイシャク村を訪れるが、
村の指導者の一人アラムの反対で計画は頓挫する。
再びボイシャク村を訪れた伊丹は
再びアラムの強硬な反対を受けるが、
村に利益誘導したい他の長老たちの差し金で
ライバル商社の森下と組んで
アラムを自動車で轢き殺してしまう。
おじけづいた森下は東京に戻るが、
事件の発覚を恐れた伊丹は森下の後を追い、
ホテルの地下駐車場で撲殺してしまう。
しかし、その結果、
思わぬ「裁き」に遭う。
ある点で置かれた伏線が
最後に見事に生きてくる一篇。

関守
雑誌の都市伝説特集を担当したライターは、
先輩の奨めで
伊豆半島の桂谷峠に取材に出かける。
4年間で4件の崖下落下事故が同じ場所で起こっている謎を取り扱うためだ。
現場に向かう途中、ライターはひなびたドライブインに立ち寄る。
ドライブインを経営している老婆は、
事故を起こした4人のドライバーのことをしっかり覚えていた。
老婆から事件のことを聞きながら、
ライターは事件の真相に迫っていくが・・・
4つの事件が一点に収束していく手際が鮮やか。
6編中、最も巧緻な構造を持った作品。

満願
弁護士の藤井は
学生時代世話になった下宿先の鵜川妙子の弁護を引き受ける。
夫が借りた金貸しを殺したかどで告訴されたのだ。
しかし、妙子は夫が死んだ時、
控訴を取り下げ、刑に服する。
刑を終えて出所した妙子から電話が入り、
再び藤井は事件全体を眺めてみる。
大切にしていた掛け軸に飛んだ血の跡から
妙子が殺人を犯したわけが浮かび上がって来る・・・
松本清張の「3年待て」を彷彿とさせる内容だが、
殺人をする動機としてはちょっと。
夫の借金に妻は支払い義務がないことを忘れている。

というわけで、
6編は全てジャンルも登場人物も違う
この作者の幅広さ、豊富な引き出しを感じさせる小説群だ。
そして、どの小説も流麗な文章としっかりした構成で
伏線がちりばめられ、
最後の数ページで
予測不能な結論に至る。
まさに短編小説、
いや短編ミステリーを読む醍醐味を感じさせる。

先の直木賞候補作。
ただ、内容に重大な事実誤認があり、
選考委員の辛口な評価もあって、
受賞には至らなかった。


これで先の直木賞の候補作全作読破
順位は、
第1位 黒川博行「破門」〔受賞作〕
第2位 米澤穂信「満願」
第3位 伊吹有喜「ミッドナイト・バス」
第4位 貫井徳郎「私に似た人」
評価外 千早茜「男ともだち」
同   柚木麻子「本屋さんのダイアナ」
                                        

それぞれのブログでの感想文は、それぞれ↓をクリック。

黒川博行「破門」
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20140822/archive

伊吹有喜「ミッドナイト・バス」
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20140903/archive

貫井徳郎「私に似た人」
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20140910/archive

千早茜「男ともだち」
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20141028/archive

柚木麻子「本屋さんのダイアナ」
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20141105/archive






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