『ウォルト・ディズニーの約束』  映画関係

〔映画紹介〕

クリックすると元のサイズで表示します

名作「メリー・ポピンズ」の映画化にあたり、
ディズニーと原作者P. L. トラヴァースとの間にあった
バトルを描く──
「メリー・ポピンズ」をこよなく愛する私としては
観ずにはいられない。
待ちに待った公開初日の第1回に観た。
舞浜のシネマ・イクスピアリが
久しぶりに最前列まで埋まっていた。

英国の高名な児童文学を
ハリウッド、しかもディズニーが映画化する──
となれば、
当然英国と米国の文化的闘争にもなるわけで、
トラヴァース夫人が陰鬱なロンドンから
陽光あふれるロサンゼルスを訪問したあたりからそれは始まる。
宿泊先のホテルの部屋に満載の
ディズニー・グッズを
一つ一つ片づけ、
スタジオに出掛ければ、
ファーストネームで呼び合う習慣、
会議の場に持ち込まれるお菓子、
こうしたもの全てを拒絶するトラヴァース夫人の闘争。
協議内容の録音を求め、
「ミュージカルはダメ、
アニメもNO、
赤い色を使わない、
何故なら赤い色が嫌いだから」
と無理無体なトラヴァース夫人の要求。
役者に対しても
「ディック・ヴァン・ダイクが名優だなんて。
オリビエやバートンやギネスは名優だけど、
ディックは名優なんかじゃない」
と主張。
その一つ一つをなだめ、
「ならば、映画化はNG」
の切り札を恐れつつ、
脚本家と作曲家兄弟の
音楽付き読み合わせ。
進むにつれて不機嫌になるトラヴァース夫人。
てこずるディズニー。
こうした状況を面白おかしく描く。
ほとんどがディズニースタジオの会議室の中での展開で、
編中に使われた曲の数々が演奏されるのが、
「メリー・ポピンズ」を愛する者には楽しい。
中には、シャーマン兄弟の一人が名曲「2ペンスを鳩に」
ディズニーに初めて聞かせる場面など出て来る。(↓をクリック)

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=kyqUcTVJO4E

それに並行して描かれるのが、
トラヴァース夫人の少女時代の
父親の想い出

この過去の描写の中に
作品が映画化される秘密が隠されている、
という二重構造の作り。

原題は「Saving Mr. Banks」で、
「バンクス氏を救え」
その意味は終盤になって明らかになる。

その他、
トラヴァース夫人が自作に固執する姿を
ディズニー自身がミッキーの買収に応じなかった経験から理解を示したり、
などというシーンも出て来る。
また、ディズニーの子供時代の
辛かった過去も語られる。

「メリー・ポピンズ」の公開から50年の今年、
こういう裏話が映画になったことを喜びたい。
しかも、ディズニー自身の製作で。
(ただし、持ち込み企画)
ラストの完成披露試写のシーンでは、
熱い涙が流れてしまった。

とはいえ、
「メリー・ポピンス」の出来については、
原作者トラヴァース夫人自身は
不満を抱いていたというのが定説。
おそらく初めの方、
バンクス夫人の婦人参政権の歌あたりで腹を立て、
メリー・ポピンズとバートらが
絵の中に入る下りで
怒り心頭に達したと思われる。

しかし、映画は、まさに
ディズニーの世界観があふれるものになった。
そして、1964年度アカデミー賞では、
13部門ノミネートで5部門を受賞
(主演女優賞・編集・作曲賞・歌曲賞・特殊視覚効果賞)
ディズニー映画で初の作品賞候補にもなった。
(他に監督賞・脚色賞・撮影賞・美術賞・衣裳デザイン賞・編曲賞・録音賞で候補に)
なお、タイトルでは、
原作者としてとは別に
「コンサルタント」としてトラヴァース夫人の名前が出て来る。

そして、50年後、
トラヴァース夫人の精神的外傷にまで
勝手に立ち入ったこの作品。
本人が観たら、怒りのあまり卒倒するに違いない。
(1996年に逝去。
存命中だったら、
舞台版ミュージカル「メリー・ポピンズ」も
許可しなかったでしょう。)

しかし、映画は創作物。
「メリー・ポピンズ」もあれで
ディズニーの歴史に残る作品になり、
本作も味わい深いものとなった。
ただ、本作、
夫人の過去の部分を創作しただけ
虚構性が強くなって納得性が薄れ、
そこが各賞で全てノミネート止まりであった理由であると思われる。
トラヴァース夫人を演じたエマ・トンプソンは、
どうしてアカデミー賞にノミネートされなかったのか不思議なほどの名演技
映画の中の登場人物としては初となるディズニーを演じた
トム・ハンクスも意外やはまり役。

5段階評価の「4」

名曲「2ペンスを鳩に」のシーンは、↓をクリック。

http://www.youtube.com/watch?v=XHrRxQVUFN4&feature=player_embedded

歌曲賞を受賞した「チム・チム・チェリー」のシーンは、↓をクリック。

http://www.youtube.com/watch?v=Tee7C1EOvDQ&feature=player_embedded#t=14


ついでに一つ想い出話を。
66歳のいい大人の言うこととしてはちょっと恥ずかしいですが、
高校生の頃、
童話にはまった時がありました。
その時の愛読書は、
「星の王子さま」「クマのプーさん」
そして、「風にのってきたメアリー・ポピンズ」

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

当時は受験勉強の真っ只中で、
その最中に公開された「メリー・ポピンズ」を
大晦日の夜、有楽座で二度目の鑑賞。
「メリー・ポピンズ、
明日から僕は本格的な受験体制に入る。
しばらく君に会えないから、
最後に会いに来た」
とお別れを告げた。
翌日の新年からは、
テレビも映画も観ない生活。
そして、受験当日は、
小型版の「クマのプーさん」を
お守りとして、
シャツの下に忍ばせた。
今では赤面の至りですが、
懐かしい想い出です。



タグ: 映画




AutoPage最新お知らせ