世界遺産考  耳より情報

「和食」「無形文化遺産」に登録された。
富士山の世界遺産登録と併せて、
めでたいことだ。

ところで、「世界遺産」と「無形文化遺産」とはどう違うのか。

日本人は他国の人に比べて、
「世界遺産」に対する思い入れが激しい、と言われる。
確かに旅行案内パンフレットには
「世界遺産」の文字が目白押し。
「10の世界遺産を巡る旅」
などという文字が踊る。

そこで、世界遺産とは何かを
改めてまとめてみた。

世界遺産は、1972年のユネスコ総会で採択された
「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)
に基づいて世界遺産リストに登録された、
遺跡、景観、自然など、
人類が共有すべき
「顕著な普遍的価値」
を持つ物件
のことで、
移動が不可能な不動産やそれに準ずるものが対象となっている。

2013年の第37回世界遺産委員会終了時点での
条約締約国は190か国、
世界遺産の登録数は981件(160か国)である。

日本は、先進国では最後の1992年に世界遺産条約を批准し、
125番目の締約国となった。
(ユーゴスラビア解体によって繰り上がったことにより、
現在は124番目)
日本の参加が他の国と比べて遅れたのは、
国内での態勢が未整備だったためとされるが、
他方で世界遺産基金の分担金拠出などに関する議論
が決着しなかったためとも指摘されている。

世界遺産はその内容によって以下の3種類に大別される。

文化遺産:文化遺産顕著な普遍的価値をもつ建築物や遺跡など。
自然遺産:自然遺産顕著な普遍的価値をもつ地形や生物多様性、景観美などを備える地域など。
複合遺産:文化と自然の両方について、顕著な普遍的価値を兼ね備えるもの。

世界遺産リスト登録までの流れは、次のとおり。

各国の担当政府機関が暫定リスト記載物件のうち、準備の整ったものを推薦

ユネスコ世界遺産センターが諮問機関に評価依頼
↓ ↓
文化遺産候補:国際記念物遺跡会議 (ICOMOS) が現地調査を踏まえて登録の可否を勧告。
自然遺産候補:国際自然保護連合 (IUCN) が現地調査を踏まえて登録の可否を勧告
↓ ↓
世界遺産委員会で最終審議

正式登録

登録される物件は不動産、
つまり移動が不可能な土地や建造物に限られる。
そのため、たとえば寺院が世界遺産になっている場合でも、
中に安置されている仏像などの美術品は、
通常は世界遺産登録対象とはならない。
ただし、
東大寺大仏のように移動が困難と認められる場合には、
世界遺産登録対象となっている場合がある。

日本の場合、
文化遺産候補は文化庁
自然遺産候補は環境省、林野庁
が主に担当する。
これに文部科学省、国土交通省などで構成される
世界遺産条約関係省庁連絡会議で推薦物件が決定される。
推薦物件は、暫定リストとして、
外務省を通じユネスコに提出される。

世界遺産登録基準
10項目あるが、省略。

第37回世界遺産委員会(2013年)終了時点で、
世界遺産は981件登録されているが、
その内訳は文化遺産759件、
自然遺産193件、
複合遺産29件である。

国別で見ると、
イタリア49件、中国45件、スペイン44件、フランス・ドイツ各38件
ベスト5。
一方、世界遺産のない国が30ある。

最近世界遺産リストに登録されづらくなっている状況があるが、
その背景には、
ピラミッドや万里の長城のような
「分かりやすい」世界遺産がすでにあらかた登録され、
その「顕著な普遍的価値」を認めにくい物件や
価値を裏支えするストーリーが理解しづらい物件が
増えていることもあるのではないかとも指摘されている。

世界遺産とは別に、
「無形文化遺産」がある。
世界遺産は不動産のみを対象としているため、
地域ごとに多様な形態で存在する文化を包括的に保護するためには、
無形の文化遺産を保護することも認識されるようになり、
2003年のユネスコ総会で無形文化遺産保護条約が採択された。
世界遺産と無形文化遺産は別個のものであり、
事務局も別である。

「無形文化遺産」は、
芸能や祭り、伝統工芸技術などを対象とする。
遺跡や自然が対象の「世界遺産」、
文書や絵画などが対象の「世界記憶遺産」とともに
ユネスコの「三大遺産事業」と言われている。

無形文化遺産の主なものは、次のとおり。

インド:クッティヤタム・サンスクリット劇 芸能
インドネシア:ワヤン人形劇 芸能
韓国:パンソリの詠唱 芸能
カンボジア:王宮古典舞踊 芸能、クメールの影絵劇
中華人民共和国:京劇、中国伝統医学の鍼灸術、中国の影絵劇
日本:人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽
イタリア:シシリアの人形劇 芸能
リトアニア:バルト地方の歌謡・舞踏フェスティバル 社会的慣習、儀式及び祭礼行事
スペイン:フラメンコ

