『鑑定士と顔のない依頼人』  映画関係

〔映画紹介〕

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主人公は、天才的鑑定眼をもち、
世界中の美術品を仕切るカリスマ的オークショニア。
ただし、老人で、
偏屈な性格、人との接触を恐れ、
常に手袋をしている、独身男。
友人もいない。
これはと思う肖像画が出品されると、
相棒を使い、
不正な手段で自分のコレクションに加え、
自宅の秘密の部屋に
美女の肖像画を飾って、
それに囲まれて悦に入っている。

この主人公、ヴァージル・オールドマンという鑑定士に
ある時、
資産家の両親が亡くなり、
屋敷に遺された家具や美術品を査定してほしいという依頼が舞い込む。
だが、依頼人の女性は決してヴァージルの前に姿を見せようとはしない。
ヴァージルは、
依頼人の屋敷で歴史的名品の一部とおぼしき部品を発見してしまい、
この依頼を引き受けずにはいられなくなる。
屋敷に通ううち、
姿の見えない依頼人に少しずつ興味を抱き始める。
屋敷の隠し部屋から出てこない彼女と
壁ごしのやり取りを重ねるが、
ある時、帰ったふりをして、
物陰から、その若い女性を見て、
その美しい姿に惹かれてしまう。
広所恐怖症の彼女は家にこもり、小説を執筆している。
共鳴するものを感じたヴァージルは、
彼女と交流し、
すっかり魂を奪われ、
彼女と愛を交わし、
家に招いて美女の肖像画のコレクションを見せ、
オークショニアの生活からも引退を考えるが・・・

この話にオークションで手を組む元画家、
何でも機械を直してしまい、
ヴァージルの恋の指南役もつとめる技術者、
屋敷の前のカフェで数字に異常な感覚を持つ知的障害者の女性がからむ。
謎めいた展開、
美術品ではない、生身の女性に初めて心を奪われ、
からめ捕られていくヴァージル、
彼女の依頼の真意はどこに・・・

というわけで、
先の読めない展開に目を奪われる。
それと同時に美術品に対する
審美眼と現実の虚構との相剋も描かれる。

最後の十分間は
それまで描いていた世界をぐるりと回転してみせる。
まさに、予告編に言う、
「結末を知ると、物語の構図は一転する」
この時、重要な役割を果たすのが、
カフェの小人の女性。
この使い方は、うまい。
彼女の口から語られる事実は衝撃的だ。

背景に美術品の「本物と贋作」という主題が流れる。
並外れた審美眼を持つ超一流の美術品鑑定士でありながら、
現実の贋作を見抜けなかったヴァージル。
ヴァージルは、
「どんな贋作にも、どこか本物( の部分) がある」
「贋作というものも、実はひとつの作品だ。
そこにも画家は自分の跡を残そうとする」
と言い、
「贋作」の「本物」の部分に願いをかけざるを得ない。
彼女が話したプラハのレストランを訪れたヴァージルが
「お一人ですか?」というウェイターの問いに
「連れを待っている」と言うのにそれが表れている。
カメラが引くと、
時を刻む時計の群れの中にヴァージルの姿が溶け込んでいく様。
哀切なラストだ。

ヴァージルを演ずるジェフリー・ラッシュの演技が見事。
オークションでの相棒を演ずるドナルド・サザーランドもさすがの役どころ。
「海の上のピアニスト」の
ジュゼッペ・トルナトーレ監督が描く、
一味違ったミステリー。
仕掛けにあふれ、
映画を観る楽しみを感じさせてくれる一篇。
大人の観る映画で、お勧め

5段階評価の「4.5」


予告編は↓をクリック。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=2ysdD5IRANM



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