『破門』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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先の直木賞受賞作

読書感想レビューを見ると、
「直木賞だから読んだ」
「この作家は初めて」
という感想が多い。
かく言う私も、この作家は初めて
実は第138回の直木賞候補作「悪果」を読んだものの、
関西弁の刑事たちを描く作風が体質に合わなく、
3分の1で放棄した経験がある。

主人公は「建設コンサルタント」と称して、
ヤクザと建築業者のモメ事処理業をしている、
一応堅気の二宮。
腐れ縁の桑原にそそのかされて
小清水という映画プロデューサーの話に乗っかる。
ところがこの小清水という男が
各方面から集めた製作資金を持ってドロンをしてしまう。
その出資金には、桑原が所属する
中堅暴力団二蝶会の若頭・嶋田の出資した2600万円も含まれていた。
その上、小清水が製作委員会名で振り出した手形の決済で
滝沢組から嶋田に返済を迫られる。
そこで、桑原と二宮の小清水の追跡が始まる。
小清水の拉致監禁、逃走と追跡が続き、
関西のみならず、香港、マカオまで飛び火し、
資金をめぐる争いは
やがて組同士のトラブルに発展、
桑原にも絶体絶命の危機が訪れる・・・。

読んでる間はとにかく面白い
小清水追跡の知恵が桑原の頭から次々と出て来るのが鮮やか。
二宮は桑原との関係を絶ちたいと思っているが、
蜘蛛の巣のような桑原の計略にまんまとはめられていく。
桑原と二宮との間に交わされる
会話が抜群に面白い。
面白いが下品で猥雑。
従姉妹の悠紀との関係、
インコのマキの描写が可愛いが、
全編金、金、金の金の亡者の騙し合いの話。
私の肌には合わないから、
直木賞受賞作でなかったら読まなかっただろう。

結局桑原は二蝶組から「破門」の処分を受けるのだが、
続編が続くことは歴然としている。
元々、これはシリーズの5作目
かと言って、シリーズの他の作品を読もうという気は起きない。
せいぜい二人が北朝鮮に潜入する「国境」くらいか。

読んでいる間は面白いが、
後には何も残らない。

著者へのインタビューで、
「作品を通して伝えたいメッセージってなんですか?」
と訊かれた作者は、あっさりと、
「全くない。もともとないからね。
4〜5時間、その時間楽しんでもらえれば」
と答えているから、
そのあたりは潔い。

これが直木賞か、という気もするが、
著者にとっては6度目の直木賞候補
1996年 カウント・プラン
1997年 疫病神
1999年 文福茶釜
2001年 国境
2007年 悪果
以来、7年ぶりの候補なので、
「そろそろ」「ご苦労さん」
でもらった賞、という感じがする。

関西の極道の状況を知りたい人、
4〜5時間のエンタテインメントに浸りたい人、
下品な関西弁に耐えられる人は、どうぞ。





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