料理・食文化では
「フランスの美食術」「地中海料理」
「メキシコの伝統料理」「トルコのケシケキ(麦かゆ)の伝統」

4件が登録されており、
今回の「和食」他3件で8件を数える。
いずれも単に料理だけではなく、
各地の伝統や儀式などとの関わりが評価されている。

「世界記憶遺産」は、
危機に瀕した書物や文書などの歴史的記録遺産を
最新のデジタル技術を駆使して保全し、
研究者や一般人に広く公開することを目的とした事業。

代表的な登録物件としては、
子供と家庭の物語(グリム童話)
バイユーのタペストリー(バイユー・タペストリー美術館所蔵)
ニーベルンゲンの歌
マグナ・カルタ(イギリス)
アンネの日記
グーテンベルク聖書
ベートーヴェンの交響曲第9番の自筆楽譜(ベルリン国立図書館所蔵)
共産党宣言及び資本論初版第1部
など。


ところで、
アメリカでは「世界遺産」はまったく人気がない
世界遺産に指定された場所が不人気ということではなく、
言葉自体が一般的にあまり知られていない。

それほどまでにアメリカがこの言葉を軽視している理由としては、
世界遺産を取り仕切るユネスコに対して、
アメリカは長らく政治的にも予算的にも敵対する立場を取り続け、
1984年のレーガン政権の時に脱退し、
近年やっと再加盟したといういきさつがある。
復帰した今でも、
パレスチナの加盟に対して大反対するなど、
アメリカは基本的にユネスコが大嫌いだ。
フランスのパリに本拠を置くユネスコが
世界遺産を取り仕切っていること自体がおもしろくないのか、
メディアもあまり取り上げることがなく、
結果的に一般市民も無関心になってしまいがちだ。

むしろ国家歴史登録財 (National Register of Historic Places)
の方が人気がある。
日本でいえば重要文化財といったところ。
アメリカ人にとっては一目置かれているのか、
けっこう注目され、人気の観光スポットになりやすい。


最後に、
2007年にNHK「探検ロマン世界遺産」が調べた
世界遺産ベスト30を紹介しよう。
このランキングはツアーガイドや世界遺産関係者など、
旅のプロがオススメする世界遺産を集計したもの。

1. マチュピチュの歴史保護区(ペルー)
2. イグアス国立公園(ブラジル、アルゼンチン)
3. アンコール(カンボジア)
4. ガラパゴス諸島(エクアドル)
5. ベネチアとその潟(イタリア)
6. モンサンミシェルとその湾(フランス)
7. ペトラ(ヨルダン)
8. グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区(スペイン)
9. エルサレムの旧市街とその城壁群(ヨルダン)
10.ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群(トルコ)

11.ロス・グラシアレス(アルゼンチン)
12.ラパ・ヌイ国立公園(チリ)
13.メンフィスとその墓地遺跡 - ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯(エジプト)
14.イスタンブール歴史地域(トルコ)
15.屋久島(日本)
16.セレンゲティ国立公園(タンザニア)
17.アテネのアクロポリス(ギリシア)
18.チェスキー・クルムロフ歴史地区(チェコ)
19.メテオラ(ギリシア)
20.モシ・オ・トゥニャ/ヴィクトリアの滝(ザンビア/ジンバブエ共通)

21.ドブロブニク旧市街(クロアチア)
22.九寨溝の渓谷の景観と歴史地域(中国)
23.古代都市チチェン・イッツァ(メキシコ)
24.ンゴロンゴロ保全地域(タンザニア)
25.古代都市テーベとその墓地遺跡(エジプト)
26.プリトヴィッチェ湖群国立公園(クロアチア)
27.麗江旧市街(中国)
28.プラハ歴史地区(チェコ)
29.ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂(イタリア/バチカン市国共通)
30.クスコ市街(ペルー)



キャメロンハイランドにて  

マレーシア3日目は、
高原のリゾート、
キャメロンハイランドを散策。
朝市を見た後、養蜂場へ。
町の中心部を散歩し、
紅茶農園へ。
見渡す限り広がる茶畑は、壮観の一言。
3時間かけて下界へ降りた後、
セランゴール川でホタルの鑑賞。
ボートがゆっくり進むと、
マングローブの林の中に
ホタルの光が点滅し、
クリスマスのイルミネーションのよう。
幻想的な光景でした。
高層ビルの建ち並ぶクアラルンプールに泊まり、
明日は、マラッカです。

写真は、広がる茶畑。



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