『青天の霹靂』  映画関係

〔映画紹介〕

場末のマジックバーで働く、
売れないマジシャンの轟晴夫。
今日も、最近テレビに出始めた後輩マジシャンに馬鹿にされ、
くさっている。
母親には見捨てられ、
父親とは高校以来関係を絶っており、
水漏れのするアパートで
一人カレー食べる惨めな毎日だ。
自分が「特別」と感じられた日々はとっくに過ぎている。

そんな時、父親の正太郎が
ホームレスになり、死んだとの知らせが入る。
警察で遺骨を受け取り、
父が住んでいた線路下のダンボールハウスを訪れ、
自分の人生の惨めさを嘆いていると、
稲妻が晴夫を直撃する。
目覚めた時は40年前

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タイムスリップした彼が足を踏み入れた浅草の演芸ホールで、
マジシャンだった父と助手をつとめる母に出会う。
小屋主の勧めで
父と「ペペとチン」というマジックコンビを結成した二人は
次第に演芸ホールで人気者になっていくが・・・

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お笑い系の監督作品は、
「ハチャメチャが許される」というような
「逃げ場」が用意されていて好きではないが、
この劇団ひとり作品は違った。
もちろんタイムスリップという荒唐無稽なものだが、
ちゃんとドラマとして成立している。
それは、自分の父母の愛情と自分の生という
ドラマの肝がしっかりと捉えられているからだ。
そして、父と母にもあった青春の一ページに触れる、という
人間存在の輝ける瞬間に
立ち合うという極限状況が描かれる。

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「母親は男と一緒に出て行った」
と父親から聞かされて
恨んでいた母親が
実は命懸けで自分を生んでくれたという事実に直面し、
自分の人生を呪っていた晴夫に転機が訪れる。
母親と生まれて来る子(実は自分)の将来について語り合う場面が
見どころだ。
柴咲コウが良い表情を見せる。

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そして、自分自身の誕生と共に
その世界から姿を消さなければならない晴夫が
最後のオーディションで
素晴らしいマジックを披露する場面は、
母親の出産シーンと重なって涙なしには見られない。
この時の大泉洋の表情の晴れやかなこと。
最後の一輪のバラの花の演出はなかなかいい。

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また、昭和という時代を扱いながら、
それに淫することなく描いたのは、
監督のセンスだろう。

ラストの意外な結末
期待せざるハッピーエンドだが、
この後の父子関係がうかがえてさわやかで味のあるものだ。
父と子が初めて和解する瞬間の
描き方もいい。

自分の原作を自分で映画化し、
更に自分で出演するなど、
無謀とも言えるが、
しかし、見事にクリアした。
様々な先行作品がある中、
新鮮味はないが、
余韻が心に残る、
新たな才能の登場を予感させる良作である。

5段階評価の「4」

予告編は、↓をクリック。

http://www.youtube.com/watch?v=6l438JVN-4k&feature=player_detailpage


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